宇宙人に恋をして

波多野旭

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第3章

8.宇宙人革命団 中編

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杉道は3千人近くの恐らく宇宙人であろう人物達との前で「君達が宇宙人革命団か!」と手に持っていた拡声器越しに問うた。
「そうだ!我らが宇宙人革命団だ!あなたが杉道与太郎隊長だね?俺は本林純喜だ」
純喜と名のるスーツ姿の男は笑みを浮かべ何故か拡声器を使わずかつ大声で話してなく杉道の脳内に話しかけてきた。
そのことに少し驚愕した杉道は「脳内に話かけてくるとは!やはり君は宇宙人なのか?いやその声は先の宇宙人と同じだ!」と拡声器をおろし心中で呟く。更に杉道は心中で呟く。
「君は敵意があるのか?いやここを攻撃した時点で敵意ありとみなす。それでいいな?」
「それで構わんさ」
「ではこの行為を許すわけにはいかない!悪徳宇宙人が!覚悟しろ!」
怒り心頭の杉道は「攻撃用意!」と隊員達に指示した。「悪徳宇宙人か・・・。いい響きだ。」
心中ではなく小声だが口を開いた純喜。
そんな彼に驚いたのは隣りにいた福野川渥美だった。
「純喜さん。ご指示を」
「そうだ!俺は宇宙人だぁ!わりぃかぁ!」
渥美の言葉を無視した純喜は声を荒げた。
純喜は手を上げ「てめぇらぁ!突撃じゃぁ!」と声を荒げながら後ろにいる大勢に指示した。
純喜の指示で「おぉ!」と叫びながら杉道に突撃する大群。
「隊長!来ます!指示を!」
来る大群を目撃し銃を構える隊員たちにどう指示するか杉道は悩んでいた。
"宇宙人姿なら差別と言われる思うかかもしれないが躊躇なく撃てる。
だが目の前には人間が迫ってきている。
もし本当の人間だったらどうする?"と短時間の中で長考した。
「察しが良いな。さすが隊長だ!そうだ!この連中はほとんどが普通の人間だ。さぁ!撃てるもんなら撃ちやがれ!」
「たとえ人間に化けている宇宙人の中に民間人が紛れていたとしても被害を与えることは決して許されない。だが侵入も許されぬこと。なので足元付近を撃て。決して基地に入れさせるな!」
「了解!」
「チッ!面白くねぇ。お前ら!威嚇射撃なんかに怯えるな!」杉道による覚悟を決めた指示によって迫ってくる軍団達の体を撃たず足元周辺に撃った隊員たちを見た純喜は憤怒しながら目を閉じた。
「$%&&%$%&&?!&%$」
現時点で解読できない言語を小声で唱えると純喜は先程映し出された宇宙人にみるみるうちに変貌したではないか。そして変貌した途端宙に舞い「これでもくらえ!」と体から出た赤色の粒子を矢の形にしそれを頭上に無数に出し指パッチンした。
それが合図だったのかは神のみぞ知るが、した瞬間杉道達に向かって放つ。
「退避!」
迫って来る矢に刺されまいと後ろ退く杉道達。その隙をつき迫ってきた数人の侵入を許してしまった。
その瞬間を上空で見ていた純喜は降下し足が地面とキスし目を閉じ再び呪文を唱えながら人間の姿に戻る。
「お次はどうします?」
純喜に近づいた渥美は次の指示を仰いでいた。
「練った作戦通りにいくぞ」
「了解。後は頼むぞ」
後を振り向き仲間に言い前を向き、人間の姿に戻った純喜と共に基地を目指す。
基地内に戻ったはいいものの6人の侵入を許してしまった杉道は青ざめておりこれ以上侵入数を増やすと長官である高知にどやされるに違いないと考え顔を手で叩き喝を入れる。
「マイナスに考えている暇はないな!」
すると基地に侵入してきた6人の内2人が胸を張りながら「ハッ!」と気合入れた瞬間姿形が変貌した。
変貌した者は杉道達に近づいていく。
「ち、近寄るなぁ!」
隊員の1人が所持していた銃を乱射した。数発宇宙人の姿になった者に当たり「グハァ!」と発しながら倒れ込んだ。
「なにしやがんだ!」
もう1人の宇宙人が乱射した隊員に襲いかかるがすかさずそばにいた杉道が援護する。
杉道はその宇宙人の腹を蹴り銃のトリガーを引く。
銃口から放つ光弾がそれの顔に当たった。
「い、痛い!クソ!なんてことしやがる!マジクソいてぇよぉ」
手で顔を抑え藻掻き苦しむその宇宙人の片腕を足で抑え銃口を右胸部分に向ける。
「おいおい!こんなに苦しんでいるのにとどめを刺す気かよ!」
倒れた宇宙人の側にいた黒縁メガネをかけた青年はトドメを刺そうとしている杉道を止めようとした。
「いやならぬのだ。私の部下を襲いかかった悪徳宇宙人は許さん!」
憤怒した杉道はトリガーを引き光弾を貫通させた。
「そんな!ひどいことを!」
目を開いたままになった宇宙人は緑色の液体を流しながら息を引き取る。
残酷な光景に膝を床とキスした青年は涙を流しながら睨んだその時、目の前の光景に涙が止まった。
杉道が銃を脇に抱え目を閉じ両手を合わせ小声で南無阿弥陀仏と唱えたからである。
唱え終わると目を開け脇に抱えた銃を手にした。
そして顔を青年に向けた杉道は続け「例え悪徳宇宙でありかつ非人間であろうともそして、私の言動が矛盾しても命を奪ったことに違いはない。仲間を倒して申し訳ない」と頭を下げ謝罪した。
「隊長!ご無事ですか!」
奥の扉がガチャンと開き美島が姿を現す。
「美島!あぁ無事だ。心配するな」
美島の姿を見て彼女の方に歩こうとしたその時だった。
何を思ったか「ああああ!」と先程の青年が突如叫び首につけていたネックレスについていた物を引き離した。
引き離したものはそう手榴弾である。
それのピンがネックレスに付いており、青年の手にはピンなし手榴弾がありその場に転がした。
「マズイ!」
転がる手榴弾を見、すかさず近くにいた2名の隊員の腕を掴み美島の方に走る。
だが転がった手榴弾が爆発し威力が通常より倍でその風圧に背中を押された杉道は少し宙に浮き待機している美島にぶつかった。
隊員の腕を掴みながら意識を失いかけた杉道。
「隊長!大丈夫ですか!しっかりしてください!」
当たったが少し平気な美島の呼びかけで意識を戻した杉道は左右を見渡す。
「おい。東野!西上!大丈夫か!返事しろ!」
目をつぶった両隊員の口元に耳を当て「息はある!良かった・・・」と安堵した杉道に美島が問う。
「なんで爆発したんですか!」
「あの中にいた1人が手榴弾を隠し持ってたんだ!」
「侵入した宇宙人達は?」
「恐らく無事ではないだろう。あんな威力強い爆発の中流石に民間人は耐えられないだろ。だが救えなかったことに悔いが残るな」
杉道は怒りをこめて手を拳に変えた。
「それも何もかも純喜と名乗る宇宙人のせいだ!」
すると息を少し切りながらこちらに向かって走る者がいた。
木嶋だ。
「拓哉!どうしてここに?」
「いやかなりデカイ爆発音がしたから来たんだよ。あ!杉道さんもいましたか」
「おぉ!木嶋研究員か。いいとこに来たな」
「何があったんですか?」
美島と杉道はここまで起こったことをカクカクシカジカと話す。
「じゃその純喜と名乗るその宇宙人は基地を破壊しようとしているんですね!」
「あぁその通りだ。そして君に頼みがある」
「何でしょうか?杉道さん」
「美島を連れてここを脱出せよ!それが俺の頼みだ」
杉道の頼みを聞いた途端美島はまさかここで敵を食い止めるのではと察した。
「ダメです!隊長もいきましょう。いやいかなきゃダメです!」
美島が大声だしていると気を失っていた東野と西上が目を覚ます。
「た、隊長。俺達はまだ戦えます。どうか指示を!」
「お前ら・・・。よし行くぞ!木嶋研究員頼んだぞ!」
「隊長!」
「行こう詠美!杉道さん必ず戻ってきてください!」
木嶋の呼びかけに応えたのか背を向けながら手を上げた杉道。
それを見て安心した木嶋は美島の腕を引っ張り長い廊下を渡る。
しばらくすると「やっぱり隊長たちだけにしておけないよ」と立ち止まり腕を掴んでいた木嶋の手を振りほどく。
「詠美・・・。大丈夫!詠美を外に連れってたら僕がまた隊長達の所に行くよ!」
「宇宙人の姿になって?」
「え?」
美島はハッと両手で口をふさぐ仕草をした。
「知ってたの?僕が宇宙人だってこと」
「うん。でもそれでも拓哉の事好きなんだよ」
少し沈黙した2人。
「ありがとう。そう言ってくれたのは詠美をいれて2人目だよ」
木嶋は美島に近づき手を差し伸べる。
「詳しい事は後で話すよ。今はとりあえず外に出よう。隊長達のことは本当に後で助けに行くからさ。信じて。それとも僕が宇宙人だから信じられない?」
「いやどんな事があっても拓哉のことを信じてるよ!」
差し伸べた木嶋の手を美島は両手でしっかり握る。
そして無言で前を向いた木嶋は握った美島の手を引っ張り先程開けた扉に辿り着きドアノブをガチャッと回す。
開け外に出ると数人待ち構えていた。
「よう!あんたたちここの人だろ?ずっと待ってたんだぜ!」
その数人の筆頭人らしき
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