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3 山の上の出張所
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(楽過ぎて、することがない……)
退屈しのぎに、回転もできる椅子で子どものようにくるくる回っていると、ガラス扉に人影が映った。
ずいぶんと背が低い。
どうやら重たい扉を押し開けられないようだと感じ、私はカウンターを出た。
「いらっしゃいませ」
扉を開けながら声をかけると、かなりの年配のお婆さんが、腰を曲げながら入ってくる。
「どうもありがとうね。あら、庄吉さんは? 代わりの人? 今度はまたずいぶん可愛い若いお嬢さんねえ」
「芦原瑞穂です。これからよろしくお願いします」
褒められたことに気をよくしたわけではないが、お婆さんがここまでひっぱってきたらしい簡易のカートから小さな箱を下ろし、荷物を中へ運んであげた。
「これを送るんですか?」
「そうそう、たくさんできたから、娘に」
中には立派なサツマイモがぎっしりと入っていた。
お婆さんが口頭で伝えてくれる住所を伝票に書き入れながら、話に耳を傾ける。
「野菜なんて都会にもいっぱい売ってあるって怒られるけど、出来たらやっぱり送らずにはいられんねー……孫にも食べてもらいたいけんねぇ」
「そうですよね」
大切に荷物を預かって、代金のお釣りを渡していると、お婆さんが手提げ袋の中からアルミホイルの包みを取り出した。
「これ。いつものおすそ分けで庄吉さんのぶんも持ってきたから、瑞穂ちゃんが食べて。またね」
来る時はひっぱってきたカートを、手押し車代わりに押して帰っていく背中を見送り、私はアルミホイルの包みを開けてみた。
「焼き芋だ!」
(なるほど……水道横の茶棚の中の、急須と茶筒と湯呑みと、電気ケトルの意味がわかったわ……)
前任者の田中庄吉さん(おそらく)が揃えていたらしいそれらのものを、私もお借りし、一服することにした。
退屈しのぎに、回転もできる椅子で子どものようにくるくる回っていると、ガラス扉に人影が映った。
ずいぶんと背が低い。
どうやら重たい扉を押し開けられないようだと感じ、私はカウンターを出た。
「いらっしゃいませ」
扉を開けながら声をかけると、かなりの年配のお婆さんが、腰を曲げながら入ってくる。
「どうもありがとうね。あら、庄吉さんは? 代わりの人? 今度はまたずいぶん可愛い若いお嬢さんねえ」
「芦原瑞穂です。これからよろしくお願いします」
褒められたことに気をよくしたわけではないが、お婆さんがここまでひっぱってきたらしい簡易のカートから小さな箱を下ろし、荷物を中へ運んであげた。
「これを送るんですか?」
「そうそう、たくさんできたから、娘に」
中には立派なサツマイモがぎっしりと入っていた。
お婆さんが口頭で伝えてくれる住所を伝票に書き入れながら、話に耳を傾ける。
「野菜なんて都会にもいっぱい売ってあるって怒られるけど、出来たらやっぱり送らずにはいられんねー……孫にも食べてもらいたいけんねぇ」
「そうですよね」
大切に荷物を預かって、代金のお釣りを渡していると、お婆さんが手提げ袋の中からアルミホイルの包みを取り出した。
「これ。いつものおすそ分けで庄吉さんのぶんも持ってきたから、瑞穂ちゃんが食べて。またね」
来る時はひっぱってきたカートを、手押し車代わりに押して帰っていく背中を見送り、私はアルミホイルの包みを開けてみた。
「焼き芋だ!」
(なるほど……水道横の茶棚の中の、急須と茶筒と湯呑みと、電気ケトルの意味がわかったわ……)
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