大鳥居横あやかし宅配便~ワケアリ荷物お届けします~

シェリンカ

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7 白狐の奸計

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 老婆の家から市街地の逆の外れに、十秒も経たないうちに着いてしまった気がする。

「目が……回る……」

 背中から降ろされてもふらふらとしている私を笑いながら、シロはまた人の形になった。

「慣れないうちはそうかもねー。がんばって」

 そういうやり取りを、十回近くくり返された。
 訪ねて行った先が留守で、最近流行りの宅配ボックスに配達したこともあったし、相手がなかなか帰してくれず、長い時間一軒の家で話しこんでしまったこともあった。

(本当に、やっていることは普通の宅配と同じだ……)

 しかし、いかんせん真夜中のことだ。
 朝からめまぐるしくいろんなことがあったせいで私はすっかり疲れており、シロの背に乗りながら、うとうとしかける。

「瑞穂ちゃーん、あと少しだからしっかりしてー」
「う、うん……」

 シロの声に励まされながら街中の路地のとある一軒に配達を終えたところで、ふいに彼に肩を抱かれた。

「え……?」

 驚いて見てみたシロは、白い着物ではなく、営業所の裏の一軒家に帰ってきた時のような、パーカーにジーンズの格好になっている。

(なんで?)

 いつの間に着替えたのだろうなどということはもう考えないが、なぜ着替えたのだろうと凝視する視線の先で、シロが朗らかに笑って手を上げた。

「おーい、深川。佐山ー」

 見れば広い道路の向こう側に、大学生ぐらいの若い男女がたむろしており、その中の何人かがシロに気がついて手を振り返す。

「あれ? 凌哉じゃーん。何? 月曜の夜はいつも都合が悪いってそういうことー?」
「えー、白崎くん彼女ー?」
「えーっ」

 女の人が何人か非難がましい声を上げているので、私は慌てて誤解を解こうとした。

「いえ、私は……」

 しかしその途中で、口が動かなくなる。

(ん?)

 私の意志に反して、まるで何かで塞がれているかのようだ。
 しかしその『何か』は見えない。

(もしかして……?)

 おそるおそる見てみた隣のシロは、ニコニコしながら道路の向こうの男女の問いかけに頷いている。
 一瞬ちらりと私に向けられた目が、通常より金色に光っているように見えるのは気のせいだろうか――。

(ううん、きっと気のせいじゃない!)
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