もう一度『初めまして』から始めよう

シェリンカ

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4 燈籠祭りの夜

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 夏祭りの数日前から、髪振神社の参道では、長い竹で建築現場の足場のようなものが組まれ始めた。
 車も走る道路を跨いで建っている一の鳥居ではなく、歩いてしか潜ることのできない二の鳥居の脇から始まるそれは、幅三メートルほどの参道の左右に、長い石段も含めて延々と、拝殿と手水舎の前まで続く。
 祭りの当日は、そこに紙製の燈籠がずらりと提げられ、光の道標のようになるのだそうだ。

 階段では数段ごとに、頭上に橋を渡すようにして竹が組まれており、そこにも大きな横長の燈籠が掲げられるのだと、ハナちゃんが教えてくれた。
 燈籠に描かれた絵や文字は、どれも地域の子どもたちや有志の手書きで、私ももう少し早く越してきていたら、参加できたのにと残念に思う。

「来年こそやね」
「うん……」

 その代わりと言ってはなんだが、父が町役場の人に頼まれて描いたものならばあると、教えてもらった。
 どこに掲げられるのかは本人にも不明だが、それを探すのも祭りの楽しみの一つだとハナちゃんは笑う。

「知っとる者の燈籠を探すのが楽しみじゃけぇ」

 実は椿ちゃんの燈籠もあるのだと、列車で隣街まで行こうとしたあの日の帰りに、田んぼ道を歩きながら打ち明けられていた。

『学校で無理やり描かされた下手なやつだから……』

 本人はとても不服そうだったが、その理由の一つが今ならば少しわかる。

 写真のように綺麗な絵を描く誠さんに、椿ちゃんはおそらく自分の絵を見られたくないのだろう。
 だが、二人でそれを見つけるのも、話のきっかけになっていいのではないかと私は思う。

(だって二人は……)

 偶然知ってしまった事実を、一人で思い出してはにやにやとする私を、ハナちゃんがやんわりとたしなめた。

「和奏嬢ちゃん、じっとしちょかんと着せられんよ」
「ごめん! ハナちゃん!」

 私は慌てて、両腕を肩と水平の高さに上げるという最初の体勢に戻った。

 夏祭りの当日――。

「せっかくなら浴衣を着て行きんしゃい」

 ハナちゃんが、自分の若い頃の浴衣を私のためにわざわざ持ってきてくれたのだった。
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