もう一度『初めまして』から始めよう

シェリンカ

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「私は和奏! 青井和奏! 二学期から聖鐘女学院の二年に転入するんだけど……どうしてもあなたと友だちになりたいの!」
「私と……友だちに……?」

 ようやく私の訴えを理解してくれた雅ちゃんは、表情を緩め、それから花が色づくようにぱあっと、真っ赤に頬を染めた。

(うわぁ……)

 女同士の私から見ても、その照れ方は尋常ではなく可愛らしく、つられて私まで頬が熱くなる。

(表情がくるくる変わって可愛かった椿ちゃんとはまったく違うけど……これはこれで、雅ちゃんもとっても可愛い!)

 恥ずかしそうに頬を片手で押さえ、俯いた雅ちゃんは、私にそっと反対の手をさし出す。

「私でよければ……」

 その手をすかさず両手で握り、私は上下に大きくぶんぶんと振った。

「ありがとう! 本当にありがとう!」

 これで父に嘘を吐いたり、ごまかしたりしなくて済むという安堵の思いより、大人しくて控えめそうだがとっても可愛い雅ちゃんと友だちになると約束した喜びのほうが、私の中では完全に勝っていた。

『よかったね、和奏ちゃん』
『仲良くね、雅』

 風に乗ってどこからか、椿ちゃんと誠さんの声が聞こえた気がした。
 よく見れば、すぐ目の前にあるのは、二人が眠る『成宮』家の立派な墓標。

「おおーい、もう俺も行ってもいいかー?」

 大きな声で呼びかけてくる父も到着したら、これまでお参りできなかったぶんも綺麗に掃除して、たくさん椿ちゃんと誠さんと話をしようと私は心に決めていた。

(これからもきっと、話したいことはどんどんたまるだろうから……たびたび話しに来るね!)

 隣に立つ雅ちゃんと顔を見あわせて笑う私に、椿ちゃんが声援を送ってくれたような気がした。

『がんばれ和奏! 私はいつだって見守っているよ!』

 気温はとても高いのに、頬を撫でる風は爽やかな――八月の昼前の空耳だった。
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