冒険者パーティーを追放された私は、ドMの変態男と一流冒険者を目指すことになりました

柊 蕾

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変人の集い

第7話 会敵! オストリッチ!!

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「おーい、ヒカリさん! お待たせ」

オストリッチ討伐のため、町の入り口でマツザカを待っていると、時間ピッタリにマツザカが走ってきた。
けど……。

「……はぁ」

「オオン、いきなりため息を付いてくれるなんて嬉しいなぁ。何かいいことでもあったかい?」

「マツザカさん、あなた、常識って言葉を知らないんですか? どういう思考回路をしていたら、その格好で町中を走ってこようなんて思えるんですか!」

マツザカはこの寒さの中、相変わらずのふんどし一丁でクエストに来ていた。
それだけなら、もう仕方ないと受け入れていたが、流石に、この格好で町中を爆走してくるとは思わなかった。

「ははは、すれ違う人全員に見下されるこの感覚がたまらなくてね。癖になってしまったんだよ。ヒカリさんも一緒にどうかね?」

「絶っ対に嫌です! その格好だと自警団の人に捕まるので早くこれを着て下さい」

私は鞄の中から予備の防寒着を取り出し、マツザカに手渡した。
すると、マツザカは私の服を抱きしめ、

「おお! ヒカリさんの匂いがついた服! 素晴らしい!! 今夜はこの豊潤な香りに包まれながら、ユキ嬢に全身を踏んでもらうとしよう!!」

と身の毛もよだつようなことを言い出した。

「ちょ、変なことに使わないで下さい!」

体中、鳥肌が立った。
マツザカに貸した服は後で燃やしておこう。
私の服の匂いを嗅いで喜んでいる気色の悪いマツザカを見て、そんなことを考えていると、後ろから誰かにポンっと肩を叩かれた。

「へ? あ、はい?」

一体誰だろう?
もしかして、自警団の人がマツザカを捕まえにきたんじゃ……。
まずい、だとしたら私もマツザカと同類だと見なされてつれて行かれちゃう。
……何ていいわけをすれば。
そう思い、恐る恐る後ろを振り向くと、そこには、

「ぼ、ボブさん! ってキャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」

なぜかふんどし一丁のボブがいた。
黒人マッチョがふんどし姿で立っている光景に思わず、叫び声を上げてしまう私。
すると、ボブは白目を剥いて気絶してしまった。

「ははは、ヒカリさんはボブに手厳しいね」

そんな私達を見て、マツザカは得意げに笑っている。

「い、いや、ボブさんみたいな人がこんな格好をしていればビックリしますよ! なんでボブさんもふんどしなんですか!!」

「もちろん、私の趣味だ!」

マツザカは自信満々な顔で胸に手を当てる。

「ボブさんが可愛そうなので、今後はちゃんとした格好をさせてあげて下さい!」

そう言って、私は気絶しているボブに、自分が着ている防寒具をかけてあげた。

「ふむ、ボブも気に入ってくれていたんだがな」

「それでもです! こんな寒空の下で可愛そうだと思わないですか?」

ボブの肌は所々赤くなっており、指の先にはしもやけが出来ていた。

「ボブさんも嫌なら無理に付き合う必要ないのに……」

「あー、ちょっといいかね?」

ボブを見ていると、突然、声をかけられた。

「はい? なんですか??」

どうせマツザカが変なことを言い始めたんだろうと思い、振り返ると、そこには、

「初めまして。我々は自警団のものだ。先ほどから、変質者がうろついているとの報告が後を絶たなくてね。ここら辺を巡回していたのだが……。君達、ちょっといいかね?」

黒い制服に身を包んだ自警団の人達がいた。

「あ、ははは」

詰んだ。
明らかに防寒着以外、何も身につけていない男2人とそれを介抱している重装備の女性。
どう見ても、やばい集団だった。
すると、マツザカは、

「これはまずい、逃げるぞ! ヒカリさん!!」

そう言って、片腕にボブを担いで走りだした。

「え、ちょ、マツザカさん!?」

「いいから、早く!」

マツザカが私の手を引く。
それにつられて走り出す私。
後ろからは、「こらぁぁぁぁ、またんかぁぁぁぁぁ」と叫ぶ声が聞こえる。

「ま、マツザカさん、大丈夫なんですか? これ?」

「ははは、気にするな。いつものことだ! なぁに、面倒事になっても、直ぐにレイカちゃんが誤解を解いてくれるさ!!」

「え、えぇぇ」

……レイカさんがマツザカを嫌ってる理由が良く分かった気がする。
ごめんなさい、レイカさん。
私は、心の中で思いつく限りの謝罪の言葉を述べ、その場を後にした。

―そして、10分ほど走った後

「はぁ……はぁ……、ぜはぁ、も、もう無理……、吐きそう」

ようやく、クエストで指定されていた場所までたどり着いた。

「ははは、何を言っているんだヒカリさん、クエストはまだ初まっていないじゃないか!」

私とは正反対に、息を切らすことなく、ボブを片手に爽やかな笑顔を見せるマツザカ。
この人は本当に人間なんだろうか……。

「だ、誰のせいですか、うぇ……」

少し喋っただけでも、吐き出しそうなくらい、喉がカラカラだった。
私は、思わずその場にしゃがみ込んでしまう。

「はは、大丈夫かい?」

「はぁ……、はぁ……、ぜ、全然大丈夫じゃないですよ……。少し休ませてください」

「そうしたいところだが、そうはいかないみたいでね。ほら、立ち上がりたまえ」

「へ? 何言って……」

―ドタ ドタ ドタ

顔を上げると、黒い塊がすさまじい地響きを立てながら、こちらに向かって来ていた。
そして、

「フォーーーーーー」

と鳴き声を上げている。

「な、なんですか、あれ。鳴き声キモ……」

「ははは、あれがオストリッチだ。実物を見るのは初めてかい?」

「で、ですね」

本で見たことはあったが、本物は想像以上に気持ち悪かった。

「そうか。では、気をつけたまえ。オストリッチは見た目以上に凶暴だからね」

「は、はぁ。っていうか、こっちに向かって来てますよ! なんで??」

「それはボブがいるからだろうね」

「え? どういうことですか?」

「俺も良く分からないのだが、ボブはなぜか魔物に好かれる体質でね。ありとあらゆる魔物がボブに引き寄せられるんだ。実に羨ましい」

「な、なんですか? それ」

タチの悪い冗談かと思ったが、オストリッチが一直線にこちらを目指している辺り、本当なんだろう。

「じゃ、じゃあどうするんですか! このままじゃ私達、踏み潰されちゃいますよ!」

ぱっと見ただけでも、オストリッチは20体近くいる。
広範囲魔法が使えるならともかく、この数を2人で裁くのは、かなり難しい。

すると、マツザカは、

「なぁに、心配するな。魔物相手にやることは1つだ」

そう言って、グッと親指を上げた。
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