冒険者パーティーを追放された私は、ドMの変態男と一流冒険者を目指すことになりました

柊 蕾

文字の大きさ
13 / 29
変人の集い

第13話 本当に効果あるんですか!?

しおりを挟む
「や、やっぱり無理ですよ! こんな恥ずかしい格好!!」

そう言って、私は両手で全身を覆う。

「素晴らしい! 似合っているぞ!! ヒカリさん!!」

パチパチと拍手をするマツザカ。
だけど……。

「うぇ……、ま、マツザカさん。本当に気持ち悪いので私の視界に入らないで下さい」

「アアンッ、そんなことを言って貰えるなんて、着たかいがあったなぁ……」

ザ変人という声を上げ、倒れ込みながら、体をうねうねとしているマツザカ。
格好と相まって、同じ人間とは思えないキモさだった。

「ははは、でも、本当に……、はぁ……、はぁ……、本当に似合ってますね。ヒカリさん……」

「は、ハルキさん! 今のあなたは一番関わりたくないので、私に近寄らないで下さい!」

「なっ、そんな……」

少し言い過ぎたのか、その場で崩れ落ちるハルキ。
本来なら、可愛そうと思うところなのだが、今のハルキへはそんな感情が一切湧かなかった。

「ははは、いつもより辛辣じゃないか、素晴らしいよ!」

「あ、当たり前じゃないですか! 私だけならまだしも、なんでマツザカさんとハルキさんまで、バニーガールになってるんですか!!」

そう、今の私達はバニーガールになっていた。
しかも、意味の分からないことに、マツザカとハルキはただでさえ筋肉質な胸にパッドまで入れている。

「ははは、ムーンラビットのような警戒心の強い魔物をおびき寄せるには徹底的にやらないとだからね」

「それでもですよ……、っていうか本当に効果あるんですか……。これ……」

「なぁに、心配することはないさ。過去に似たような長い耳を持った魔物をこれでおびき寄せるたことがあるからね。こうやって、ぴょんぴょんとしていれば近寄ってくるさ」

そう言って、マツザカが頭の耳を可愛らしく動かす。
その光景はとてもグロテスクで、見ているだけで、胃の奥から酸っぱいものがこみ上げてきた。

「おぇ……、ほんとに……、無理、おろろろろ……」

「だ、大丈夫ですか? ヒカリさん……」

「は、ハルキさん、だいじょう……、おろろろろろろ」

大丈夫と言いかけた所で、バニーガール姿のハルキが視界に入り、再び嘔吐した。

「ははは、愉快だね。持ってきて正解だったよ」

「ま、マツザカさん……、もしかして、こうやって遊ぶためだけに持ってきたんじゃ……」

―ガサゴソッ

「えっ?」

突然、私の後方の草むらが激しく揺れた。

「ふふ、お遊びはここまでのようだね」

先ほどまでとは打って変わり、真剣な表情をするマツザカ。

「はぁ……、はぁ……、ですね」

そして、何故か興奮し始めるハルキ。

「ま、マツザカさん、これって」

「間違いない。ムーンラビットだ。各自、配置につきたまえ」

「は、はい!!」

マツザカの指示を受け、草むらに隠れる。
直後、

「ヴォオオオオオ」

猛々しい雄叫びと共に、最後のムーンラビットが飛び出してきた。

「では、いくぞ! ヒカリさんの色気もりもり作戦、開始だ!」

この口にするのもおぞましい作戦を考えたのは紛れもないマツザカ。
ムーンラビットを捕獲するための作戦として、バニー衣装を配りながら説明してきた。

―その内容は、

「こ、こっちですよ~~。ほら、ぴょんぴょん!」

「ヴォオオオオオ」

まず、私が正面に立ち、ムーンラビットを引きつけ、

「ハルキさん!」

「はい! いきゅよーー、ラビットちゃ~~ん」

「ヴォオオオオオ」

マツザカに夢中になっているムーンラビットを茂みの中に隠れているハルキが背中から押さえつける。
そして、

「マツザカさん!!」

「任せろ!!」

最後にマツザカがムーンラビットの腹に一撃を食らわせるというもの。

ドンッ

「オオォォォォォ」

「アアアアアアン」

マツザカの拳から放たれた強烈な一撃を受け、かすれ声をあげながら吹き飛ぶムーンラビットと、気色の悪い声を漏らすハルキ。
その先には一際大きな木の幹があり、

ドンッ

と凄まじい音と共に、ムーンラビットがその木に激突した。

「おおぉぉぉぉ……」

「ガハッ」

そんな断末魔を上げ、ピクリとも動かなくなくなるムーンラビット。
そして、その後ろで押しつぶされたハルキ。

「ま、マツザカさん……。や、やりすぎなんじゃ……」

「ははは、大丈夫だよ。ちゃんと手加減したからね。そうだろ、ハルキ君」

「いたた……、は、はい。なんとか」

マツザカの声に呼応し、ハルキがムーンラビットの背中から這い出てくる。

「うわぁ、な、なんで生きてるんですか!!」

「ちょ、ヒカリさん?? 流石に酷くないですか?」

「あっ、すみません。あの、別にそういう意味で言ったわけでは……」

普通の人なら死んでいるであろう衝撃を受けていたので、驚きのあまり、反射的に失礼な言葉が出てしまった。

「は、ははは。それなら良かったです」

苦笑いを浮かべ、少し悲しそうに呟くハルキ。

「ははは、クエスト完了のご褒美かな。実に羨ましい」

その反対に両手を腰に当てながら、高笑いをするマツザカ。

「マツザカさん……、だからそういう意味じゃ……。ってクエスト! ムーンラビットは? もしかして、死んだんじゃ……」

ハルキと話してて忘れてた……。
これでムーンラビットが死んでいれば意味が無い……。

「ははは、大丈夫だよ。そうだろ、ハルキ君」

「どうでしょう。今確認しますね」

そう言って、ハルキがムーンラビットの首元に手を当てる。

「……脈はあるし大丈夫そうですね。はぁ……、はぁ……、それにしても、ボコボコにされたムーンラビット。良い」

「だ、そうだ。お疲れさま。クエスト完了だ!」

「よ、良かった~~」

いや、衝撃でバニー衣装が脱げ、ほぼ全裸のハルキが、ムーンラビットの出した鼻血をペロペロと舐めていたりと、色々良くはないのだが、ひとまずは安心出来そうだった。
一時はどうなるかと思ったからなぁ……。
もし私のせいで、クエストに失敗してたら、罪悪感で押しつぶされていたと思う。
そうならなかっただけでも、満足だ。

「ふぁ……、なんだろう……、急に眠気が……」

今まで、気を張り詰めすぎていたせいか、一安心出来ると思った瞬間、凄まじい脱力感が体中を襲った。

「ん? どうしたんだいヒカリさん?」

「すみません、一日中走り回ったせいで疲れちゃって……」

少しづつ視界が暗くなり、足取りもおぼつかなくなってくる。

「おっと、危ない」

そんな私を抱きかかえるマツザカ。

「大丈夫かい? ヒカリさん」

「は……、はい……。ただ……」

「ん? どうしたんだい」

「マツザカさ……ん、臭い……です……」

「はぐっ」

最後に、マツザカのそんな悲鳴を聞き、私はゆっくりと夢の世界へ旅立った。

________________________________________
少しでも面白いと思って下さった方はお気に入り追加をお願いします!
また、感想を頂くことが出来ましたら、これに勝る喜びはありません!!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!

武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。 しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。 『ハズレスキルだ!』 同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。 そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』

チート魔力を持ったせいで世界を束ねる管理者に目を付けられたが、巻き込まれたくないので金稼ぎします

桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。 交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。 そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。 その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。 だが、それが不幸の始まりだった。 世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。 彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。 さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。 金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。 面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。 本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。 ※小説家になろう・カクヨムでも更新中 ※表紙:あニキさん ※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ ※月、水、金、更新予定!

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~

北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。 実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。 そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。 グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・ しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。 これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。

魔力ゼロの落ちこぼれ貴族、神々のエラーメッセージが読めるようになる~「神罰」のシステム権限で学園無双しつつ、本人だけはただのデバッグ作業だと

蒼月よる
ファンタジー
魔法(ナノマシン干渉)が使えず、名門アルマンド家の恥晒しとされた三男アッシュ。 実技試験に落ちて旧図書棟の掃除をさせられていた彼は、謎の遺物(管理デバイス)に触れたことで、世界の最高管理者権限(デバッガー権限)を手に入れてしまう。 「魔法」とは環境中の魔素を操作する事象。そして「神の奇跡」とは環境管理AIの気まぐれであるこの世界において。 アッシュの目には、相手の放つ魔法が単なる『不正なプロセスのエラーログ』として映り、頭の中で『YES(強制終了パッチ)』を選択するだけで完全に消去できるようになったのだ! 一切の詠唱も魔力発生も伴わずに、同級生の最大魔法をフッと消し去り、暴走する巨大魔物をワンボタンで光の粒子に還元するアッシュ。 本人はただ「うるさい警告文が出たからOKを押してデバッグ(人助け)しているだけ」のつもりなのだが……。 これは、エラーログを消しているだけの落ちこぼれ少年が、王都の至高魔法学園で「神の奇跡を下す聖者」として盛大に勘違いされながら成り上がっていく、痛快無双ファンタジー! この作品は以下の箇所にAI(Claude Code)を利用しています。 ・世界観・設定の管理補助 ・プロット段階の壁打ち ・作者による執筆後の校正

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

処理中です...