27 / 29
変人の集い
第27話 なんで私まで!
しおりを挟む
「……ゆ、ユキお嬢さま、今なんと仰いましたか?」
ギルドに戻った私達の報告を聞き、口元をピクピクと動かしながら、苦笑いを浮かべるユキさん。
そんなレイカさんに向かって、ユキさんは、
「あの大穴は私が作ったと言いました」
と笑顔で答えた。
「じょ、冗談ですよね……」
「あら、私が冗談を言っているように見えるの?」
余裕そうな笑みを浮かべ、レイカさんを見つめるユキさん。
「あ、あははは……、おぐっ……」
突如、お腹を抑え俯くレイカさん。
「れ、レイカさん! 大丈夫ですか!?」
私は慌ててレイカさんに駆け寄った。
「だ、大丈夫じゃない……、い、胃薬……とってぇ……」
レイカさんが椅子の横に置いてある鞄を指さす。
「は、はい! えっと……、これですか?」
「う、うん……、ありがと……」
やせ細った顔で、必死に胃薬を口にするレイカさん。
今の彼女は、日ごろの強気な姿から想像出来ないほど、弱りきってしまっていた。
「……ユキお嬢様、つかぬ事をお伺いしますが、なぜあんな大穴を?」
「私が全力で魔法を打ったらどうなるのか知りたかったからですわ。何事も試してみるのが大切でしょう?」
「なるほど……。それでマツザカを的にして、魔法を打ったと。でも、よく数カ月も隠し通せましたね」
「一応、穴の底に対人間用の認識阻害魔法をかけていましたから。でも、驚きましたわ。まさかグリフォンが巣を作っていたなんて。きっとあれらが穴の底を荒らしたせいで、私の魔法が消えてしまっていたのね」
「なるほど……、グリフォンが巣を……。って、はぁぁああああ?」
「……? 何を驚いているの?」
「ちょっと待ってください、グリフォンがいたんですか?!」
「あら、聞いていなかったの? いたわよ、しかも変異種が。そうでしょ、ゴミ」
ユキさんが、ギルドの入り口で自警団に詰問を受けているマツザカに話を振った。
「ああ、しかも二体も! 凄かったなぁ、レイカちゃんにも見せてあげたかったよ」
「おい、貴様! 勝手に発言をするな」
「ブハッ」
自警団に殴られるマツザカ。
普段なら可愛そうと思うところなのだが、上半身裸でボロボロのスカートを履いているマツザカを見ていると、なぜかそんな気が起きなかった。
「そ、そういった重要事項はすぐに報告してくださいよ! あの近辺ではつい先日、魔物による誘拐事案が発生したばかりなんですよ! ユキお嬢様のお話は、この事件を解決する手がかりになるかも知れません。後で詳しく聞かせて下さい」
「まぁ、魔物が人をさらったの? それは恐ろしいわね」
クスッと悪魔のような笑顔を浮かべるユキさん。
……それって。
背中から変な汗が吹き出してきた。
「あ、あのー、すみません。その事件って、この世のものとは思えない姿の魔物に、女性二人がさらわれったって内容だったりしませんか?」
「ん……? なんだ、よく知ってるな。なんでも、幻術を使う魔物らしくてな。見た目はヒカリの言う通り、目が潰れるほどおぞましいらしい。今、ギルドが全力をあげて調査してるところだから、お前達も気を付けろよ」
「あ……」
終わった。
「あの-、レイカさん。怒らないで聞いて欲しいんですけど……」
「ん? なんだ? まさか、その魔物はマツザカですー。なんて言うなよ」
「……スゥー」
「おい、まて! なんだその反応?! 嘘だろ……、嘘だよな! 嘘だと言ってくれ!!」
涙をポロポロと流しながら、私の服を掴むレイカさん。
そんなレイカに私は、
「ざ、残念ですが……」
と俯きながら答えた。
「……、は、ははははは」
乾いた笑い声を浮かべながら椅子にへたり込むレイカさん。
すると次の瞬間、
「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙」
レイカさんは、発狂しながら、机にガンガンと頭を打ち付け始めた。
「な、何やってるんですか! 血が! おでこから血が出てます! 落ち着いて下さい!!」
「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙、も゙ゔい゙や゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙」
完全に頭がおかしくなってしまったレイカさん。
「レイカさん! それ以上はダメです! 頭がマツザカさんになっちゃいます!」
レイカさんを止めようと、後ろから押さえつける私。
「れ、レイカちゃん! なんて素晴らしいんだ! 俺もやるぞぉぉおお!!」
「おい、こら! 何をやっている!」
そして、発狂するレイカさんを見て、なぜか床に頭を打ち付け始めたマツザカ。
マツザカの奇行を止めようと、必死にマツザカの腕を掴む自警団。
「おほほほほほお、愉快ですわ」
その様子を、黒服集団の上に座り、笑いながら眺めているユキさんと
ざわ…ざわ…
私達を見て、ドン引きしている、ギルドに立ち寄っていた一般の人達。
「も、もう、なんなんですかこれ~~!」
ギルドの一角は、もはや収拾がつかないほどほどカオスな状況になり果てていた。
一体どうすれば……
そんなことを考えていると、
「こんちわ~、レイカちゃん。少しだけ変わってもらって良いっすか……、って、なんすかこれ!?
ギルドの奥から、青色の髪の上に、赤い眼鏡をのせた女の人が出てきた。
そして、
「あのー、これどうしたんすか?」
と私に話しかけてきた。
「えーと、どうやって説明したら良いか……。ちょっと色々あって……、あ、ちょ、レイカさん! 噛まないで下さい! 痛い! 痛いです!!」
「ちょっとすか……」
発狂したレイカさんに腕を噛まれている私と、後ろのマツザカ達をジッと見つめる女性。
すると、彼女の口からとんでもない言葉が飛び出してきた。
「さすが、マツザカと愉快な仲間達……。もれなく全員頭おかしいっすね……」
「そうですね、全員頭おかしい……、って待って下さい! なんで私まで入ってるんですか!! 今すぐ訂正して下さい!! っていうか、誰ですか! あなた!!」
「わーお、ナイスツッコミ」
胸元で、パチパチと小さく拍手する女性。
「は、はぁ……、ありがとうございます?」
なんだろうこの人……。
変なペースにさせられるなぁ……。
そんな事を思っていると、
「むむ、そこにいるのはツバキちゃんじゃないか! 久しぶりだね! 元気だったかい?」
自警団に十字固めにされているマツザカが、突如、話に入ってきた。
「ウチは元気っすよ! マツザカさんも、その……相変わらずで。楽しそうでいいっすね」
「ああ! とても楽しいよ! クセになっちゃいそうだ! ツバキちゃんも一緒にどうだい?」
「あ、あはは……、ウチは遠慮しておくっす。マツザカさんの邪魔をしても悪いし、ウチはちゃっちゃと要件済ませて帰りますね。はいコレ」
マツザカに関わりたくないのか、ツバキさんは、さりげなく目をそらしながら、自警団に抑えつけられているマツザカに一枚の紙を手渡した。
「ふむ……、緊急会議の招集令か。これは困ったな」
自警団の抑えつけられている状態で、器用に体をくねらせながら、渡された紙を眺め、不満そうな表情をするマツザカ。
「……? 何か不明な点でもありました?」
「いや、そうじゃなくてね。内容については、概ね理解したよ。ただ……日程がね」
「あぁ、他のクエストと被ってるんすか。それなら、ウチが別のパーティーに依頼しきますよ」
……あれ?
その日にクエストなんて入ってたっけ?
もしかして、また勝手にクエストを受注したのかな?
そう思っていると、マツザカが衝撃の言葉を口にした。
「いや、違うんだ……、その日は、皆でお買い物をしようと思ってたんだー!」
「……は?」
なにそれ……。
しかも、今「皆で」って言った??
「ちょっと、マツザカさん、何言ってるんですか? 私、そんな話聞いてないですよ!?」
「そうなのかい? てっきりユキ嬢から聞いているものかと。ユキ嬢! ヒカリさん、誘わなくて良いんですかー!」
ユキさんの名前を大声で呼ぶマツザカ。
「うふふ、もちろんお誘いするつもりでしたよ。当日の朝にね。サプライズというヤツですわ! せっかくヒカリさんと仲良くなれたんですもの! 皆でこっそりとヒカリさんのおうちにお邪魔する予定でしたのよ!」
そんなマツザカに、とんでもない返事を返すユキさん。
すると、マツザカは、
「そうだったんですね。聞いての通り、俺は会議に招集されてしまいました。当日は俺抜きで楽しんでもらって良いですか?」
と返事を返した。
「ええ、構わないわ」
私抜きで勝手に話を進める2人。
ま、まずい……。
このままじゃせっかくの休日が変人達に潰されてしまう。
そう思った私は、
「ちょ、ちょっと待って下さい!! い、嫌ですよ、そんなの! 私だってプライベートがあるんですよ?! それに、休日まで頭のおかしな人達と関わりたくありません!!」
「ふふ、ヒカリさんも言うようになったわね。でも、本当に断って良いのかしら?」
不敵な笑みを浮かべながら、一枚の紙をヒラヒラとさせるユキさん。
「な、なんですか……、その紙……」
「見れば分かるわ」
そう言って、ユキさんが紙を手渡してくる。
そこには、
「号外 発見 新種のムーンラビット」という見出しと共に、見覚えのある人物が書かれていた。
「こ、これ、私じゃですかーー!」
「あはは、何を仰っているの、ヒカリさん。これは新種のムーンラビットよ。しかも、恥ずかしげも無く、耳を動かして、ぴょんぴょんなんて鳴くね」
「な、なんで知ってるんですかぁぁああああ!」
恥ずかしさがこみ上げてきて、死にそうだった。
「おほほほほほ、言ったでしょ、私の情報網を舐めないでと。さて、ヒカリさん。私の申し出を断るのなら、その号外をここだけじゃなく、全ての支部にも張り出しますが、いかかがなさいますか?」
「う、うぅ……、分かりました! 行けばいいんでしょ! 行けば!!」
「あははははははは、それでは当日を楽しみにしていますわ」
嬉しそうに笑い声をあげるユキさん。
そんなユキさんを見て、マツザカは、
「いいなぁ……」
と呟き、ツバキさんから渡された紙を悔しそうに咥えていた。
________________________________________
少しでも面白いと思って下さった方はお気に入り追加をお願いします!
また、感想を頂くことが出来ましたら、これに勝る喜びはありません!!
ギルドに戻った私達の報告を聞き、口元をピクピクと動かしながら、苦笑いを浮かべるユキさん。
そんなレイカさんに向かって、ユキさんは、
「あの大穴は私が作ったと言いました」
と笑顔で答えた。
「じょ、冗談ですよね……」
「あら、私が冗談を言っているように見えるの?」
余裕そうな笑みを浮かべ、レイカさんを見つめるユキさん。
「あ、あははは……、おぐっ……」
突如、お腹を抑え俯くレイカさん。
「れ、レイカさん! 大丈夫ですか!?」
私は慌ててレイカさんに駆け寄った。
「だ、大丈夫じゃない……、い、胃薬……とってぇ……」
レイカさんが椅子の横に置いてある鞄を指さす。
「は、はい! えっと……、これですか?」
「う、うん……、ありがと……」
やせ細った顔で、必死に胃薬を口にするレイカさん。
今の彼女は、日ごろの強気な姿から想像出来ないほど、弱りきってしまっていた。
「……ユキお嬢様、つかぬ事をお伺いしますが、なぜあんな大穴を?」
「私が全力で魔法を打ったらどうなるのか知りたかったからですわ。何事も試してみるのが大切でしょう?」
「なるほど……。それでマツザカを的にして、魔法を打ったと。でも、よく数カ月も隠し通せましたね」
「一応、穴の底に対人間用の認識阻害魔法をかけていましたから。でも、驚きましたわ。まさかグリフォンが巣を作っていたなんて。きっとあれらが穴の底を荒らしたせいで、私の魔法が消えてしまっていたのね」
「なるほど……、グリフォンが巣を……。って、はぁぁああああ?」
「……? 何を驚いているの?」
「ちょっと待ってください、グリフォンがいたんですか?!」
「あら、聞いていなかったの? いたわよ、しかも変異種が。そうでしょ、ゴミ」
ユキさんが、ギルドの入り口で自警団に詰問を受けているマツザカに話を振った。
「ああ、しかも二体も! 凄かったなぁ、レイカちゃんにも見せてあげたかったよ」
「おい、貴様! 勝手に発言をするな」
「ブハッ」
自警団に殴られるマツザカ。
普段なら可愛そうと思うところなのだが、上半身裸でボロボロのスカートを履いているマツザカを見ていると、なぜかそんな気が起きなかった。
「そ、そういった重要事項はすぐに報告してくださいよ! あの近辺ではつい先日、魔物による誘拐事案が発生したばかりなんですよ! ユキお嬢様のお話は、この事件を解決する手がかりになるかも知れません。後で詳しく聞かせて下さい」
「まぁ、魔物が人をさらったの? それは恐ろしいわね」
クスッと悪魔のような笑顔を浮かべるユキさん。
……それって。
背中から変な汗が吹き出してきた。
「あ、あのー、すみません。その事件って、この世のものとは思えない姿の魔物に、女性二人がさらわれったって内容だったりしませんか?」
「ん……? なんだ、よく知ってるな。なんでも、幻術を使う魔物らしくてな。見た目はヒカリの言う通り、目が潰れるほどおぞましいらしい。今、ギルドが全力をあげて調査してるところだから、お前達も気を付けろよ」
「あ……」
終わった。
「あの-、レイカさん。怒らないで聞いて欲しいんですけど……」
「ん? なんだ? まさか、その魔物はマツザカですー。なんて言うなよ」
「……スゥー」
「おい、まて! なんだその反応?! 嘘だろ……、嘘だよな! 嘘だと言ってくれ!!」
涙をポロポロと流しながら、私の服を掴むレイカさん。
そんなレイカに私は、
「ざ、残念ですが……」
と俯きながら答えた。
「……、は、ははははは」
乾いた笑い声を浮かべながら椅子にへたり込むレイカさん。
すると次の瞬間、
「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙」
レイカさんは、発狂しながら、机にガンガンと頭を打ち付け始めた。
「な、何やってるんですか! 血が! おでこから血が出てます! 落ち着いて下さい!!」
「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙、も゙ゔい゙や゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙」
完全に頭がおかしくなってしまったレイカさん。
「レイカさん! それ以上はダメです! 頭がマツザカさんになっちゃいます!」
レイカさんを止めようと、後ろから押さえつける私。
「れ、レイカちゃん! なんて素晴らしいんだ! 俺もやるぞぉぉおお!!」
「おい、こら! 何をやっている!」
そして、発狂するレイカさんを見て、なぜか床に頭を打ち付け始めたマツザカ。
マツザカの奇行を止めようと、必死にマツザカの腕を掴む自警団。
「おほほほほほお、愉快ですわ」
その様子を、黒服集団の上に座り、笑いながら眺めているユキさんと
ざわ…ざわ…
私達を見て、ドン引きしている、ギルドに立ち寄っていた一般の人達。
「も、もう、なんなんですかこれ~~!」
ギルドの一角は、もはや収拾がつかないほどほどカオスな状況になり果てていた。
一体どうすれば……
そんなことを考えていると、
「こんちわ~、レイカちゃん。少しだけ変わってもらって良いっすか……、って、なんすかこれ!?
ギルドの奥から、青色の髪の上に、赤い眼鏡をのせた女の人が出てきた。
そして、
「あのー、これどうしたんすか?」
と私に話しかけてきた。
「えーと、どうやって説明したら良いか……。ちょっと色々あって……、あ、ちょ、レイカさん! 噛まないで下さい! 痛い! 痛いです!!」
「ちょっとすか……」
発狂したレイカさんに腕を噛まれている私と、後ろのマツザカ達をジッと見つめる女性。
すると、彼女の口からとんでもない言葉が飛び出してきた。
「さすが、マツザカと愉快な仲間達……。もれなく全員頭おかしいっすね……」
「そうですね、全員頭おかしい……、って待って下さい! なんで私まで入ってるんですか!! 今すぐ訂正して下さい!! っていうか、誰ですか! あなた!!」
「わーお、ナイスツッコミ」
胸元で、パチパチと小さく拍手する女性。
「は、はぁ……、ありがとうございます?」
なんだろうこの人……。
変なペースにさせられるなぁ……。
そんな事を思っていると、
「むむ、そこにいるのはツバキちゃんじゃないか! 久しぶりだね! 元気だったかい?」
自警団に十字固めにされているマツザカが、突如、話に入ってきた。
「ウチは元気っすよ! マツザカさんも、その……相変わらずで。楽しそうでいいっすね」
「ああ! とても楽しいよ! クセになっちゃいそうだ! ツバキちゃんも一緒にどうだい?」
「あ、あはは……、ウチは遠慮しておくっす。マツザカさんの邪魔をしても悪いし、ウチはちゃっちゃと要件済ませて帰りますね。はいコレ」
マツザカに関わりたくないのか、ツバキさんは、さりげなく目をそらしながら、自警団に抑えつけられているマツザカに一枚の紙を手渡した。
「ふむ……、緊急会議の招集令か。これは困ったな」
自警団の抑えつけられている状態で、器用に体をくねらせながら、渡された紙を眺め、不満そうな表情をするマツザカ。
「……? 何か不明な点でもありました?」
「いや、そうじゃなくてね。内容については、概ね理解したよ。ただ……日程がね」
「あぁ、他のクエストと被ってるんすか。それなら、ウチが別のパーティーに依頼しきますよ」
……あれ?
その日にクエストなんて入ってたっけ?
もしかして、また勝手にクエストを受注したのかな?
そう思っていると、マツザカが衝撃の言葉を口にした。
「いや、違うんだ……、その日は、皆でお買い物をしようと思ってたんだー!」
「……は?」
なにそれ……。
しかも、今「皆で」って言った??
「ちょっと、マツザカさん、何言ってるんですか? 私、そんな話聞いてないですよ!?」
「そうなのかい? てっきりユキ嬢から聞いているものかと。ユキ嬢! ヒカリさん、誘わなくて良いんですかー!」
ユキさんの名前を大声で呼ぶマツザカ。
「うふふ、もちろんお誘いするつもりでしたよ。当日の朝にね。サプライズというヤツですわ! せっかくヒカリさんと仲良くなれたんですもの! 皆でこっそりとヒカリさんのおうちにお邪魔する予定でしたのよ!」
そんなマツザカに、とんでもない返事を返すユキさん。
すると、マツザカは、
「そうだったんですね。聞いての通り、俺は会議に招集されてしまいました。当日は俺抜きで楽しんでもらって良いですか?」
と返事を返した。
「ええ、構わないわ」
私抜きで勝手に話を進める2人。
ま、まずい……。
このままじゃせっかくの休日が変人達に潰されてしまう。
そう思った私は、
「ちょ、ちょっと待って下さい!! い、嫌ですよ、そんなの! 私だってプライベートがあるんですよ?! それに、休日まで頭のおかしな人達と関わりたくありません!!」
「ふふ、ヒカリさんも言うようになったわね。でも、本当に断って良いのかしら?」
不敵な笑みを浮かべながら、一枚の紙をヒラヒラとさせるユキさん。
「な、なんですか……、その紙……」
「見れば分かるわ」
そう言って、ユキさんが紙を手渡してくる。
そこには、
「号外 発見 新種のムーンラビット」という見出しと共に、見覚えのある人物が書かれていた。
「こ、これ、私じゃですかーー!」
「あはは、何を仰っているの、ヒカリさん。これは新種のムーンラビットよ。しかも、恥ずかしげも無く、耳を動かして、ぴょんぴょんなんて鳴くね」
「な、なんで知ってるんですかぁぁああああ!」
恥ずかしさがこみ上げてきて、死にそうだった。
「おほほほほほ、言ったでしょ、私の情報網を舐めないでと。さて、ヒカリさん。私の申し出を断るのなら、その号外をここだけじゃなく、全ての支部にも張り出しますが、いかかがなさいますか?」
「う、うぅ……、分かりました! 行けばいいんでしょ! 行けば!!」
「あははははははは、それでは当日を楽しみにしていますわ」
嬉しそうに笑い声をあげるユキさん。
そんなユキさんを見て、マツザカは、
「いいなぁ……」
と呟き、ツバキさんから渡された紙を悔しそうに咥えていた。
________________________________________
少しでも面白いと思って下さった方はお気に入り追加をお願いします!
また、感想を頂くことが出来ましたら、これに勝る喜びはありません!!
0
あなたにおすすめの小説
外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!
武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。
しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。
『ハズレスキルだ!』
同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。
そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』
チート魔力を持ったせいで世界を束ねる管理者に目を付けられたが、巻き込まれたくないので金稼ぎします
桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。
交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。
そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。
その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。
だが、それが不幸の始まりだった。
世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。
彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。
さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。
金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。
面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。
本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。
※小説家になろう・カクヨムでも更新中
※表紙:あニキさん
※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ
※月、水、金、更新予定!
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした
夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。
しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。
彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。
一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~
北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。
実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。
そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。
グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・
しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。
これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。
魔力ゼロの落ちこぼれ貴族、神々のエラーメッセージが読めるようになる~「神罰」のシステム権限で学園無双しつつ、本人だけはただのデバッグ作業だと
蒼月よる
ファンタジー
魔法(ナノマシン干渉)が使えず、名門アルマンド家の恥晒しとされた三男アッシュ。
実技試験に落ちて旧図書棟の掃除をさせられていた彼は、謎の遺物(管理デバイス)に触れたことで、世界の最高管理者権限(デバッガー権限)を手に入れてしまう。
「魔法」とは環境中の魔素を操作する事象。そして「神の奇跡」とは環境管理AIの気まぐれであるこの世界において。
アッシュの目には、相手の放つ魔法が単なる『不正なプロセスのエラーログ』として映り、頭の中で『YES(強制終了パッチ)』を選択するだけで完全に消去できるようになったのだ!
一切の詠唱も魔力発生も伴わずに、同級生の最大魔法をフッと消し去り、暴走する巨大魔物をワンボタンで光の粒子に還元するアッシュ。
本人はただ「うるさい警告文が出たからOKを押してデバッグ(人助け)しているだけ」のつもりなのだが……。
これは、エラーログを消しているだけの落ちこぼれ少年が、王都の至高魔法学園で「神の奇跡を下す聖者」として盛大に勘違いされながら成り上がっていく、痛快無双ファンタジー!
この作品は以下の箇所にAI(Claude Code)を利用しています。
・世界観・設定の管理補助
・プロット段階の壁打ち
・作者による執筆後の校正
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる