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2話 神様から事情を聞く話 《1》 神様も色々と悩んでるっぽいよ
しおりを挟む「うぉぉ‼じ、爺さん、あ、あんた浮いとるぞ!!」
『そりゃあ浮くくらいするわい。わしゃ神だからのう~』
「か、神!?爺さん神様なのか!?
い、いや~どうも初めまして。爺さんなんて言ってなんかすみません!」
『ふぉ、ふぉ、気にすることはないわい。
瀬田 陽貴くんというたかの~。そんな堅苦しい言い方せんでもええわい。主の普段通りの話し方でええぞ?』
「あ、そう?マジ爺さんいきなり現れて神とか言い出すもんだからビックリしたわ!浮いてなかったら安定のスルーするとこだったよ。
ところでなんで俺の名まぇ‥あ、そっか神様だからそのくらいわかるか~メンゴメンゴ!」
『め、メンゴ‥?あ、あぁ名前くらいどうってことないわい!わしゃ神!!じゃからのう!神じゃから!!!』
「ブフォw爺さん《神》強調しすぎだって!大事なことなのはわかったから俺なんでココにいるんだ?ココって天国なのか??」
『(ぐぬぬ‥わしが普段通りでええと言うたからといってここまで気軽に話しかけてくる者も珍しいのう…わし威厳とか無いのかのう…髪の毛も薄くなってきたしのぅ…)
‥どうせわしゃぁ‥宙へ浮くことしかできないハゲジジイなんじゃぁ…』
陽貴は知らないうちに神様の心にダメージを負わせていた。神様は意外と繊細なようだ。
「じ、爺さん何いきなりヘコんでんの!?髪の毛‥は確かに薄いと思うけど、そ、そこはほら!神様なんだからどうにかできるんじゃないの!?」
『…やはり他の者から見ても薄いんじゃな‥。ちなみに育毛関係の情報は神権限で全て把握し実行した後なんじゃよ‥。
いやわしは神じゃから髪を伸ばそうとしたり髪形を変えようとすれば出来るんじゃが、そんなものは所詮、紛い物にすぎんじゃろ?人でいうカツラという物と一緒じゃ。それをして本当の自分と言えるのかのう?いや!決してそうではないはずじゃ!!』
熱く語りだした神様。
実は神様は1800年程まえに超ロン毛ヘアにしたことがあるが、天使達に爆笑されそのショックから天岩戸に天照大神と共に引き篭もった過去がある。
ちなみに天照大神は岩戸の中で、創世神である神爺様をフォローしたが報われず、お手上げといわんばかりに天岩戸から出てきたと天界の記録に残っている。
その後、どうやら神様は゛本当の自分゛とやらと向き合う事ができたらしい。
そして陽貴も
(これは、踏み込んじゃいけない領域みたいだな‥。)
と気付き、話を戻した。
「爺さん!爺さん!ま、まぁ落ち着こうよ。そんでココって本当に天国か何かなのか?」
『わしは例え毛根が死滅したとしても決してあきら‥ん?なんじゃ?
うむ、ココはのう天界へと続く道の途中なんじゃが天国とはちと違うのう。
主達、人がいう天国と天界の間になるんじゃ。地獄ではないから心配せんでええぞ?』
「そうなのか。ん?それじゃあ何で俺はその途中に?」
『それはじゃのぅ、本来ならお主はこのまま天国へ向かうはずじゃったんだが‥お主も会ったじゃろ?あの化物にのう。』
「爺さん会ったどころじゃないぜ‥俺はその化物に殺されたんだからな…って、事はまさかあいつが関係あんのか?」
『うむ、まさにその通りじゃ。詳しく話すとしようかのう。
あの化物はお主が生きていた地球で生まれたモノではないのじゃよ。元々は地球とは違う゛ベリルト゛という世界の存在じゃ。あれはのぅ、《異世界ベリルト》から地球へ転移してしまった゛魔物゛なのじゃよ。
現世の書物に地球から異世界へ渡る物語が多数あったじゃろ?まさにその逆現象が‥』
「…実際に起きてソイツに襲われたのが‥俺?」
神様は肯定するように頷いた。
(あの化物は異世界の魔物だったのかよ…。アニメや小説等でそういう物語があるのは知ってたが、逆に向こうの異世界からやって来たのが゛魔物゛でそいつに殺されるとかどんな確率だよこれ。
普通、人型のエルフだったりドワーフだったり、人間的なの来るだろこれ。)
「そ、それでさ、あの化物どうなったんだ?俺が死んだ後どうなったか分かんないけどヤバいんじゃないのか?そのままにしておくとまた被害が出てくるんじゃ‥」
『ふむ。それは心配無用じゃ対処はしておる。それとは別にお主に謝らなければならん。
地球はわしが管理してるのじゃが゛別世界の者に命を奪われた゛という明確な現象が起こらなければ手のつけようがなかったんじゃよ。
お主が最初の被害者だったんじゃ‥悪いと思うておる…。わしの管理下の外から来たモノだったのでなぁ。地球に来た所までは分かっておったんじゃが、いかんせん探し出すことができなんだわ‥本当にすまぬのぅ…』
「爺さん…。そんな落ち込むなよ!ま、あれだ俺には残してきた家族もいないし、‥友人達ともう会えないってのはキツいがまぁもう死んじまったもんはしょうがないじゃんか!それにココは天界と天国の間なんだろ?ってことは俺、天国には最低でもいけるんでしょ?もしかしたら死んだ両親にも会えるかもしれないしな!そうだろ?」
『‥‥‥(フルフル)すまんがそれは無理なのじゃ。』
神様は申し訳なさそうに頭を横に振った。
「‥‥そっかー。うん。もちろん天界って所でも‥」
『…ないのぅ』
(ハイ!きたぁ!わかってた。わかってたよ俺!だって神様が直々に説明に来てるのがフラグになってるし、天国へ逝けるんだったら最初から天国の中とかにいるはずだもんな!なんだよ!天界と天国の間って!どこだよ!?ここだよ!ちくしょー!!‥あ、もう1つあった!話の流れ的にこれはもしかして‥)
「爺さん‥最後に1つだけ聞くぜ‥‥゛異世界゛へは‥?(ゴクリ」
『それじゃぁぁぁぁっ!!!!!!』
神様は残り少なくなっている毛髪を振り乱しながら叫んだ。
その声は美しく咲く菜の花畑へ吸い込まれていったという。
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