SteamMakina 最強兵器とメンヘラ令嬢の蒸気飛行船紀行

理想論者

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第1話 出現

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ここは鉄の配管で囲まれた街、オータリン。煙突と電線が街を囲んでいる。黒く染まった海、オイルアを使って、蒸気機関や、ディーゼル機関が発達した。人々は、全知全能の未解読の書により、革新的な技術を作り上げた。

だが人々は、一つ大きな間違いを犯してしまった。

「嫌だ、助けてくれぇっ!」

齢三十に見える男が、銃を持った機械兵達に怯えている。

「やめろ!」

バンッ、と銃声が鳴り響く、ただ被害者ら、この一人の男だけではなかった。機械兵達は次々と人々を撃っていく。
次々と襲われる民衆には、何故こんなことになったのか。だがその時、

「ねぇねぇ、今日は何体殺せるかな?」
「知らん。まあ、数十体はくだらないだろう。」

ゴーグル付きの帽子を被った銀髪の少女が青年とオートバイに乗っている。

「うんうん、それでこそシトラス君だよ!」
「はぁ…くだらん。」
「あはは、上手いこと言うね!何十体はくだらんってあはははっはは!」

この陰惨な現場とは、場違いな二人組だ。だが、こういう戦場を何度も潜り抜けて来たのだろう。

「そろそろ煩いぞ。」
「はーい、じゃあよろしく。13号」
「煩い、黙れ、これで轢くぞ。」
「ちょっとからかっただけじゃん。ごめん、ごめんって」

やがて青年はバイクを停めた。

「やっちゃって、シトラス!」
「ああ…」

少女を降ろして、青年は特徴的な腕時計の上にあるボタンを押した。

「ヴオォォアアアア!」

どんどん青年の姿が変わっていく。人がまるで機械に飲み込まれていくように。あらゆるところに配線が伸びてそれを包むように大きい配管が包んでいく。そして、装甲が装着されていく。だが。頭頂部が白く燃えている。

青年は13号と呼ばれていた。
人間の手から離れて暴走する機械、通称:反人機械《ランナウェイズ》の間を縫って、オートバイで駆け抜ける。
そして、反人機械《ランナウェイズ》が一斉に13号に敵意を向けた途端、そこに13号の姿はなく、前から右グリップがない転げたオートバイが、次々と反人機械を、轢いて行く。残党を、グリップから伸びる剣先で、機能停止させていく。

その剣の名は、自動変形刀:月光ver.3。由来は、切り付ける傷と剣撃が月の光を反射して美しい弧を描くからである。

だが、彼はその力を扱いきれていない、バイザーで隠れた溢れ出るその『ヒト』の魂を燃やしているからだ。
現に頭頂部には白色に光る炎がパワーを感じさせる。

「な、なんなの、あれ。あれも反人機械なの?」

近くにいた人々は、恐れながらも13号の戦闘に目が離せない。少年の今の姿は殺戮兵器の様で。

だが、ヒーローの様で。

「はいはーい、そこまで。」

ゴーグルをつけた帽子をかぶった銀髪の少女が13号に話しかけると、13号の装甲が腕時計の中に入っていく。だが左腕に着けた赤色のバンダナだけは、戻らない。そして13号のマスクも、そのままだった。人間の体に機械の頭がくっついている。

「戻ったぞ。」
「頭は取らなくていいの?」
「いいんだよ。自分の顔苦手だって言ってるだろ。」

町と工場を繋ぐ配管の下で13号と少女が会話する。そこに、黒い影が出現する。

「あれ、何!」

周りで見ていた民衆の子供が、錆びた鉄の手摺から身を乗り上げている。

「ちょっとあの子!」

少女が子供に注意しようとした時、

「うわっ!」

子供が落ちた。

「シトラス行って!」「承知した!」

13号と子供は15メートルは離れていただろう、だが、13号は子供を抱きしめた。ほんの一瞬で。

「やったね。お手柄だねぇ!シトラス!」
「次は気を付けろ、ガキ。」

子供にそう告げると、腕で抱えてた子供を丁寧に下ろした。

「あの、機械じゃない機械の人、あれ何?」
「なんだその呼び方は、って。」

子供が指さす方向を見ると。それまで砂漠だった。この町に黒い海が出現していた。

「今回、早くない?」
「そうだな、ッ、…逃げろ。」

まずい、これはいつもの満潮とは違う、そう感じる。

「え、なんでよ。」
「いいから。早く逃げるぞ、フラガリア」
「はいはーい。滅多に呼んでくれないんだからー、ね、シトラス君!」

フラガリアの手を引っ張り、バイクを目掛けて走っていく。

「…仕方ない、」
「うぇっ!」

フラガリアを肩に乗せて、シトラスは、勢いよく駆けた。

この世界には、災害が主に二つある。工業化による森の砂漠化とあと一つ、砂漠にしていく最大の原因、なぜ生まれたのか分からない黒の海、オイルアによる大侵洪だ。

しかし目の前には、黒く渦巻く謎の霧が出現した。それは少しずつ姿を変えていく。そして人型になって…

襲いかかって…来る。殺られる前に殺る!

「グルオオォアアア!!」

またシトラスは、13号の姿になる。
そして、黒い霧を斬りつける。斬って斬って斬りまくる。機械を殺すときの火花と電気とは違い。触感がない。まるで素振りしているようだ。

「なんでだ。なんか増えてないか、」
「お、あ、増えてる増えてる。」

斬ったはずの此奴らは、切り口から半分になり、またそこから胴体が、脚が生えていく。なんなんだこいつ!

「いやっ!ちょっと、ねぇ、シトラスゥ!」
「待て!」
気を逸らした隙にフラガリアを、黒い影が連れていく。まずい。

「待ってろ!」

だが彼女を、持っていく影に追いつけない。それどころか増えた影が邪魔をする。

「チッ…邪魔だ!」

斬りつけても、斬りつけても。消えない。それどころか増えていく。

「シッシッシッ…ノロイオロカシキエル」

此奴ら話すのか?いや、そんなことどうでもいい斬り殺してやる。
斬りかかった途端、黒い影が退いていく。それによって、シトラスは、体制を崩した。

「くっ…どうして、こんな奴らが。」

黒い影に頭を押さえつけられた。痛さより重みが勝つ。早く助けなければ!
だが、頭が押さえつけられて。出れない。もっと

「もっと出力を上げて!」

そう言った途端、胸の緑のランプが消えて赤が発光する。マフラーからは煙が待って、踵から出力全開にロケットエンジンを駆ける。一心不乱で、フラガリアの元へ跳んだ。

だが遅かった。

「痛いっ、離してっ!ねえ、離してってばぁ!」

黒い影が、彼女を地面と水平に持っている無数の腕で。そして、

ゴキっと、音がした。
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