追放された魔法使いの巻き込まれ旅

ゆり

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1章 商業都市フレンティア

きょうはとってもいい日 (リリーside)

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「あら、おはよう。リリー」
「…………おあよう、しすた……ぁ」

おはようございます、リリーです!
よるおそくにねちゃったから、おきるのもおそくなっちゃったの。

いつもははやくおきて、おてつだいしてるからね!
今日だけだよ!!

でも、今日ははじめてお外に行く日だから、もっとはやくおきたかったなぁ……。


ちょっとしゅんってしながらきがえて、下におりたら、クレアさんがごはんをたべてた。
ねぐせがついてない、サラサラなかみだけど、昨日おトイレに行くとちゅうで見たふくと同じだった。

クレアさんもおきたばっかりなのかな?

リリーはクレアさんのとなりにすわってみた。
クレアさん、ちょっとびっくりしてる。
リリーがにこっ!って笑ったら、クレアさんもちょっとぎこちない?けど笑ってくれた。
かたっぽだけ笑ってるの!

「クレアさんのかみサラサラだね!リリーはいつも、ねぐせがついてたいへんなの」
「そう、なんだね……?」

あ、クレアさんこまっちゃった。
昨日もクレアさん、こまって固まってた。

はなすのすきじゃないのかな…?

リリーがずっとクレアさんのことを見てたら、クレアさんは、すぅーはぁーっていきを何回も入れたり出したりした。
それで、リリーのかみをさわってきた。

リリーがさっきねぐせのはなししたからだ!
今日はおきるのがおそかったから、ねぐせをなおしてなかったけど……クレアさんがさわるならなおせばよかったな………。

ちょっとおちこんでたら、クレアさんがなんかつぶやいた。
何を言ったかきこえなくて、首をかしげてたら、リリーのかみがフワってした。

びっくりしてさわったら、リリーのねぐせがなおってる!!

「すごいすごい!!これもまほう?」
「……うん、そうだよ。寝癖、気にしてたみたいだから」
「うわぁ……!ありがとうクレアさん!!」
「うん、どういたしまして」

クレアさんはこんどはにっこり笑ってくれた。
今日はとってもいい日だ!!


「それじゃあ、お留守番頼みましたよ?」
「はい、気をつけていってきてください」
「クレアさんまたねー!」

リリーはシスターといっしょに、クレアさんに手をふった。
リリーたちは7才になったからお外に行くけど、クレアさんはおるすばんなんだって。
いっしょがよかったけど、ルークとやくそくしてるみたいだから、しかたがないね。










「うわぁ…………!!」

はじめてのお外で、まわりがキラキラしてる!
いいにおいがするし、たくさん人が歩いてる!
すごくうるさい!!

「リリー、はぐれないようにね」
「はーい!」

シスターと手をつないで、リリーははじめてのお外を歩きはじめた。

とちゅうで、かべにはってある紙を見せられた。

『この顔を見たら、×を×って、×げてください』

ちょっとよめないところもあったけど、シスターが「この人を見たら逃げるのよ」って言ってた。
きっとわるい人。
リリーは右のほっぺにきずのついたおじさんをおぼえました!




まん中のこじいんはにわが広くて、びっくりした。
リリーのこじいんが入っちゃいそう!
こじいんの子もやさしくて、みんな笑ってハンカチをもらってくれたよ!!

今は、にわでみんなとあそんでる。にわからは、フレンティアのおっきいふんすいが見えて、いろんな人があそんでるところを見てた。
シスターは、もらいてに見せつけてるのねって、分からないことを言ってた。

リリーは、今1人で木の下にいる。
みんなやさしいけど、リリーとははなしが合わない。
だから、リリーだけみんながあそんでるのを見てる。

でも、ちょっとつまんないなぁ……。

タイクツしてたら、ちょうちょさんが目のまえをとおっていった。
まっ黒なちょうちょさんは、めずらしくて、きれいで。
気づいたら追いかけてた。


にわの外に出たことも知らないで、むちゅうで追いかけてた。





「あれ……?ちょうちょさんは……?」

気がついたら、リリーはくらい道にいた。
ちょうちょさんも黒かったから、みうしなっちゃった。

でも、ここ、どこだろう……?
こじいんじゃないかも……。

リリーがキョロキョロしても、だれもいない。
みんな、どこ行っちゃったの?



「シスター………?」

リリーがよんだら、「はいはい」って言っていつも来てくれるのに。
シスターが来ないなんて。
リリーのことすてちゃったの………?


「ふっ、うぇっ、うっ、うわぁぁぁぁん!!」

だれもこないよ。
ずっと、ないてなかったのに。
なみだ、とまらないよぉ……!!






なきつかれちゃって、気づいたら、道にすわってた。
だれか来ないかな……。

いきなり、リリーの目のまえがくらくなった。
人がいる。

シスターだ!!
パッて顔をあげた。



目のまえの人は右のほっぺにきずがついた、知らないおじさんだった。
リリーよりもずーっと大きくて、ちょっとこわそう。

「お嬢さんひとり?おじさんが連れてってあげようか?」

おじさんはにっこり笑ってリリーに手をのばしてきた。
こわそうだけど、いい人だ!
リリーはおじさんの手をとった。












やっぱり、今日はとってもいい日。
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