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1章 商業都市フレンティア
同期 (ゼルナside)
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時はルークが起きる前に遡る。
「はぁ…………」
「ん?どうしたゼルナ」
「どうして、どうして………僕たちだけ巡回なんですかっ!!」
「ははは、お前がいれば百人力だもん」
「やめてくださいよ…………」
僕は目の前で太陽に劣らないくらい眩しい笑顔を見せるハース隊長を睨んだ。
真っ赤な髪が映えてますね……。
真昼の火の刻より二刻前の花の刻。
僕とハース隊長は時計塔周辺を警備のために歩いていた。
僕は夜間警備から帰ってきて自室で仮眠を取っていたところを、ハース隊長に叩き起こされた。
まだ3刻しか寝てなかったのに、僕をベッドから引きずり出したハース隊長と一緒に、覚えてないけどご飯を済ませて、制服を着せられた気がする。
気がついたら歩いていたのだからたまったものじゃあない。
しかも、よりにもよって制服だなんて……。
僕はフードのついたお気に入りのローブがないと本領発揮できないというのに、ハース隊長が着替えさせたせいで、今の僕は太陽に照らされて萎びていくキノコだ。
冬にしては眩しいくらいの太陽と、その太陽に劣らない笑顔のハース隊長に嫌気がさして、思わずため息が出てしまう。
隣を歩くハース隊長は、ずっと笑顔で、道行く人の挨拶に応えながら巡回している。
別に僕いなくてもよかったんじゃ…。
「ハース隊長、僕じゃなくてルーク隊長と行けばよかったじゃないですか……」
火の刻が近くなり、食事街のテラス席で昼食を取っている最中に僕がそう聞くと、ハース隊長はサラダを食べる手を止めた。
ずっとテーブルばかり見ていたせいで、手が止まってやっと顔を上げると、ハース隊長からさっきまでの笑顔がなくなっていた。
多分、悲しそう…?だと思う。
あんまり僕は感情を読み取れないけど、笑顔じゃなくて元気もないのは流石にわかる。
僕がハース隊長の言葉を待っていると、ハース隊長は小さく「そうだな………」と呟いて話し始める。
「確かにルークとは同期だし、仲もいいし、ゼルナみたいに愚痴を言いながら巡回することはないだろうなぁ」
「ぐ……」
「でもさ。あいつ、昨日から変だもん。なんか追い詰められてる感じがする。自分がやらなきゃって、思い込んでるときの顔してるんだ」
「………だったらなおさらじゃないですか?」
僕はハース隊長の行動は矛盾している気がして突っ込んでしまった。
今の僕のように、元気がない人の話を聞いてあげるみたいなことが一番肩の荷が下りたり、自分で気づけたりするんじゃないのだろうか。
ハース隊長は力なく笑った。
そして、辺りを見回しながら今度は懐かしそうに笑った。
「俺と同期なの、今じゃルークだけなんだ。他のやつらは皆結婚したり商人に転職したりでさ。いなくなった分まで働けるようにって、めちゃくちゃ訓練させられたんだ。
体力づくりから模擬戦、犯罪者の対処の仕方……とにかく色々な訓練で先輩にしごかれまくって。
俺はもともと出来上がってたようなもんだから、あんまり苦労しなかったけど、ルークは……毎日怒られてたなぁ。
俺たちは14くらいのときに警備隊に入ったんだけど、当時のルークは顔はいいけどやさぐれてて、よくないこともやってたから、いい印象がついてなかったんだ。
だから、その分またいじめられてたし、すばしっこいだけで力がなかったから体力づくりのメニューが倍以上つけられて、夜までやってることもあった。
ひどい言葉もたくさん言われてたし……」
ハース隊長は一回言葉を切って、水を飲んだ。
ここからが本題になるのだろうか。
ハース隊長はまた口を開いた。
「さすがにそんなの毎日見せられてたら、助けたくもなるじゃん?俺は昔から悪評とか気にしないタイプだったから、ルークに話しかけたんだ。
『毎日怒られて大変だね。たまには俺と休もうよ』って。そしたらルークってば俺の親切を無碍にしてさ。『俺ができないから大変なんだ』って言って訓練再開したんだ。
知ってると思うけど、あいつ孤児なんだ。商人の親に邪魔だからって置き去りにされたっぽくて。自分が孤児になったのも、訓練が厳しいのも、全部自分ができないヤツだからって思ってるんだよ。
できるヤツになれば、周りが良くなると思ってるんだよ。
だから、邪魔されるのがすごい嫌なんだ。
結果、今は部隊長まで上り詰めたんだから、ほんとに努力の塊みたいなヤツだよ。
最近は俺のこと頼ってくれるようになってきてたんだけど………また、昔みたいに追い詰められてる顔してたから、俺がなんか協力したら悪いかなって思ったんだよ。ちょっと寂しいけどなぁ……」
ハース隊長は恥ずかしそうに笑って、残りを食べ切ると、僕のお皿も一緒に戻しに行ってしまった。
ルーク隊長も僕みたいにいじめられてきたんだなぁ……。
なんて、ちょっと失礼な感想しか浮かばなかった。
僕は今回が初めて一緒に仕事をする機会だったから、2人の間でそんなことがあったなんて知るはずもなかった。
ハース隊長は昔を知っているから、わざとルーク隊長を呼ばなかったみたいだ。
でも、僕はルーク隊長は多分………
「ゼルナ!出るぞ~」
「あっ、待ってくださいよ」
僕はハース隊長に呼ばれて慌てて荷物を持って店を出た。
相次いで自殺が起きたせいで処理に追われ、ルーク隊長が行方不明になったのを知るのは、もっと後の話だ。
「はぁ…………」
「ん?どうしたゼルナ」
「どうして、どうして………僕たちだけ巡回なんですかっ!!」
「ははは、お前がいれば百人力だもん」
「やめてくださいよ…………」
僕は目の前で太陽に劣らないくらい眩しい笑顔を見せるハース隊長を睨んだ。
真っ赤な髪が映えてますね……。
真昼の火の刻より二刻前の花の刻。
僕とハース隊長は時計塔周辺を警備のために歩いていた。
僕は夜間警備から帰ってきて自室で仮眠を取っていたところを、ハース隊長に叩き起こされた。
まだ3刻しか寝てなかったのに、僕をベッドから引きずり出したハース隊長と一緒に、覚えてないけどご飯を済ませて、制服を着せられた気がする。
気がついたら歩いていたのだからたまったものじゃあない。
しかも、よりにもよって制服だなんて……。
僕はフードのついたお気に入りのローブがないと本領発揮できないというのに、ハース隊長が着替えさせたせいで、今の僕は太陽に照らされて萎びていくキノコだ。
冬にしては眩しいくらいの太陽と、その太陽に劣らない笑顔のハース隊長に嫌気がさして、思わずため息が出てしまう。
隣を歩くハース隊長は、ずっと笑顔で、道行く人の挨拶に応えながら巡回している。
別に僕いなくてもよかったんじゃ…。
「ハース隊長、僕じゃなくてルーク隊長と行けばよかったじゃないですか……」
火の刻が近くなり、食事街のテラス席で昼食を取っている最中に僕がそう聞くと、ハース隊長はサラダを食べる手を止めた。
ずっとテーブルばかり見ていたせいで、手が止まってやっと顔を上げると、ハース隊長からさっきまでの笑顔がなくなっていた。
多分、悲しそう…?だと思う。
あんまり僕は感情を読み取れないけど、笑顔じゃなくて元気もないのは流石にわかる。
僕がハース隊長の言葉を待っていると、ハース隊長は小さく「そうだな………」と呟いて話し始める。
「確かにルークとは同期だし、仲もいいし、ゼルナみたいに愚痴を言いながら巡回することはないだろうなぁ」
「ぐ……」
「でもさ。あいつ、昨日から変だもん。なんか追い詰められてる感じがする。自分がやらなきゃって、思い込んでるときの顔してるんだ」
「………だったらなおさらじゃないですか?」
僕はハース隊長の行動は矛盾している気がして突っ込んでしまった。
今の僕のように、元気がない人の話を聞いてあげるみたいなことが一番肩の荷が下りたり、自分で気づけたりするんじゃないのだろうか。
ハース隊長は力なく笑った。
そして、辺りを見回しながら今度は懐かしそうに笑った。
「俺と同期なの、今じゃルークだけなんだ。他のやつらは皆結婚したり商人に転職したりでさ。いなくなった分まで働けるようにって、めちゃくちゃ訓練させられたんだ。
体力づくりから模擬戦、犯罪者の対処の仕方……とにかく色々な訓練で先輩にしごかれまくって。
俺はもともと出来上がってたようなもんだから、あんまり苦労しなかったけど、ルークは……毎日怒られてたなぁ。
俺たちは14くらいのときに警備隊に入ったんだけど、当時のルークは顔はいいけどやさぐれてて、よくないこともやってたから、いい印象がついてなかったんだ。
だから、その分またいじめられてたし、すばしっこいだけで力がなかったから体力づくりのメニューが倍以上つけられて、夜までやってることもあった。
ひどい言葉もたくさん言われてたし……」
ハース隊長は一回言葉を切って、水を飲んだ。
ここからが本題になるのだろうか。
ハース隊長はまた口を開いた。
「さすがにそんなの毎日見せられてたら、助けたくもなるじゃん?俺は昔から悪評とか気にしないタイプだったから、ルークに話しかけたんだ。
『毎日怒られて大変だね。たまには俺と休もうよ』って。そしたらルークってば俺の親切を無碍にしてさ。『俺ができないから大変なんだ』って言って訓練再開したんだ。
知ってると思うけど、あいつ孤児なんだ。商人の親に邪魔だからって置き去りにされたっぽくて。自分が孤児になったのも、訓練が厳しいのも、全部自分ができないヤツだからって思ってるんだよ。
できるヤツになれば、周りが良くなると思ってるんだよ。
だから、邪魔されるのがすごい嫌なんだ。
結果、今は部隊長まで上り詰めたんだから、ほんとに努力の塊みたいなヤツだよ。
最近は俺のこと頼ってくれるようになってきてたんだけど………また、昔みたいに追い詰められてる顔してたから、俺がなんか協力したら悪いかなって思ったんだよ。ちょっと寂しいけどなぁ……」
ハース隊長は恥ずかしそうに笑って、残りを食べ切ると、僕のお皿も一緒に戻しに行ってしまった。
ルーク隊長も僕みたいにいじめられてきたんだなぁ……。
なんて、ちょっと失礼な感想しか浮かばなかった。
僕は今回が初めて一緒に仕事をする機会だったから、2人の間でそんなことがあったなんて知るはずもなかった。
ハース隊長は昔を知っているから、わざとルーク隊長を呼ばなかったみたいだ。
でも、僕はルーク隊長は多分………
「ゼルナ!出るぞ~」
「あっ、待ってくださいよ」
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