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5-怪盗アルセーヌと電脳の悪夢
高すぎる代償
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電柱に貼り付いていたパネルを開け、無線機を設置する。タブレットからいくらか操作すれば高級住宅地的な敷地内のセキュリティはメルに掌握された、無線機をそのままに住宅地を囲む塀へ走り寄れば裏門がひとりでにスライドして開く。
『30メートル先、セキュリティは気にするな、だが人の警備はどうにもできん』
「無問題…!」
侵入してすぐ行ったのは壁登りである、可能な限り静かに素早く手近な家屋の屋根まで登った。姿勢を低く、まず敷地内の警備員をすべて把握、目的地を見据える。
「左の警報」
言った途端、警報機が壊れかけのラジオみたいな音を発して、下方を歩いていた警備員の注意を引く。その間にメルは跳んだ、別の家屋の屋根へ移り、ぺったりと伏せて、2人の警備員が警報機に取り付くのを待つ。目的地へはもう1人、警備員をどうにかせねばならない、無論殺さずに。
「わんこ」
金属音がしてると思ったら、金持ち特有の躾がまったくなっていない大型犬が檻の中で暴れていた。あれは警備員を襲いたいのではなく遊んで欲しくて暴れているのだが、か弱い人間にとってそんなものは些細な違いである。携帯端末からスマートに開閉したかったのだろう、何故か無線受信機が付いている檻がスライドするやドーベルマンは脱出、警備員に飛びかかる。「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」という悲鳴に紛れて地面に着地、目的の家へたどり着いた。
「入れそう?」
『こいつはやばいぞ、あらゆるものが無線で繋がってる。スマートドアにスマートウインドウ、スマート冷蔵庫、スマートレンジとスマートコンロ、あとスマートトイレ』
「スマートトイレて何さ」
『こっちが聞きたいわ、人間の考える事はよくわからん』
とにかく家全体が無線操作できるなら奴に勝ち目は無い、裏口のすぐ近く、窪みになっている場所で縮こまってタブレットを取り出す。送受信機との距離も近そうだ、中に入らずともここからすべて掌握できる。
試しにパソコンのテレビ電話用カメラをハックしてみよう。
『いやー笑いが止まらんわ! 何もかも意のままじゃないか!』
ああこいつは使えない奴だなって感じの小太り男だった、固定電話の受話器に向かって大笑いしている。さらに電話にも侵入、話し相手の声も掴む。
『あまりやりすぎないでくださいよ、お節介なホワイトハッカーがいないとも限りませんし』
『ホワイトハッカー?』
『ネットワークの秩序を守る側です』
『はっは! 大丈夫だ! そんな奴がいたら営倉に叩き込んでやる、反逆の疑いありってな!』
調子がいい、神にでもなったようだ。いやまぁメルも初めてそこまで達した時は神を自称したが。だが奴へのお仕置き内容は決まった、利己的な迷惑行為にはきつい罰が必要である。
「オーケーそうしよう。パソコンを遠隔操作、バックドアを通ってデータセンターにアクセスし情報改竄」
『もうやってる、罪状はなんだ?』
「反逆の疑い」
目には目をだ、文句は言わせん。タブレットからメールを送りつつヘッドギアを操作、フェイに周波数を合わせる。
「ちょっとアリソンと代わって?」
『ん』
「あーもしもし? 今送ったメール見て、見たら兵隊集めて。たぶんもうすぐ奴がくだらないアクセスするからカウンターしよう、下手な映画より面白いものを見せてあげる」
『委細承知』
幼女の仕事は早かった、警報システムの故障を疑っていた者もドーベルマンをなんとか檻に戻した者も、その場の警備員が本部からの指示を受けて一斉に反応、家の前に集結。さらに敷地の正門が開かれ、メルが屋内のすべての機器をハッキングしている間にライフル装備の兵士も1ダース現れた。まだ騒がない、気付かれないよう家を取り囲む。
「あれ……」
その中にヒナの姿もあった、縦セーターとタイトスカートの私服姿、サブマシンガンのストックを肩にちゃんと当て、裏に回ってきたので手を挙げると声を出す。
「居なくなったと思ったら何やってんの」
「まぁまぁ、そういうヒナちゃんはどういう理由で?」
「やべー奴がいるから取り押さえろって」
完璧だ、メルはほくそ笑む。ヒナらに紛れてこの場を離れるべくハンドガンを用意、立ち上がり、視線はタブレットへ。
モニターには男の顔がアップで映っていた、パソコンの前に座っているのである。何かする気だ、
『えー……女性…プロフィール……』
手に入れてどうすんだ、体重減らせ体重。
『よし出た出た。どれ…………バランスボール? 腹筋ローラー? トランポリン? おいおいおいどうなってる! ワンダーコア!? ふざけるなかわいい女の子を寄越せ!』
「よし行けぇぇ!!」
「全隊突入ーー!!」
図らず、メルの考えを読んでいるかの如く、データセンターのアリソンは動いた。カメラ映像は向こうにも送っているので同じ考えに行き着くのも不思議ではない、しかし見た目ほど無感情ではなさそうだ。奴がアクセスしたプロフィール一覧の画像をダイエット器具に差し替え、ここぞとばかりに突入許可、要求通りのかわいい女の子が裏口ドアを自慢の?義足で真っ二つに蹴破って突入していく。
直後、屋内のありとあらゆる機械が暴走を始めた。水道から水が吹き出し、洗濯機が踊り狂い、スピーカーは大音量でアメリカ野砲隊マーチをかき鳴らして、モニターには不気味に笑うコウモリのシルエット。
「なんだ!? なんだなんだなんだぁぁ!?」
「床に伏せろ!!」
「なんだよお前たちぃぃ!?」
「いいから伏せろ!!」
ドアの次はリビングでパニックを起こす小太り男だ、ヒナに蹴飛ばされて床に転がる。彼女を含む複数人に取り囲まれ、「少しでも動いてみろ! お前の頭に風穴が開くぞ!」とか言われてしまう。泣き怯えながらうつ伏せになったそいつは小一時間後には営倉だ、片方お仕置き完了、である。
「アリソン? フェイ? 見えてた?」
『メル、今日私が見てきた中で最も美しい映像だった』
通信に出たのはフェイ、たぶん褒められた。
「まだまだですよぉ?」
そうまだだ、まだ1人残っている。
『30メートル先、セキュリティは気にするな、だが人の警備はどうにもできん』
「無問題…!」
侵入してすぐ行ったのは壁登りである、可能な限り静かに素早く手近な家屋の屋根まで登った。姿勢を低く、まず敷地内の警備員をすべて把握、目的地を見据える。
「左の警報」
言った途端、警報機が壊れかけのラジオみたいな音を発して、下方を歩いていた警備員の注意を引く。その間にメルは跳んだ、別の家屋の屋根へ移り、ぺったりと伏せて、2人の警備員が警報機に取り付くのを待つ。目的地へはもう1人、警備員をどうにかせねばならない、無論殺さずに。
「わんこ」
金属音がしてると思ったら、金持ち特有の躾がまったくなっていない大型犬が檻の中で暴れていた。あれは警備員を襲いたいのではなく遊んで欲しくて暴れているのだが、か弱い人間にとってそんなものは些細な違いである。携帯端末からスマートに開閉したかったのだろう、何故か無線受信機が付いている檻がスライドするやドーベルマンは脱出、警備員に飛びかかる。「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」という悲鳴に紛れて地面に着地、目的の家へたどり着いた。
「入れそう?」
『こいつはやばいぞ、あらゆるものが無線で繋がってる。スマートドアにスマートウインドウ、スマート冷蔵庫、スマートレンジとスマートコンロ、あとスマートトイレ』
「スマートトイレて何さ」
『こっちが聞きたいわ、人間の考える事はよくわからん』
とにかく家全体が無線操作できるなら奴に勝ち目は無い、裏口のすぐ近く、窪みになっている場所で縮こまってタブレットを取り出す。送受信機との距離も近そうだ、中に入らずともここからすべて掌握できる。
試しにパソコンのテレビ電話用カメラをハックしてみよう。
『いやー笑いが止まらんわ! 何もかも意のままじゃないか!』
ああこいつは使えない奴だなって感じの小太り男だった、固定電話の受話器に向かって大笑いしている。さらに電話にも侵入、話し相手の声も掴む。
『あまりやりすぎないでくださいよ、お節介なホワイトハッカーがいないとも限りませんし』
『ホワイトハッカー?』
『ネットワークの秩序を守る側です』
『はっは! 大丈夫だ! そんな奴がいたら営倉に叩き込んでやる、反逆の疑いありってな!』
調子がいい、神にでもなったようだ。いやまぁメルも初めてそこまで達した時は神を自称したが。だが奴へのお仕置き内容は決まった、利己的な迷惑行為にはきつい罰が必要である。
「オーケーそうしよう。パソコンを遠隔操作、バックドアを通ってデータセンターにアクセスし情報改竄」
『もうやってる、罪状はなんだ?』
「反逆の疑い」
目には目をだ、文句は言わせん。タブレットからメールを送りつつヘッドギアを操作、フェイに周波数を合わせる。
「ちょっとアリソンと代わって?」
『ん』
「あーもしもし? 今送ったメール見て、見たら兵隊集めて。たぶんもうすぐ奴がくだらないアクセスするからカウンターしよう、下手な映画より面白いものを見せてあげる」
『委細承知』
幼女の仕事は早かった、警報システムの故障を疑っていた者もドーベルマンをなんとか檻に戻した者も、その場の警備員が本部からの指示を受けて一斉に反応、家の前に集結。さらに敷地の正門が開かれ、メルが屋内のすべての機器をハッキングしている間にライフル装備の兵士も1ダース現れた。まだ騒がない、気付かれないよう家を取り囲む。
「あれ……」
その中にヒナの姿もあった、縦セーターとタイトスカートの私服姿、サブマシンガンのストックを肩にちゃんと当て、裏に回ってきたので手を挙げると声を出す。
「居なくなったと思ったら何やってんの」
「まぁまぁ、そういうヒナちゃんはどういう理由で?」
「やべー奴がいるから取り押さえろって」
完璧だ、メルはほくそ笑む。ヒナらに紛れてこの場を離れるべくハンドガンを用意、立ち上がり、視線はタブレットへ。
モニターには男の顔がアップで映っていた、パソコンの前に座っているのである。何かする気だ、
『えー……女性…プロフィール……』
手に入れてどうすんだ、体重減らせ体重。
『よし出た出た。どれ…………バランスボール? 腹筋ローラー? トランポリン? おいおいおいどうなってる! ワンダーコア!? ふざけるなかわいい女の子を寄越せ!』
「よし行けぇぇ!!」
「全隊突入ーー!!」
図らず、メルの考えを読んでいるかの如く、データセンターのアリソンは動いた。カメラ映像は向こうにも送っているので同じ考えに行き着くのも不思議ではない、しかし見た目ほど無感情ではなさそうだ。奴がアクセスしたプロフィール一覧の画像をダイエット器具に差し替え、ここぞとばかりに突入許可、要求通りのかわいい女の子が裏口ドアを自慢の?義足で真っ二つに蹴破って突入していく。
直後、屋内のありとあらゆる機械が暴走を始めた。水道から水が吹き出し、洗濯機が踊り狂い、スピーカーは大音量でアメリカ野砲隊マーチをかき鳴らして、モニターには不気味に笑うコウモリのシルエット。
「なんだ!? なんだなんだなんだぁぁ!?」
「床に伏せろ!!」
「なんだよお前たちぃぃ!?」
「いいから伏せろ!!」
ドアの次はリビングでパニックを起こす小太り男だ、ヒナに蹴飛ばされて床に転がる。彼女を含む複数人に取り囲まれ、「少しでも動いてみろ! お前の頭に風穴が開くぞ!」とか言われてしまう。泣き怯えながらうつ伏せになったそいつは小一時間後には営倉だ、片方お仕置き完了、である。
「アリソン? フェイ? 見えてた?」
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