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9-ラプンツェルは塔にはいない
少女は生まれた
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ゴトゴトガタガタと激しく揺れながら扉は開いていく。分厚そうだなと思っていたが本当に分厚かった、核攻撃に耐えるにはこれくらい必要、という事だろう。
人間1人が這い出れるくらいの隙間が空いた頃合で抜け出てもよかったのだが、振動と騒音に紛れて人の騒ぎ声が多分に聞こえてきたため開放動作が終わるまでじっと待機、扉が開ききって静かになった後にバスタードソードを置き捨てひょこりと顔を出してみた。
その瞬間、一際大きなざわめきが上がる。明るい茶色の地面に快晴の青空、あまりしっかりした造りとは言えないものの建物の立ち並ぶ光景は町そのものであり、そしてそれらを背景にして彼ら彼女らは慌てふためいている。よっぽど驚愕の事態だったらしい、この扉が開いたのは。
「すごく場違いな感じです……」
『……』
「アステル?」
さてどうしようか、と相談を行おうとしたかったのだが、いつの間にか通信機はうんともすんとも言わなくなってしまった。何度呼びかけても反応は無し、ひとまず諦め、意を決してスロープを最後まで登りきる。
「あのー、少しよろしいでしょうかー?」
とりあえず話をしてみよう、そう思って呼びかけるも混乱状態を脱してはくれず、「女の子…?」「若いな」「それにかわいい」「いや美しい」「俺ぁちょっと」「緊張しそうで」「誰かサーティエイトを」「待てそれは最終手段だ」「口が悪すぎる」なんて話を円陣組んでするばかり。もう一度、やや音量を上げて呼びかければ皆揃って振り返り、ちょっと待てのジェスチャー、数秒待っていたらやがて1人の女性が引っ張り出されてきた。
「どうして!? 通りかかっただけなのに!」
「四の五の言ってられん! 今この場にいる若い女はあんただけだっ…!」
赤い髪をツインテールにして、ブラウンの高校夏服っぽいベストとスカートその他を着た女性である、外見年齢はこちらと同じか少し上程度、後ろ腰には拳銃のホルスターが見える。ぺいっ、と集団から弾き出された彼女はやや文句を言っていたが、やがて観念したのか困り果てた顔をこちらへ向け、会話できる距離まで歩いてくる。
「こんにちは、鈴蘭って言います」
「レアです……」
「レアさん! すごく書きやすそうな名前!」
「ぇ…あ…どうも…本名ではないのだけれど……」
「どうか仲良くしてください! なんだか私記憶喪失みたいで!」
「うわぁぁ眩しいぃ……!」
そんなに日差し強いだろうか、太陽はまだそんなに高くないのだが。片手で顔を遮って仰け反る彼女にキョトン顔をし、とりあえず回復を待ってからいくつか質問をしてみる。
その間、レアの背後の集団にも動きがあった、数人が新しく加わったようで、少しばかり耳を向けてみれば「どうしましたよ?」「来た」「噂をすれば」「扉が開いてる」「マジ?」「あの子だれ?」「わからない」「行って見ませう」「駄目だ」「待て」「お前が下手に話して」「あの子まで口悪くなったら困る」「おいテメエどういう意味だ!」「そういう」「とこだぞ」みたいな感じ。よくわからないが急に賑やかになった、楽しそうだ。
で、質問。
まずここはどこなのか、"地球上のどこか"という解答をされた。大陸間はもちろん100km先の情報を得るのも一苦労であり、気候を考えると北半球の温帯と思われるのだが、知っているのはそれまで、とのこと。なんだかさっそく嫌な予感がしてきた。
次に皆様方はどういう集団なのか、これには即答された、"戦闘部隊"だ。この拠点の外には敵が溢れているのだと町外周の壁を指差しながら言われた、この町は当初の予想よりずっと小さいらしい。
では敵とは?と聞いてみる、答えは短く"AI"。Artificial Intelligence、人工知能である、昔の人間が楽するために作ったそれが反乱を起こしたという。今や人間は生態系の頂点ではない、壁の外はどこまでいっても廃墟であり、AIに見つかり次第殺されるという。「ごく一部例外もいるみたいだけど」と小さな小さな声で彼女は呟いたが、その瞬間、あまり気にする事ができず。
「本当に記憶喪失なのね」
「そうみたいで…今実感しました……」
「あ…ごめんなさい、ショッキングすぎたかしら」
あまりに長い時間を眠って過ごした気分だ、残った僅かな記憶と常識は実際の現実とかけ離れ過ぎていた。思わず俯いて、レアに背中を撫でられる。「姫が困ってる」「今だ」「行け」「行って助けてこい」「都合のいい奴らだな…!」「ストーカー気質多いよねあの子のファン」というのを聞いたのち、頭を振って嫌な気分を吹き飛ばし、視線を持ち上げると、別の女性が1人近付いてくるところだった。光をよく反射する銀色の長髪をひとまとめにし、ストレッチ性の高い黒の長袖とデニムのショートパンツを着ている。
「綺麗な人……」
「お……綺麗、おいテメエら聞いたか綺麗! 美人! 美人だってよーー!!」
「「Boooooooooooooooooooo!!」」
「Shut uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuup!!」
やっぱり楽しそうだ。
「はぁ……とにかく立ち話には長引きすぎてる、本部も騒ぎ出したし、人の少ない場所へ」
「ええと、あなたは?」
「私の事はシオンと」
レアに手を引かれ、扉の前から移動を開始する。新たに名前を知ったシオンが手をぶんぶん振れば集団が割れ、道が空いた。
「本部に見つからないよう、連中興奮したら露骨に頭悪くなるからな。もろもろ落ち着いた頃戻ってきてください、ティーに話付けさせときますんで」
「あなた達は?」
「せっかく開いたんだ、調べない手はないでしょう」
「あ、気をつけてください、ウイルスと…あと硫酸撒いちゃって」
「ウイルス……硫酸!?」
人間1人が這い出れるくらいの隙間が空いた頃合で抜け出てもよかったのだが、振動と騒音に紛れて人の騒ぎ声が多分に聞こえてきたため開放動作が終わるまでじっと待機、扉が開ききって静かになった後にバスタードソードを置き捨てひょこりと顔を出してみた。
その瞬間、一際大きなざわめきが上がる。明るい茶色の地面に快晴の青空、あまりしっかりした造りとは言えないものの建物の立ち並ぶ光景は町そのものであり、そしてそれらを背景にして彼ら彼女らは慌てふためいている。よっぽど驚愕の事態だったらしい、この扉が開いたのは。
「すごく場違いな感じです……」
『……』
「アステル?」
さてどうしようか、と相談を行おうとしたかったのだが、いつの間にか通信機はうんともすんとも言わなくなってしまった。何度呼びかけても反応は無し、ひとまず諦め、意を決してスロープを最後まで登りきる。
「あのー、少しよろしいでしょうかー?」
とりあえず話をしてみよう、そう思って呼びかけるも混乱状態を脱してはくれず、「女の子…?」「若いな」「それにかわいい」「いや美しい」「俺ぁちょっと」「緊張しそうで」「誰かサーティエイトを」「待てそれは最終手段だ」「口が悪すぎる」なんて話を円陣組んでするばかり。もう一度、やや音量を上げて呼びかければ皆揃って振り返り、ちょっと待てのジェスチャー、数秒待っていたらやがて1人の女性が引っ張り出されてきた。
「どうして!? 通りかかっただけなのに!」
「四の五の言ってられん! 今この場にいる若い女はあんただけだっ…!」
赤い髪をツインテールにして、ブラウンの高校夏服っぽいベストとスカートその他を着た女性である、外見年齢はこちらと同じか少し上程度、後ろ腰には拳銃のホルスターが見える。ぺいっ、と集団から弾き出された彼女はやや文句を言っていたが、やがて観念したのか困り果てた顔をこちらへ向け、会話できる距離まで歩いてくる。
「こんにちは、鈴蘭って言います」
「レアです……」
「レアさん! すごく書きやすそうな名前!」
「ぇ…あ…どうも…本名ではないのだけれど……」
「どうか仲良くしてください! なんだか私記憶喪失みたいで!」
「うわぁぁ眩しいぃ……!」
そんなに日差し強いだろうか、太陽はまだそんなに高くないのだが。片手で顔を遮って仰け反る彼女にキョトン顔をし、とりあえず回復を待ってからいくつか質問をしてみる。
その間、レアの背後の集団にも動きがあった、数人が新しく加わったようで、少しばかり耳を向けてみれば「どうしましたよ?」「来た」「噂をすれば」「扉が開いてる」「マジ?」「あの子だれ?」「わからない」「行って見ませう」「駄目だ」「待て」「お前が下手に話して」「あの子まで口悪くなったら困る」「おいテメエどういう意味だ!」「そういう」「とこだぞ」みたいな感じ。よくわからないが急に賑やかになった、楽しそうだ。
で、質問。
まずここはどこなのか、"地球上のどこか"という解答をされた。大陸間はもちろん100km先の情報を得るのも一苦労であり、気候を考えると北半球の温帯と思われるのだが、知っているのはそれまで、とのこと。なんだかさっそく嫌な予感がしてきた。
次に皆様方はどういう集団なのか、これには即答された、"戦闘部隊"だ。この拠点の外には敵が溢れているのだと町外周の壁を指差しながら言われた、この町は当初の予想よりずっと小さいらしい。
では敵とは?と聞いてみる、答えは短く"AI"。Artificial Intelligence、人工知能である、昔の人間が楽するために作ったそれが反乱を起こしたという。今や人間は生態系の頂点ではない、壁の外はどこまでいっても廃墟であり、AIに見つかり次第殺されるという。「ごく一部例外もいるみたいだけど」と小さな小さな声で彼女は呟いたが、その瞬間、あまり気にする事ができず。
「本当に記憶喪失なのね」
「そうみたいで…今実感しました……」
「あ…ごめんなさい、ショッキングすぎたかしら」
あまりに長い時間を眠って過ごした気分だ、残った僅かな記憶と常識は実際の現実とかけ離れ過ぎていた。思わず俯いて、レアに背中を撫でられる。「姫が困ってる」「今だ」「行け」「行って助けてこい」「都合のいい奴らだな…!」「ストーカー気質多いよねあの子のファン」というのを聞いたのち、頭を振って嫌な気分を吹き飛ばし、視線を持ち上げると、別の女性が1人近付いてくるところだった。光をよく反射する銀色の長髪をひとまとめにし、ストレッチ性の高い黒の長袖とデニムのショートパンツを着ている。
「綺麗な人……」
「お……綺麗、おいテメエら聞いたか綺麗! 美人! 美人だってよーー!!」
「「Boooooooooooooooooooo!!」」
「Shut uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuup!!」
やっぱり楽しそうだ。
「はぁ……とにかく立ち話には長引きすぎてる、本部も騒ぎ出したし、人の少ない場所へ」
「ええと、あなたは?」
「私の事はシオンと」
レアに手を引かれ、扉の前から移動を開始する。新たに名前を知ったシオンが手をぶんぶん振れば集団が割れ、道が空いた。
「本部に見つからないよう、連中興奮したら露骨に頭悪くなるからな。もろもろ落ち着いた頃戻ってきてください、ティーに話付けさせときますんで」
「あなた達は?」
「せっかく開いたんだ、調べない手はないでしょう」
「あ、気をつけてください、ウイルスと…あと硫酸撒いちゃって」
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