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第3話 牧場の温泉と村の言い伝え
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朝焼けに染まる空の下、白石悠真は牧場を見渡していた。昨日新たに加わったヘラクレスは、まだ眠そうな様子で草を噛み、トレジャーは早くも空高く飛び立ち、朝の偵察に出ている。
「異世界に来て三日目か……」
風を感じながら、悠真は小さく呟いた。元の世界では考えられないような生活が、不思議と心地よく感じられ始めていた。
「よし、今日も頑張るか」
悠真が小屋から道具を持ち出し、牧草地の手入れを始めると、ベルがのんびりと近づいてきた。
「おはよう、ベル。今日も元気そうだな」
「メェ~」
ふわふわの毛並みが朝日に輝く。悠真はその姿を見ながら、かつてカメラマンだった自分の手が無意識にシャッターを切りたくなるのを感じた。
「こんな牧場の日常も、絵になるんだよな……」
作業に戻ろうとした時、地面から湯気のようなものが立ち上るのが見えた。
「なんだ?」
気になって近づくと、牧場の片隅、小さな丘の麓から確かに湯気が立ち上っている。土を少し掘ってみると、熱い水が湧き出してきた。
「これは……温泉?」
驚きの声をあげる悠真の背後で、トレジャーが舞い降りた。
「カァ!」
黒い鳥は悠真の手元を興味深そうに覗き込む。
「どうやら牧場に温泉が湧いてるみたいだぞ、トレジャー」
「カァカァ!」
トレジャーは嬉しそうに鳴くと、爪で地面を掻き始めた。
「おい、何してる?」
疑問に思った悠真の目の前で、トレジャーはどんどん土を掘り進め、あっという間に小さな窪みを作り出した。そこへ熱い湯が溜まっていく。
「すごいな……温泉の湯溜まりを作ってるのか」
悠真が感心していると、湯気を見つけたヘラクレスとベルも近づいてきた。
「お前たちも気づいたか」
二匹の家畜は興味津々といった様子で湯溜まりを覗き込んでいる。
「よし、せっかくだから温泉を整備してみるか」
悠真は道具を手に取り、トレジャーが掘った窪みを広げ始めた。作業を進めるうちに、思いの外大きな湯溜まりになっていく。
「これなら人間も入れそうだな」
汗を拭きながら満足げに微笑む悠真。すると、背後から明るい声が響いた。
「わぁ!温泉ですか?すごーい!」
振り返ると、ミリアムが笑顔で立っていた。前日よりもさらに大きな革袋を背負っている。
「おはよう、ミリアム。昨日はありがとう」
「いえいえ!薬草はお役に立ちましたか?」
彼女は嬉しそうに駆け寄ってくると、温泉の湯溜まりを興味深そうに覗き込んだ。
「わぁ、本物の温泉ですね!湯治効果もありそう……」
ミリアムは指を湯に浸し、匂いを嗅いでから少し舐めてみる。
「硫黄分が豊富……これはね、薬効があるんですよ!」
「そうなのか?」
「はい!この温泉水で薬を作れば、治癒効果が高まるはずです」
彼女は目を輝かせながら説明する。エメラルドグリーンの瞳が朝日に照らされて美しく輝いていた。
「それは助かるな。実は俺の牧場の動物たちが少し特殊でな……」
悠真がそう言うと、ミリアムは好奇心いっぱいの顔で動物たちを見回した。
「わぁ!新しい子がいますね!黒い鳥さんと……すごい大きな牛さん!」
「こっちがトレジャー、そして向こうの大きいのがヘラクレスだ」
紹介されると、二匹はミリアムの方を見て鳴いた。
「カァ!」
「モォ!」
「よろしくね、トレジャーさん、ヘラクレスさん!」
ミリアムが手を振ると、トレジャーは彼女の肩に舞い降り、ヘラクレスは大きな顔をゆっくりと近づけてきた。
「あっ、気をつけて。ヘラクレスは……」
警告しようとした悠真の言葉を遮るように、ミリアムはヘラクレスの鼻先を優しく撫でた。
「こんにちは、大きいね」
予想に反して、ヘラクレスは気持ちよさそうに目を細める。
「なんだ、ミリアムには皆懐くんだな」
「動物さんたちは優しい人がわかるんですよ」
彼女の無邪気な笑顔に、悠真も思わず微笑んだ。
「そうだ、この温泉、もっと整備してみませんか?」
ミリアムが提案する。
「どうやって?」
「村で使ってない石材があるんです。それを運んで来れば、ちゃんとした温泉にできますよ!」
「そうか、それはいいかもしれないな」
悠真が頷くと、ミリアムは嬉しそうに飛び跳ねた。
「よし!じゃあ今から村に戻って、必要なものを集めてきますね!」
そう言うと、彼女は風のように走り去っていった。
「相変わらず元気だな……」
悠真は微笑みながら、再び温泉の整備に取り掛かった。
――――――
昼過ぎ、悠真が簡単な昼食を終えると、遠くから人々の声と車輪の音が聞こえてきた。
「あれは……」
村の方から、小さな荷車を引いた数人の若者たちがやってくる。先頭を走るミリアムが手を振っていた。
「悠真さーん!手伝いを連れてきましたよー!」
驚く悠真の前に、ミリアムと五人ほどの村人たちが到着した。荷車には石材や道具が積まれている。
「こんにちは、白石さん。ミリアムから話を聞きました」
筋肉質の青年が前に出て、手を差し出してきた。
「私はクリフ。村の大工です。温泉の整備を手伝いに来ました」
「ありがとう……でも、なぜそこまで?」
悠真が戸惑いながら質問すると、クリフは笑顔で答えた。
「温泉があると聞いたら、皆興味津々でね。それに、異世界から来た牧場主のお手伝いができるなんて、面白そうじゃないですか」
「そうなんですよ!」
ミリアムが元気よく割り込んできた。
「村には温泉がないので、みんな喜んでるんです!完成したら時々入らせてもらえると嬉しいですって」
悠真は思わず苦笑いした。
「まぁ、一人でやるよりは助かるよ。よろしく頼む」
こうして、牧場の温泉整備作業が始まった。クリフの指示のもと、村人たちは石材を運び、湯船の形を作っていく。悠真も積極的に手伝い、作業は予想以上に早く進んだ。
「ねぇ、悠真さん。この牧場の動物たちは本当に特殊なんですか?」
石を運びながら、ミリアムが小声で尋ねてきた。
「ああ、まあ……」
悠真は周囲を見回し、村人たちに聞こえないように答える。
「ベルは雷を放つし、ヘラクレスは角から炎を出す。トレジャーに至っては金塊を見つけてくるんだ」
「わぁ!すごい!」
ミリアムの目が輝いた。
「この辺りには昔から不思議な力を持った動物がいるって言い伝えがあるんです。でも実際に見たのは初めてです!」
「そうなのか?」
「はい!村のお年寄りが子供の頃に見たことがあるって言ってました。特別な場所には、特別な動物が集まるんですって」
悠真は思わず温泉を見つめた。確かに不思議な偶然が重なりすぎている気がする。
「この温泉も、もしかしたら何か特別な場所だったのかもしれませんね」
ミリアムは楽しそうに話を続ける。
「村に伝わる昔話では、心の優しい人のところに不思議な動物が集まるって言われてるんです」
「そうなのか……」
作業が進み、午後も遅くなる頃には、立派な石造りの温泉が完成していた。熱い湯が満たされ、周囲には簡単な木の柵も設置された。
「完成だ!」
クリフが満足げに宣言すると、皆が拍手した。
「これで村の皆さんも使えますね!」
ミリアムが嬉しそうに言う。
「ああ、歓迎するよ。お礼にもなるしな」
悠真が微笑むと、村人たちも喜んだ。
「では、明日から順番に利用させていただきます」
クリフがそう言うと、村人たちは荷車を引いて帰り始めた。
「私はもう少し薬草を採ってから帰りますね」
ミリアムだけが残り、牧場の周辺を歩き回り始めた。
――――――
夕暮れ時、悠真は完成した温泉に浸かっていた。
「ふぅ……最高だな」
湯気に包まれながら、星空を見上げる。不思議と体の疲れが取れていくのを感じた。
「悠真さん、まだ入ってますか?」
ミリアムの声が聞こえてきた。
「ああ。どうした?」
「薬草を集め終わったんですけど……あの、お願いがあるんです」
少し遠慮がちな声色に、悠真は湯から上がり、服を着て柵の外に出た。
「何だろう?」
「実は……この薬草、温泉の湯で煎じたいんです。特別な効果が期待できるので」
彼女は集めた薬草の束を見せながら、恥ずかしそうに笑った。
「構わないよ。好きに使ってくれ」
「ありがとうございます!」
ミリアムは嬉しそうに小さな鍋を取り出し、温泉の端で薬草を煎じ始めた。
「薬草師になりたいって言ってたよな?」
悠真が尋ねると、ミリアムは頷いた。
「はい!村の薬草師のローザおばあさんに教わってるんです。いつか王都に行って、王立薬草院で学びたいんです」
「王都か……遠いのか?」
「馬車で三日ほどかかります。私、一度も行ったことないんですよ」
少し寂しそうに笑うミリアム。悠真は彼女の横顔を見つめた。
「いつか必ず行けるさ」
そう声をかけると、ミリアムは嬉しそうに頷いた。
「はい!頑張ります!」
薬草が煎じ終わると、深い緑色の液体ができあがっていた。
「これで完成です!特別な回復薬ですよ。悠真さんにプレゼントします」
小瓶に入れた薬を差し出すミリアム。
「ありがとう。大切にするよ」
「それじゃ、そろそろ帰らないと。また明日来ますね!」
手を振って走り去るミリアムを見送りながら、悠真は温かい気持ちになった。
夜、悠真は小屋のベッドに横たわり、天井を見つめていた。
「不思議な動物たちが集まる牧場か……」
ベルもトレジャーもヘラクレスも、ただの動物ではない。そして彼らが集まってきた牧場にも何か特別なものがあるのかもしれない。
「異世界に来て三日目か……」
風を感じながら、悠真は小さく呟いた。元の世界では考えられないような生活が、不思議と心地よく感じられ始めていた。
「よし、今日も頑張るか」
悠真が小屋から道具を持ち出し、牧草地の手入れを始めると、ベルがのんびりと近づいてきた。
「おはよう、ベル。今日も元気そうだな」
「メェ~」
ふわふわの毛並みが朝日に輝く。悠真はその姿を見ながら、かつてカメラマンだった自分の手が無意識にシャッターを切りたくなるのを感じた。
「こんな牧場の日常も、絵になるんだよな……」
作業に戻ろうとした時、地面から湯気のようなものが立ち上るのが見えた。
「なんだ?」
気になって近づくと、牧場の片隅、小さな丘の麓から確かに湯気が立ち上っている。土を少し掘ってみると、熱い水が湧き出してきた。
「これは……温泉?」
驚きの声をあげる悠真の背後で、トレジャーが舞い降りた。
「カァ!」
黒い鳥は悠真の手元を興味深そうに覗き込む。
「どうやら牧場に温泉が湧いてるみたいだぞ、トレジャー」
「カァカァ!」
トレジャーは嬉しそうに鳴くと、爪で地面を掻き始めた。
「おい、何してる?」
疑問に思った悠真の目の前で、トレジャーはどんどん土を掘り進め、あっという間に小さな窪みを作り出した。そこへ熱い湯が溜まっていく。
「すごいな……温泉の湯溜まりを作ってるのか」
悠真が感心していると、湯気を見つけたヘラクレスとベルも近づいてきた。
「お前たちも気づいたか」
二匹の家畜は興味津々といった様子で湯溜まりを覗き込んでいる。
「よし、せっかくだから温泉を整備してみるか」
悠真は道具を手に取り、トレジャーが掘った窪みを広げ始めた。作業を進めるうちに、思いの外大きな湯溜まりになっていく。
「これなら人間も入れそうだな」
汗を拭きながら満足げに微笑む悠真。すると、背後から明るい声が響いた。
「わぁ!温泉ですか?すごーい!」
振り返ると、ミリアムが笑顔で立っていた。前日よりもさらに大きな革袋を背負っている。
「おはよう、ミリアム。昨日はありがとう」
「いえいえ!薬草はお役に立ちましたか?」
彼女は嬉しそうに駆け寄ってくると、温泉の湯溜まりを興味深そうに覗き込んだ。
「わぁ、本物の温泉ですね!湯治効果もありそう……」
ミリアムは指を湯に浸し、匂いを嗅いでから少し舐めてみる。
「硫黄分が豊富……これはね、薬効があるんですよ!」
「そうなのか?」
「はい!この温泉水で薬を作れば、治癒効果が高まるはずです」
彼女は目を輝かせながら説明する。エメラルドグリーンの瞳が朝日に照らされて美しく輝いていた。
「それは助かるな。実は俺の牧場の動物たちが少し特殊でな……」
悠真がそう言うと、ミリアムは好奇心いっぱいの顔で動物たちを見回した。
「わぁ!新しい子がいますね!黒い鳥さんと……すごい大きな牛さん!」
「こっちがトレジャー、そして向こうの大きいのがヘラクレスだ」
紹介されると、二匹はミリアムの方を見て鳴いた。
「カァ!」
「モォ!」
「よろしくね、トレジャーさん、ヘラクレスさん!」
ミリアムが手を振ると、トレジャーは彼女の肩に舞い降り、ヘラクレスは大きな顔をゆっくりと近づけてきた。
「あっ、気をつけて。ヘラクレスは……」
警告しようとした悠真の言葉を遮るように、ミリアムはヘラクレスの鼻先を優しく撫でた。
「こんにちは、大きいね」
予想に反して、ヘラクレスは気持ちよさそうに目を細める。
「なんだ、ミリアムには皆懐くんだな」
「動物さんたちは優しい人がわかるんですよ」
彼女の無邪気な笑顔に、悠真も思わず微笑んだ。
「そうだ、この温泉、もっと整備してみませんか?」
ミリアムが提案する。
「どうやって?」
「村で使ってない石材があるんです。それを運んで来れば、ちゃんとした温泉にできますよ!」
「そうか、それはいいかもしれないな」
悠真が頷くと、ミリアムは嬉しそうに飛び跳ねた。
「よし!じゃあ今から村に戻って、必要なものを集めてきますね!」
そう言うと、彼女は風のように走り去っていった。
「相変わらず元気だな……」
悠真は微笑みながら、再び温泉の整備に取り掛かった。
――――――
昼過ぎ、悠真が簡単な昼食を終えると、遠くから人々の声と車輪の音が聞こえてきた。
「あれは……」
村の方から、小さな荷車を引いた数人の若者たちがやってくる。先頭を走るミリアムが手を振っていた。
「悠真さーん!手伝いを連れてきましたよー!」
驚く悠真の前に、ミリアムと五人ほどの村人たちが到着した。荷車には石材や道具が積まれている。
「こんにちは、白石さん。ミリアムから話を聞きました」
筋肉質の青年が前に出て、手を差し出してきた。
「私はクリフ。村の大工です。温泉の整備を手伝いに来ました」
「ありがとう……でも、なぜそこまで?」
悠真が戸惑いながら質問すると、クリフは笑顔で答えた。
「温泉があると聞いたら、皆興味津々でね。それに、異世界から来た牧場主のお手伝いができるなんて、面白そうじゃないですか」
「そうなんですよ!」
ミリアムが元気よく割り込んできた。
「村には温泉がないので、みんな喜んでるんです!完成したら時々入らせてもらえると嬉しいですって」
悠真は思わず苦笑いした。
「まぁ、一人でやるよりは助かるよ。よろしく頼む」
こうして、牧場の温泉整備作業が始まった。クリフの指示のもと、村人たちは石材を運び、湯船の形を作っていく。悠真も積極的に手伝い、作業は予想以上に早く進んだ。
「ねぇ、悠真さん。この牧場の動物たちは本当に特殊なんですか?」
石を運びながら、ミリアムが小声で尋ねてきた。
「ああ、まあ……」
悠真は周囲を見回し、村人たちに聞こえないように答える。
「ベルは雷を放つし、ヘラクレスは角から炎を出す。トレジャーに至っては金塊を見つけてくるんだ」
「わぁ!すごい!」
ミリアムの目が輝いた。
「この辺りには昔から不思議な力を持った動物がいるって言い伝えがあるんです。でも実際に見たのは初めてです!」
「そうなのか?」
「はい!村のお年寄りが子供の頃に見たことがあるって言ってました。特別な場所には、特別な動物が集まるんですって」
悠真は思わず温泉を見つめた。確かに不思議な偶然が重なりすぎている気がする。
「この温泉も、もしかしたら何か特別な場所だったのかもしれませんね」
ミリアムは楽しそうに話を続ける。
「村に伝わる昔話では、心の優しい人のところに不思議な動物が集まるって言われてるんです」
「そうなのか……」
作業が進み、午後も遅くなる頃には、立派な石造りの温泉が完成していた。熱い湯が満たされ、周囲には簡単な木の柵も設置された。
「完成だ!」
クリフが満足げに宣言すると、皆が拍手した。
「これで村の皆さんも使えますね!」
ミリアムが嬉しそうに言う。
「ああ、歓迎するよ。お礼にもなるしな」
悠真が微笑むと、村人たちも喜んだ。
「では、明日から順番に利用させていただきます」
クリフがそう言うと、村人たちは荷車を引いて帰り始めた。
「私はもう少し薬草を採ってから帰りますね」
ミリアムだけが残り、牧場の周辺を歩き回り始めた。
――――――
夕暮れ時、悠真は完成した温泉に浸かっていた。
「ふぅ……最高だな」
湯気に包まれながら、星空を見上げる。不思議と体の疲れが取れていくのを感じた。
「悠真さん、まだ入ってますか?」
ミリアムの声が聞こえてきた。
「ああ。どうした?」
「薬草を集め終わったんですけど……あの、お願いがあるんです」
少し遠慮がちな声色に、悠真は湯から上がり、服を着て柵の外に出た。
「何だろう?」
「実は……この薬草、温泉の湯で煎じたいんです。特別な効果が期待できるので」
彼女は集めた薬草の束を見せながら、恥ずかしそうに笑った。
「構わないよ。好きに使ってくれ」
「ありがとうございます!」
ミリアムは嬉しそうに小さな鍋を取り出し、温泉の端で薬草を煎じ始めた。
「薬草師になりたいって言ってたよな?」
悠真が尋ねると、ミリアムは頷いた。
「はい!村の薬草師のローザおばあさんに教わってるんです。いつか王都に行って、王立薬草院で学びたいんです」
「王都か……遠いのか?」
「馬車で三日ほどかかります。私、一度も行ったことないんですよ」
少し寂しそうに笑うミリアム。悠真は彼女の横顔を見つめた。
「いつか必ず行けるさ」
そう声をかけると、ミリアムは嬉しそうに頷いた。
「はい!頑張ります!」
薬草が煎じ終わると、深い緑色の液体ができあがっていた。
「これで完成です!特別な回復薬ですよ。悠真さんにプレゼントします」
小瓶に入れた薬を差し出すミリアム。
「ありがとう。大切にするよ」
「それじゃ、そろそろ帰らないと。また明日来ますね!」
手を振って走り去るミリアムを見送りながら、悠真は温かい気持ちになった。
夜、悠真は小屋のベッドに横たわり、天井を見つめていた。
「不思議な動物たちが集まる牧場か……」
ベルもトレジャーもヘラクレスも、ただの動物ではない。そして彼らが集まってきた牧場にも何か特別なものがあるのかもしれない。
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