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雪国の白き守護者
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冬の厳しい寒さが窓の外から侵入しようとしていたが、図書館の中は心地よい暖かさに包まれていた。夕凪蓮夜は、古い民話集を手に取り、ページをめくりながら物思いにふけっていた。
「北欧の精霊譚か…」
蓮夜は黒髪を掻き上げながら、ページに描かれた美しい挿絵に見入った。青白い肌をした少女が、雪の中で踊る姿が繊細な線で描かれている。
「スノーメイデン…雪の乙女…」
彼は声に出して読んだ。
「北欧の伝説によれば、スノーメイデンは雪と氷を操る美しい少女の姿をした精霊。彼女たちは冬の守護者とされ、村人たちを雪崩や吹雪から守ると言われている。しかし1879年、スウェーデンのヨックモック村では、最後のスノーメイデンが姿を消したという。村は翌年の冬、大雪崩に襲われ、多くの犠牲者を出した…」
蓮夜の黒い瞳が好奇心で輝いた。彼は立ち上がり、窓の外に目を向けた。冬の風景が広がり、小さな雪が舞い始めていた。
「行ってみよう。1879年、スウェーデン、ヨックモック村…最後のスノーメイデンを見に」
時空間移動の青い光が彼を包み込み、光が収まるころには蓮夜はその場から姿を消していた。
――――――――――――――――――――――――――――――.
凍えるような冷気と雪の匂い。蓮夜が目を開けると、白銀の世界が広がっていた。
「到着したようだな」
彼は周りを見回した。小さな村が雪に覆われ、煙突から立ち上る煙だけが生活の気配を示していた。遠くには針葉樹の森が広がり、その背後には険しい山々が聳え立っていた。空は灰色に曇り、細かい雪が静かに降り続いていた。
蓮夜は服装を現地風に調整した。厚い毛皮のコートに革のブーツ、首には温かそうなマフラーを巻き、頭には毛皮の帽子を被った。
「さて、村に行ってみるか…」
彼は雪を踏みしめながら、ヨックモック村へと向かった。村に入ると、小さな木造の家々が並び、中央には石造りの教会が建っていた。人々は厳しい冬の中でも、日常の生活を営んでいた。
蓮夜は村の酒場を見つけ、中に入った。温かい空気と料理の匂いが彼を包み込む。数人の村人が暖炉の周りで話をしており、彼の入店に気づくと、一瞬会話を止めて彼を見つめた。
「こんにちは」
蓮夜はスウェーデン語で挨拶した。彼の言語能力は、時空を超える能力の副産物だった。
中年の男性が彼に向かって頷いた。
「見知らぬ顔だな。旅人か?」
「ええ、研究のためにこの地方を訪れています」
蓮夜は自然に溶け込むための説明をした。
「フォークロアに興味があって、特にスノーメイデンの伝説について調べています」
その言葉を聞いた村人たちの表情が一瞬こわばった。沈黙が流れた後、暖炉の隣に座っていた白髪の老人が口を開いた。
「スノーメイデンのことを知りたいなら、クリスティナおばさんに会うといい。村はずれの小さな小屋に住んでいる。彼女なら何か知っているだろう」
蓮夜は感謝の意を示し、暖かい食事を取った後、クリスティナという女性の小屋へと向かった。
――――――――――――――――――――――――
村はずれの小さな小屋の前で、蓮夜はドアをノックした。しばらくして、ドアが開き、白髪の老婆が顔を出した。その瞳は不思議な青さを湛えていた。
「こんにちは。クリスティナさんですか?スノーメイデンについて話を聞きたくて…」
老婆は蓮夜をじっと見つめた後、わずかに笑みを浮かべた。
「さあ、中へどうぞ。寒いところに立たせて悪いね」
蓮夜は招かれるまま小屋に入った。内部は意外に広く、暖炉の火が心地よい温かさを提供していた。壁には様々な草花が乾燥させて吊るされ、棚には古い本や瓶が並んでいた。
「お茶を飲みますか?」
クリスティナは小さなやかんを火にかけた。
「ありがとうございます」
二人が暖炉の前に座ると、クリスティナは静かに話し始めた。
「スノーメイデンのことを知りたいと言ったわね。なぜそんなことに興味があるの?」
「歴史や伝説に興味があって…特に失われた文化や慣習について調べています」
蓮夜は注意深く言葉を選んだ。
クリスティナはしばらく彼を観察し、やがて納得したように頷いた。
「私の祖母はスノーメイデンと友達だったと言われています。彼女から多くの話を聞きました」
老婆の声は優しく、どこか懐かしい響きを持っていた。
「スノーメイデンは単なる伝説ではありません。彼女たちは本当に存在し、この地を守ってきました。雪崩から村を守り、吹雪に迷った人々を導き、冬の厳しさの中で人々に希望を与えてきたのです」
蓮夜は興味深く聞き入った。
「最後のスノーメイデンについて何か知っていますか?彼女が姿を消したという話を聞きました」
クリスティナの表情が暗くなった。
「エリーナ…そう、彼女の名前はエリーナでした。美しい少女でした。肌は雪のように白く、髪は透き通るような青みがかった銀色…」
老婆は遠い記憶を辿るように目を細めた。
「エリーナは人間の若者と恋に落ちました。村の狩人の息子、ヨハンと。それが悲劇の始まりでした」
蓮夜は茶を飲みながら、老婆の話に聞き入った。
「スノーメイデンは人間と深い関係を持つことを禁じられています。彼女たちは自然の精霊であり、人間の情熱によって溶けてしまうと言われているのです」
「しかし、エリーナはその掟を破った…」
クリスティナは頷いた。
「ヨハンとエリーナは秘密の逢瀬を重ねました。しかし、恋が深まるにつれ、エリーナの力は弱まっていきました。彼女の体は次第に透明になり始め、雪を操る力も失われていったのです」
「それで何が起きたのですか?」
「村の長老たちは事態を察知し、ヨハンを別の村へ送り出しました。エリーナを守るためだったのです。しかし…」
クリスティナは深いため息をついた。
「エリーナは悲しみのあまり、山の洞窟に引きこもりました。そして去年の冬、彼女の姿を見た者はいなくなりました。最後のスノーメイデンは、恋の悲しみとともに消えてしまったのです」
蓮夜は考え込んだ。
「姿を見せなくなっただけであれば、彼女はまだ生きているかもしれませんね。洞窟がどこにあるか知っていますか?」
クリスティナは窓の外、北の山々を指さした。
「ムートゥス山の中腹に、青い氷の洞窟があります。そこが彼女の住処だと言われています。でも、若い人、危険な旅になりますよ。あの山は簡単には近づけません」
蓮夜は決意を固めた。
「行ってみます。最後のスノーメイデンに会いたい」
クリスティナは彼をじっと見つめ、やがて立ち上がった。彼女は棚から小さな結晶のペンダントを取り出した。
「これを持っていきなさい。私の祖母からの形見です。スノーメイデンの涙から作られたと言われています。あなたを守ってくれるでしょう」
蓮夜は感謝の意を示し、ペンダントを首にかけた。
「明日出発します。何か他に知っておくべきことはありますか?」
クリスティナは静かに言った。
「スノーメイデンの心を溶かすのは暖かさですが、彼女たちを救うのも暖かさかもしれません。ただし、それは熱ではなく、心の温もりです」
蓮夜はその言葉の意味を考えながら、老婆の小屋を後にした。
――――――――――――――――――――――――
翌朝、蓮夜は早くに起き出し、山への旅の準備をした。村の商店で必要な装備を調え、食料を用意した。村人たちは彼の計画を聞くと心配そうな表情を浮かべたが、止めようとはしなかった。
「ムートゥス山は厳しい」
商店の主人が警告した。
「特にこの季節は。吹雪が突然襲いかかり、視界をゼロにする。そして雪崩の危険もある」
蓮夜は頷いた。
「気をつけます」
準備を終え、蓮夜は村を出発した。朝の陽光が雪に反射し、幻想的な輝きを放っていた。村人たちが遠くから見送る中、彼は北の山へと向かって歩き始めた。
最初の数時間は比較的容易だった。なだらかな斜面を登り、針葉樹の森を抜けていく。しかし、標高が上がるにつれ、風が強くなり、雪も深くなっていった。
昼過ぎには、空が急に暗くなり始めた。雲が厚くなり、雪がより激しく降り始める。
「天気が悪化してきたな…」
蓮夜はクリスティナから受け取ったペンダントを握りしめた。不思議と、その結晶は温かみを帯びていた。
突然、風が一層強くなり、吹雪が彼を包み込んだ。視界が一気に悪化し、前方がほとんど見えなくなる。
「こんな時に…」
彼は困難に立ち向かいながら前進を続けようとしたが、方向感覚が失われつつあった。周囲は白一色となり、どこへ進むべきか判断できなくなっていた。
その時、かすかな青い光が吹雪の中で見えた。
「あれは…?」
蓮夜はその光を頼りに歩いた。光は彼の前を漂うように移動し、まるで導いているかのようだった。彼はそれに従い、雪の斜面を登り続けた。
しばらくすると、突然、風が弱まり、吹雪が収まった。蓮夜の前に大きな洞窟の入り口が現れた。洞窟の壁は青く輝く氷で覆われ、内部からはかすかな光が漏れていた。
「青い氷の洞窟…」
彼は息を呑み、洞窟の中へと足を踏み入れた。
――――――――――――――――――――――――
洞窟の内部は、想像を超える美しさだった。壁は完全に氷で覆われ、不思議な青い光を発していた。天井からは氷柱が垂れ下がり、床には雪の結晶の形をした模様が刻まれていた。
蓮夜は息を呑みながら、さらに奥へと進んだ。やがて洞窟が広がり、大きな空間に出た。その中央には、氷の玉座のような場所があり、そこに一人の少女が座っていた。
「エリーナ…」
蓮夜は思わず名前を口にした。
少女はゆっくりと顔を上げた。クリスティナの描写通り、彼女の肌は雪のように白く、髪は青みがかった銀色に輝いていた。しかし、その姿は半透明で、まるでガラス細工のように繊細に見えた。
少女は不思議そうな表情で蓮夜を見つめた。
「あなたは誰?どうしてここに?」
その声は、氷の鐘のように澄んでいた。
「僕は夕凪蓮夜。あなたに会いたくて来ました」
蓮夜は慎重に近づいた。
「クリスティナさんから話を聞きました」
エリーナの表情が柔らかくなった。
「クリスティナ…彼女はまだ元気ですか?」
「ええ、元気です。あなたのことを心配していました」
エリーナは淋しそうに微笑んだ。
「彼女はいつも優しかった…」
蓮夜はさらに近づき、彼女の状態をよく観察した。エリーナの体は確かに半透明で、時折、雪片のようなものが彼女の体から舞い落ちていた。
「どうしてこんな姿に…?」
エリーナはため息をついた。
「私はスノーメイデンの掟を破りました。人間を愛したのです。その代償として、私の力は弱まり、体も溶け始めています」
蓮夜はクリスティナの言葉を思い出した。
「ヨハンのことですか?」
エリーナの目に涙が浮かんだ。その涙は落ちると同時に凍り、小さな結晶となった。
「ヨハンは私の心を温かくしてくれました。それは素晴らしく、同時に恐ろしいことでした。スノーメイデンは冷たさの中でしか生きられません。愛は私たちを溶かし、消し去ってしまうのです」
「でも、村はあなたを必要としています」
蓮夜は言った。
「あなたがいなくなってから、雪崩の危険が高まっています。村の人々は不安を抱えています」
エリーナは悲しく笑った。
「私には力が残っていません。かつてのように村を守ることはできないのです」
蓮夜は考え込んだ。
「本当にそうでしょうか?クリスティナさんは言っていました。スノーメイデンの心を溶かすのは暖かさだけど、救うのも暖かさかもしれないと」
エリーナは驚いたように彼を見た。
「どういう意味ですか?」
蓮夜はクリスティナからもらったペンダントを取り出した。
「これは、スノーメイデンの涙から作られたものだそうです。あなたの先祖の一人のものかもしれません」
彼はペンダントをエリーナに差し出した。
「恐らく、あなたに必要なのは、失われた力を取り戻すことではないでしょうか」
エリーナは恐る恐る手を伸ばし、ペンダントに触れた。その瞬間、ペンダントが青く輝き始め、その光が彼女の体を包み込んだ。
「これは…」
驚きの表情を浮かべるエリーナ。彼女の体がゆっくりと変化し始めた。半透明だった体が少しずつ実体化し、雪片が彼女の周りで踊り始めた。
「私の力が…戻ってきています」
彼女は自分の手を見つめ、その変化に驚いていた。
「なぜ…?」
蓮夜は微笑んだ。
「愛がスノーメイデンを溶かすというのは本当かもしれません。でも、それは完全に消し去るものではなく、変化させるものなのでしょう。あなたは人間の情熱によって変わり始めていたのです」
エリーナは不思議そうな表情で彼を見た。
「それでは、私はもうスノーメイデンではないのですか?」
「いいえ、あなたはまだスノーメイデンです。ただ、新しい形のスノーメイデンになろうとしているのです。人間の心を理解したスノーメイデン」
彼女の周りの空気が変わり、洞窟内に雪が降り始めた。しかし、その雪は冷たさを感じさせず、どこか温かみを帯びていた。
「私は…戻るべきでしょうか?村に?」
蓮夜は頷いた。
「村はあなたを必要としています。そして、あなたも村を必要としているのではないですか?」
エリーナは黙って考え込んだ。
「でも、ヨハンは…」
「彼も戻ってくるかもしれません。そして戻ってこなくても、あなたはあなたの役割を果たせるはずです」
彼女はしばらく黙っていたが、やがて決意に満ちた表情になった。
「村に戻ります。私にできることをします」
エリーナが立ち上がると、彼女の周りに雪が舞い、風が吹き始めた。彼女の姿が輝き、まるで新しい力を得たかのようだった。
「夕凪蓮夜さん、ありがとう。あなたが来てくれなければ、私はここで消えていくしかなかったでしょう」
蓮夜は微笑んだ。
「僕は旅人です。様々な場所で、様々な出会いがあります。今回の出会いも、僕にとって貴重なものです」
エリーナは彼に近づき、頬にそっと触れた。その感触は意外に温かだった。
「さあ、村へ戻りましょう」
――――――――――――――――――――――――
村への帰り道、エリーナは蓮夜を導いた。彼女がいることで、吹雪は彼らを避け、雪は道を作るように移動した。二人は短時間で山を下り、村に到着した。
村人たちは最初、遠くに現れた二人の姿に気づかなかった。しかし、エリーナが近づくにつれ、雪が彼女の周りで踊り始め、風が優しく囁くような音を立てた。村の子どもたちが最初に気づき、歓声を上げた。
「見て!あそこに誰かいる!」
大人たちも気づき始め、村の広場に集まってきた。クリスティナも杖をつきながら現れ、エリーナを見るとその目に涙を浮かべた。
「エリーナ…」
エリーナは村人たちの前に立ち、深く頭を下げた。
「皆さん、私は戻ってきました。かつてのように、この村を守るために」
村人たちは最初、驚きと疑念の入り混じった表情を浮かべていたが、クリスティナが前に出て、エリーナを抱きしめると、その場の雰囲気が一変した。喜びと安堵の声が上がり、人々は彼女の帰還を歓迎し始めた。
「スノーメイデンが戻ってきた!」
夜には、村全体でのお祝いの宴が開かれた。エリーナは昔のように雪を操り、子どもたちのために美しい雪の造形を作り出した。彼女の力は以前とは少し違っていた。より繊細で、より人間に近いものになっていたが、それでも村を守るには十分だった。
蓮夜は少し離れた場所から、その光景を見守っていた。彼の役割は終わったのだ。
宴の終わり頃、クリスティナが彼に近づいてきた。
「あなたは素晴らしいことをしてくれました」
老婆は感謝の意を込めて言った。
「スノーメイデンを取り戻しただけでなく、新しい道を示してくれた」
蓮夜は微笑んだ。
「エリーナは自分で道を見つけたんです。僕はただ少し手伝っただけです」
クリスティナは彼の手を取った。
「あなたは特別な人ですね。どこから来て、どこへ行くのか、私にはわかりませんが…」
蓮夜は穏やかに応えた。
「僕は旅人です。興味を持った場所であればどこにでも」
老婆は特に驚いた様子もなく、理解したように頷いた。
「そう…だから私の祖母の話を知りたがったのですね」
「はい。僕は歴史の中の秘密を探しているんです」
クリスティナは彼を見つめ、静かに言った。
「私たちの村の歴史に、あなたの名前も刻まれることでしょう」
――――――――――――――――――――――――
翌朝、蓮夜は早くに起き出し、村を出る準備をした。彼はエリーナに別れを告げるため、彼女の小屋を訪れた。エリーナは彼の来訪を待っていたかのように、ドアを開けた。
「行ってしまうのですね」
蓮夜は頷いた。
「僕の旅はここで終わりではないので」
エリーナは理解したように微笑んだ。
「あなたも私と同じ、自分の道を見つける旅の途中なのですね」
「そうかもしれませんね」
二人は村はずれまで一緒に歩いた。朝日が雪原を美しく照らし出していた。
「ありがとう、蓮夜さん。私に新しい希望を与えてくれて」
エリーナは彼の前に立ち、両手を広げた。彼女の手のひらから雪の結晶が舞い上がり、蓮夜の周りを回った。結晶は集まって、小さな氷の花の形となり、彼の胸元に落ちた。
「これは私からの贈り物です。どこへ行っても、この花は溶けることはありません」
蓮夜は感謝の意を示し、氷の花を大切に懐にしまった。
「あなたの未来が明るいものでありますように」
彼は言い、手を振ってエリーナと別れた。村を十分に離れ、誰の目にも触れない場所に来ると、彼は次元移動の準備を始めた。
「帰還する時間だ…」
青白い光が彼を包み込み、彼の姿は現代へと戻っていった。
――――――――――――――――――――――――
現代の図書館に戻った蓮夜は、専用のノートを取り出し、今回の冒険について記録を始めた。
「1879年、スウェーデンのヨックモック村で、失われたと思われていた最後のスノーメイデン、エリーナと出会った。彼女は人間の青年ヨハンとの恋により力を失いかけていたが、先祖のペンダントによって新たな形での力を取り戻した。彼女は村に戻り、以前とは少し異なる形で村の守護者となったのだ。歴史書では翌年に大雪崩があったとされているが、実際にはエリーナの力によって村は守られたのだろう。時に歴史は単純化され、真実は隠されてしまうものだ」
蓮夜はペンを置き、エリーナからもらった氷の花を取り出した。それは現代に戻っても、少しも溶けることなく、美しく輝いていた。
「人間と自然の精霊…異なる存在が共存する道は、必ずあるのだろうな」
彼は微笑み、氷の花を光に透かしながら、次なる冒険に思いを馳せた。
「北欧の精霊譚か…」
蓮夜は黒髪を掻き上げながら、ページに描かれた美しい挿絵に見入った。青白い肌をした少女が、雪の中で踊る姿が繊細な線で描かれている。
「スノーメイデン…雪の乙女…」
彼は声に出して読んだ。
「北欧の伝説によれば、スノーメイデンは雪と氷を操る美しい少女の姿をした精霊。彼女たちは冬の守護者とされ、村人たちを雪崩や吹雪から守ると言われている。しかし1879年、スウェーデンのヨックモック村では、最後のスノーメイデンが姿を消したという。村は翌年の冬、大雪崩に襲われ、多くの犠牲者を出した…」
蓮夜の黒い瞳が好奇心で輝いた。彼は立ち上がり、窓の外に目を向けた。冬の風景が広がり、小さな雪が舞い始めていた。
「行ってみよう。1879年、スウェーデン、ヨックモック村…最後のスノーメイデンを見に」
時空間移動の青い光が彼を包み込み、光が収まるころには蓮夜はその場から姿を消していた。
――――――――――――――――――――――――――――――.
凍えるような冷気と雪の匂い。蓮夜が目を開けると、白銀の世界が広がっていた。
「到着したようだな」
彼は周りを見回した。小さな村が雪に覆われ、煙突から立ち上る煙だけが生活の気配を示していた。遠くには針葉樹の森が広がり、その背後には険しい山々が聳え立っていた。空は灰色に曇り、細かい雪が静かに降り続いていた。
蓮夜は服装を現地風に調整した。厚い毛皮のコートに革のブーツ、首には温かそうなマフラーを巻き、頭には毛皮の帽子を被った。
「さて、村に行ってみるか…」
彼は雪を踏みしめながら、ヨックモック村へと向かった。村に入ると、小さな木造の家々が並び、中央には石造りの教会が建っていた。人々は厳しい冬の中でも、日常の生活を営んでいた。
蓮夜は村の酒場を見つけ、中に入った。温かい空気と料理の匂いが彼を包み込む。数人の村人が暖炉の周りで話をしており、彼の入店に気づくと、一瞬会話を止めて彼を見つめた。
「こんにちは」
蓮夜はスウェーデン語で挨拶した。彼の言語能力は、時空を超える能力の副産物だった。
中年の男性が彼に向かって頷いた。
「見知らぬ顔だな。旅人か?」
「ええ、研究のためにこの地方を訪れています」
蓮夜は自然に溶け込むための説明をした。
「フォークロアに興味があって、特にスノーメイデンの伝説について調べています」
その言葉を聞いた村人たちの表情が一瞬こわばった。沈黙が流れた後、暖炉の隣に座っていた白髪の老人が口を開いた。
「スノーメイデンのことを知りたいなら、クリスティナおばさんに会うといい。村はずれの小さな小屋に住んでいる。彼女なら何か知っているだろう」
蓮夜は感謝の意を示し、暖かい食事を取った後、クリスティナという女性の小屋へと向かった。
――――――――――――――――――――――――
村はずれの小さな小屋の前で、蓮夜はドアをノックした。しばらくして、ドアが開き、白髪の老婆が顔を出した。その瞳は不思議な青さを湛えていた。
「こんにちは。クリスティナさんですか?スノーメイデンについて話を聞きたくて…」
老婆は蓮夜をじっと見つめた後、わずかに笑みを浮かべた。
「さあ、中へどうぞ。寒いところに立たせて悪いね」
蓮夜は招かれるまま小屋に入った。内部は意外に広く、暖炉の火が心地よい温かさを提供していた。壁には様々な草花が乾燥させて吊るされ、棚には古い本や瓶が並んでいた。
「お茶を飲みますか?」
クリスティナは小さなやかんを火にかけた。
「ありがとうございます」
二人が暖炉の前に座ると、クリスティナは静かに話し始めた。
「スノーメイデンのことを知りたいと言ったわね。なぜそんなことに興味があるの?」
「歴史や伝説に興味があって…特に失われた文化や慣習について調べています」
蓮夜は注意深く言葉を選んだ。
クリスティナはしばらく彼を観察し、やがて納得したように頷いた。
「私の祖母はスノーメイデンと友達だったと言われています。彼女から多くの話を聞きました」
老婆の声は優しく、どこか懐かしい響きを持っていた。
「スノーメイデンは単なる伝説ではありません。彼女たちは本当に存在し、この地を守ってきました。雪崩から村を守り、吹雪に迷った人々を導き、冬の厳しさの中で人々に希望を与えてきたのです」
蓮夜は興味深く聞き入った。
「最後のスノーメイデンについて何か知っていますか?彼女が姿を消したという話を聞きました」
クリスティナの表情が暗くなった。
「エリーナ…そう、彼女の名前はエリーナでした。美しい少女でした。肌は雪のように白く、髪は透き通るような青みがかった銀色…」
老婆は遠い記憶を辿るように目を細めた。
「エリーナは人間の若者と恋に落ちました。村の狩人の息子、ヨハンと。それが悲劇の始まりでした」
蓮夜は茶を飲みながら、老婆の話に聞き入った。
「スノーメイデンは人間と深い関係を持つことを禁じられています。彼女たちは自然の精霊であり、人間の情熱によって溶けてしまうと言われているのです」
「しかし、エリーナはその掟を破った…」
クリスティナは頷いた。
「ヨハンとエリーナは秘密の逢瀬を重ねました。しかし、恋が深まるにつれ、エリーナの力は弱まっていきました。彼女の体は次第に透明になり始め、雪を操る力も失われていったのです」
「それで何が起きたのですか?」
「村の長老たちは事態を察知し、ヨハンを別の村へ送り出しました。エリーナを守るためだったのです。しかし…」
クリスティナは深いため息をついた。
「エリーナは悲しみのあまり、山の洞窟に引きこもりました。そして去年の冬、彼女の姿を見た者はいなくなりました。最後のスノーメイデンは、恋の悲しみとともに消えてしまったのです」
蓮夜は考え込んだ。
「姿を見せなくなっただけであれば、彼女はまだ生きているかもしれませんね。洞窟がどこにあるか知っていますか?」
クリスティナは窓の外、北の山々を指さした。
「ムートゥス山の中腹に、青い氷の洞窟があります。そこが彼女の住処だと言われています。でも、若い人、危険な旅になりますよ。あの山は簡単には近づけません」
蓮夜は決意を固めた。
「行ってみます。最後のスノーメイデンに会いたい」
クリスティナは彼をじっと見つめ、やがて立ち上がった。彼女は棚から小さな結晶のペンダントを取り出した。
「これを持っていきなさい。私の祖母からの形見です。スノーメイデンの涙から作られたと言われています。あなたを守ってくれるでしょう」
蓮夜は感謝の意を示し、ペンダントを首にかけた。
「明日出発します。何か他に知っておくべきことはありますか?」
クリスティナは静かに言った。
「スノーメイデンの心を溶かすのは暖かさですが、彼女たちを救うのも暖かさかもしれません。ただし、それは熱ではなく、心の温もりです」
蓮夜はその言葉の意味を考えながら、老婆の小屋を後にした。
――――――――――――――――――――――――
翌朝、蓮夜は早くに起き出し、山への旅の準備をした。村の商店で必要な装備を調え、食料を用意した。村人たちは彼の計画を聞くと心配そうな表情を浮かべたが、止めようとはしなかった。
「ムートゥス山は厳しい」
商店の主人が警告した。
「特にこの季節は。吹雪が突然襲いかかり、視界をゼロにする。そして雪崩の危険もある」
蓮夜は頷いた。
「気をつけます」
準備を終え、蓮夜は村を出発した。朝の陽光が雪に反射し、幻想的な輝きを放っていた。村人たちが遠くから見送る中、彼は北の山へと向かって歩き始めた。
最初の数時間は比較的容易だった。なだらかな斜面を登り、針葉樹の森を抜けていく。しかし、標高が上がるにつれ、風が強くなり、雪も深くなっていった。
昼過ぎには、空が急に暗くなり始めた。雲が厚くなり、雪がより激しく降り始める。
「天気が悪化してきたな…」
蓮夜はクリスティナから受け取ったペンダントを握りしめた。不思議と、その結晶は温かみを帯びていた。
突然、風が一層強くなり、吹雪が彼を包み込んだ。視界が一気に悪化し、前方がほとんど見えなくなる。
「こんな時に…」
彼は困難に立ち向かいながら前進を続けようとしたが、方向感覚が失われつつあった。周囲は白一色となり、どこへ進むべきか判断できなくなっていた。
その時、かすかな青い光が吹雪の中で見えた。
「あれは…?」
蓮夜はその光を頼りに歩いた。光は彼の前を漂うように移動し、まるで導いているかのようだった。彼はそれに従い、雪の斜面を登り続けた。
しばらくすると、突然、風が弱まり、吹雪が収まった。蓮夜の前に大きな洞窟の入り口が現れた。洞窟の壁は青く輝く氷で覆われ、内部からはかすかな光が漏れていた。
「青い氷の洞窟…」
彼は息を呑み、洞窟の中へと足を踏み入れた。
――――――――――――――――――――――――
洞窟の内部は、想像を超える美しさだった。壁は完全に氷で覆われ、不思議な青い光を発していた。天井からは氷柱が垂れ下がり、床には雪の結晶の形をした模様が刻まれていた。
蓮夜は息を呑みながら、さらに奥へと進んだ。やがて洞窟が広がり、大きな空間に出た。その中央には、氷の玉座のような場所があり、そこに一人の少女が座っていた。
「エリーナ…」
蓮夜は思わず名前を口にした。
少女はゆっくりと顔を上げた。クリスティナの描写通り、彼女の肌は雪のように白く、髪は青みがかった銀色に輝いていた。しかし、その姿は半透明で、まるでガラス細工のように繊細に見えた。
少女は不思議そうな表情で蓮夜を見つめた。
「あなたは誰?どうしてここに?」
その声は、氷の鐘のように澄んでいた。
「僕は夕凪蓮夜。あなたに会いたくて来ました」
蓮夜は慎重に近づいた。
「クリスティナさんから話を聞きました」
エリーナの表情が柔らかくなった。
「クリスティナ…彼女はまだ元気ですか?」
「ええ、元気です。あなたのことを心配していました」
エリーナは淋しそうに微笑んだ。
「彼女はいつも優しかった…」
蓮夜はさらに近づき、彼女の状態をよく観察した。エリーナの体は確かに半透明で、時折、雪片のようなものが彼女の体から舞い落ちていた。
「どうしてこんな姿に…?」
エリーナはため息をついた。
「私はスノーメイデンの掟を破りました。人間を愛したのです。その代償として、私の力は弱まり、体も溶け始めています」
蓮夜はクリスティナの言葉を思い出した。
「ヨハンのことですか?」
エリーナの目に涙が浮かんだ。その涙は落ちると同時に凍り、小さな結晶となった。
「ヨハンは私の心を温かくしてくれました。それは素晴らしく、同時に恐ろしいことでした。スノーメイデンは冷たさの中でしか生きられません。愛は私たちを溶かし、消し去ってしまうのです」
「でも、村はあなたを必要としています」
蓮夜は言った。
「あなたがいなくなってから、雪崩の危険が高まっています。村の人々は不安を抱えています」
エリーナは悲しく笑った。
「私には力が残っていません。かつてのように村を守ることはできないのです」
蓮夜は考え込んだ。
「本当にそうでしょうか?クリスティナさんは言っていました。スノーメイデンの心を溶かすのは暖かさだけど、救うのも暖かさかもしれないと」
エリーナは驚いたように彼を見た。
「どういう意味ですか?」
蓮夜はクリスティナからもらったペンダントを取り出した。
「これは、スノーメイデンの涙から作られたものだそうです。あなたの先祖の一人のものかもしれません」
彼はペンダントをエリーナに差し出した。
「恐らく、あなたに必要なのは、失われた力を取り戻すことではないでしょうか」
エリーナは恐る恐る手を伸ばし、ペンダントに触れた。その瞬間、ペンダントが青く輝き始め、その光が彼女の体を包み込んだ。
「これは…」
驚きの表情を浮かべるエリーナ。彼女の体がゆっくりと変化し始めた。半透明だった体が少しずつ実体化し、雪片が彼女の周りで踊り始めた。
「私の力が…戻ってきています」
彼女は自分の手を見つめ、その変化に驚いていた。
「なぜ…?」
蓮夜は微笑んだ。
「愛がスノーメイデンを溶かすというのは本当かもしれません。でも、それは完全に消し去るものではなく、変化させるものなのでしょう。あなたは人間の情熱によって変わり始めていたのです」
エリーナは不思議そうな表情で彼を見た。
「それでは、私はもうスノーメイデンではないのですか?」
「いいえ、あなたはまだスノーメイデンです。ただ、新しい形のスノーメイデンになろうとしているのです。人間の心を理解したスノーメイデン」
彼女の周りの空気が変わり、洞窟内に雪が降り始めた。しかし、その雪は冷たさを感じさせず、どこか温かみを帯びていた。
「私は…戻るべきでしょうか?村に?」
蓮夜は頷いた。
「村はあなたを必要としています。そして、あなたも村を必要としているのではないですか?」
エリーナは黙って考え込んだ。
「でも、ヨハンは…」
「彼も戻ってくるかもしれません。そして戻ってこなくても、あなたはあなたの役割を果たせるはずです」
彼女はしばらく黙っていたが、やがて決意に満ちた表情になった。
「村に戻ります。私にできることをします」
エリーナが立ち上がると、彼女の周りに雪が舞い、風が吹き始めた。彼女の姿が輝き、まるで新しい力を得たかのようだった。
「夕凪蓮夜さん、ありがとう。あなたが来てくれなければ、私はここで消えていくしかなかったでしょう」
蓮夜は微笑んだ。
「僕は旅人です。様々な場所で、様々な出会いがあります。今回の出会いも、僕にとって貴重なものです」
エリーナは彼に近づき、頬にそっと触れた。その感触は意外に温かだった。
「さあ、村へ戻りましょう」
――――――――――――――――――――――――
村への帰り道、エリーナは蓮夜を導いた。彼女がいることで、吹雪は彼らを避け、雪は道を作るように移動した。二人は短時間で山を下り、村に到着した。
村人たちは最初、遠くに現れた二人の姿に気づかなかった。しかし、エリーナが近づくにつれ、雪が彼女の周りで踊り始め、風が優しく囁くような音を立てた。村の子どもたちが最初に気づき、歓声を上げた。
「見て!あそこに誰かいる!」
大人たちも気づき始め、村の広場に集まってきた。クリスティナも杖をつきながら現れ、エリーナを見るとその目に涙を浮かべた。
「エリーナ…」
エリーナは村人たちの前に立ち、深く頭を下げた。
「皆さん、私は戻ってきました。かつてのように、この村を守るために」
村人たちは最初、驚きと疑念の入り混じった表情を浮かべていたが、クリスティナが前に出て、エリーナを抱きしめると、その場の雰囲気が一変した。喜びと安堵の声が上がり、人々は彼女の帰還を歓迎し始めた。
「スノーメイデンが戻ってきた!」
夜には、村全体でのお祝いの宴が開かれた。エリーナは昔のように雪を操り、子どもたちのために美しい雪の造形を作り出した。彼女の力は以前とは少し違っていた。より繊細で、より人間に近いものになっていたが、それでも村を守るには十分だった。
蓮夜は少し離れた場所から、その光景を見守っていた。彼の役割は終わったのだ。
宴の終わり頃、クリスティナが彼に近づいてきた。
「あなたは素晴らしいことをしてくれました」
老婆は感謝の意を込めて言った。
「スノーメイデンを取り戻しただけでなく、新しい道を示してくれた」
蓮夜は微笑んだ。
「エリーナは自分で道を見つけたんです。僕はただ少し手伝っただけです」
クリスティナは彼の手を取った。
「あなたは特別な人ですね。どこから来て、どこへ行くのか、私にはわかりませんが…」
蓮夜は穏やかに応えた。
「僕は旅人です。興味を持った場所であればどこにでも」
老婆は特に驚いた様子もなく、理解したように頷いた。
「そう…だから私の祖母の話を知りたがったのですね」
「はい。僕は歴史の中の秘密を探しているんです」
クリスティナは彼を見つめ、静かに言った。
「私たちの村の歴史に、あなたの名前も刻まれることでしょう」
――――――――――――――――――――――――
翌朝、蓮夜は早くに起き出し、村を出る準備をした。彼はエリーナに別れを告げるため、彼女の小屋を訪れた。エリーナは彼の来訪を待っていたかのように、ドアを開けた。
「行ってしまうのですね」
蓮夜は頷いた。
「僕の旅はここで終わりではないので」
エリーナは理解したように微笑んだ。
「あなたも私と同じ、自分の道を見つける旅の途中なのですね」
「そうかもしれませんね」
二人は村はずれまで一緒に歩いた。朝日が雪原を美しく照らし出していた。
「ありがとう、蓮夜さん。私に新しい希望を与えてくれて」
エリーナは彼の前に立ち、両手を広げた。彼女の手のひらから雪の結晶が舞い上がり、蓮夜の周りを回った。結晶は集まって、小さな氷の花の形となり、彼の胸元に落ちた。
「これは私からの贈り物です。どこへ行っても、この花は溶けることはありません」
蓮夜は感謝の意を示し、氷の花を大切に懐にしまった。
「あなたの未来が明るいものでありますように」
彼は言い、手を振ってエリーナと別れた。村を十分に離れ、誰の目にも触れない場所に来ると、彼は次元移動の準備を始めた。
「帰還する時間だ…」
青白い光が彼を包み込み、彼の姿は現代へと戻っていった。
――――――――――――――――――――――――
現代の図書館に戻った蓮夜は、専用のノートを取り出し、今回の冒険について記録を始めた。
「1879年、スウェーデンのヨックモック村で、失われたと思われていた最後のスノーメイデン、エリーナと出会った。彼女は人間の青年ヨハンとの恋により力を失いかけていたが、先祖のペンダントによって新たな形での力を取り戻した。彼女は村に戻り、以前とは少し異なる形で村の守護者となったのだ。歴史書では翌年に大雪崩があったとされているが、実際にはエリーナの力によって村は守られたのだろう。時に歴史は単純化され、真実は隠されてしまうものだ」
蓮夜はペンを置き、エリーナからもらった氷の花を取り出した。それは現代に戻っても、少しも溶けることなく、美しく輝いていた。
「人間と自然の精霊…異なる存在が共存する道は、必ずあるのだろうな」
彼は微笑み、氷の花を光に透かしながら、次なる冒険に思いを馳せた。
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