新米神様、世界を創る

黒蓬

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49.蘇る大地

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セイルが環境の再生を進め始めてから、数十年の時が流れた。セイル達の努力の甲斐もありミレネアの世界は目に見えて変化していた。荒廃した灰色の大地は、少しずつ生命の息吹を取り戻し始め、青々と茂る草原や広大な森が姿を現すようになった。

セイルは水晶球から復元されつつある風景をじっと見つめていた。透明な球体には、果てしなく広がる緑の大地や、清らかな川が流れる景色が映し出されている。その奥に見えるのは、澄み渡る青空だ。

「ここまで来るのに結構時間がかかったな。」

セイルは呟きながら、水晶球に手を当てた。大気の汚染もほとんどが取り除かれ、世界の魔力も安定してきたことにより、セイルの創造の力も効果を発揮するようになっていた。

「ここまで来ればさらに多くの命を呼び戻せるわね。」

隣でリーネが微笑みながら言った。彼女の指先が水晶球に触れると、映像が切り替わり、荒れ果てた地域が映し出された。そこにはまだ緑が戻らない大地や、干上がった川の跡が広がっている。

「でも、まだ再生を待つ場所もたくさんある。」

セイルは目を細めながら、映像をじっと見つめた。次なる目標を決めるため、二人はしばらく水晶球を覗き込んでいた。

次の目的地を決めたセイルは、水晶球を通じて大地の力を感じ取りながら慎重に魔力を注ぎ始めた。創造の力を通じて、地下深くに眠る水脈に触れると、閉ざされていた流れがゆっくりと解放されていく。

「少しずつだが、流れ始めたぞ。」

セイルは汗を拭いながら、魔力の流れを観察した。湧き出した水は小さな泉となり、やがて川となって大地を潤し始めた。その周囲には既に小さな植物が芽を出している。

「水が戻れば、周りの環境も自然に整い始めるわ。」

リーネが満足そうに言った。しかし、セイルの表情はまだ硬い。

「それでも、この場所だけじゃ足りない。他にも干上がった土地がたくさん残っている。」

リーネは再び水晶球を操作し、近隣の乾燥した地域を映し出した。

「次はこの場所ね。大地の魔力を感じ取りながら、慎重に進めましょう。」

セイルは頷き、再び魔力を集中させた。大地に流れるエネルギーと調和することで、地下の水脈を繋ぎ、環境を整えていく。泉が次々と湧き出し、川が生まれるたびに、彼の心には小さな達成感が生まれた。
水源の創造が一区切りつくと、セイルは次の段階に進むことにした。生態系を支えるため、小さな植物や微生物、昆虫といった小さな生物を創造する作業だ。

セイルは水晶球を見つめながら、慎重に魔力を注ぎ込んだ。彼の指先から溢れ出す魔力が大地に染み込み、新たな生命を形作っていく。草原に小さな昆虫が飛び交い、微生物が土壌を肥沃にする。そして、水辺には魚が泳ぎ始め、その周囲には鳥たちが集まり始めた。

「こうやって少しずつ環境を整えていけば、大地はさらに豊かになる。」

セイルは小さく息をつきながら呟いた。彼が生み出した生物たちは、大地を支え、次なる命を育むための基盤となっていく。

「でも、まだ十分ではないわ。」

リーネが水晶球を指差しながら言った。

「動物たちが安心して暮らせる環境を作るには、もっと多様な生態系が必要よ。それに、気候の調整もまだ途中だわ。」

セイルは水晶球を覗き込みながら頷いた。

「分かってる。一歩ずつ進めていくしかないな。」

数か月が過ぎると、その地域にも変化が表れ始めた。

「見て、草原がさらに広がっているわ。」

リーネが指差した先には、青々と茂る広大な草原が映し出されていた。その中には小さな動物たちが戯れ、鳥が空を舞っている。

「これなら、次は気候の調整に取り掛かれるな。」

セイルの視線は、まだ荒れ果てた地域に向けられていた。そこには砂嵐が吹き荒れる土地や、乾燥した空気が漂う荒野が広がっている。

「気候を安定させることができれば、もっと多くの命を育めるはずだ。」

セイルは世界が変化していくことに満足しながらも気を引き締めた。蘇った大地はまだ始まりに過ぎない。未来の住人たちが安心して暮らせる世界を築くためには、まだまだセイルの力を必要としている場所が残っているのだ。

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