上 下
1 / 1

あなたの代わりに生んであげる!不妊治療で入院中の私の病室に来た浮気相手が上から目線で生む宣言!なら、妊娠してもらうわ…

しおりを挟む
夫との間に子供を作りたい。
そして、幸せな家庭を築きたいと思う私は不妊治療を受けて、子供を作ろうと決意した。
夫も協力的だし、姑も「無理をしないように頑張ってね」と応援してくれる。
夫が個室の部屋に入れてくれたおかげでストレスなく、私は子作りに専念できた。

そんなある日。
病室に花束を持った女性が現れた。
「どちら様ですか?」思わず聞いてしまうほど、まったく面識のない女性だった。
「あら?こちら宇藤さんの病室よね?」
「ええ、そうですけど。あなたは…」
「あたし、明石と申します。宇藤さんの旦那の不倫相手よ」と言う女性は私を見下ろしながら話す。

その女性の表情には憎しみと嫉妬が渦巻いたような冷酷さが見られて、私は直視できなかった。
今にも私の首に両手をかけて、絞めてきそうな恐怖すら感じる。
できれば一生この人には会いたくないと思うほど、どこか内に秘めた怖さのある人だと感じる。

「あなたなんていなくなってしまえばいいのに!」と言ったかと思うと、女は持っていた真っ赤なガーベラの花束を私に目掛けて何度も振り下ろしてきた。
辺りにはまっ赤な花びらが飛び散った。
「な、なにをするのよ!ここは病院よ?!出てって!」と、私はショックと痛みを抑えながら女性に向かって叫んだ。

「出てけって?そんなこと言える立場かしら?あんた、子供が生めないのよね?」
「い、今は生めないけど、そのうち生めるわ」
「そのうち?そのうちじゃ困るでしょ?柚樹、早く子供が欲しいって言ってるのよ?あなたには無理よ。あたしが代わりに生んであげるわ!」浮気相手はどこか勝ち誇ったような顔で、私に生んでやる宣言をしてきた。

なんともいえない屈辱だった。
私が不妊治療をしている間、夫がこの女と浮気をしていたこと。
病室に浮気相手が来て、上から目線で代わりに生んでやると同情される屈辱に私は気がおかしくなりそう。

ならばその屈辱を晴らすため、この女に妊娠してもらいましょう。

「夫の子供を生んでちょうだい。ただ」
「ただ?ただなによ」
「いいえ、生んでちょうだい。あたしの代わりに…」

その後、浮気相手の女は夫の子供を身篭り、男の子を生んだ。
健康体で顔もかわいい子供だった。
ただ、夫の顔には似ていなかった。

「どうして息子に似てないのかしら?あなた、他の男との子供を身篭ったんじゃない?」
そう姑は浮気相手の女に聞いた。
「いえ、本当にあの人の子供よ!これが証拠よ」
子供の出生証明書を見せてきたが、どこかうさんくさい。
親戚一同、柚樹の顔に似ていないことを疑問に感じ、子供は認知できないとの意見でまとまった。

結局、女は子供を連れて去り、浮気をした夫は親戚、親からも拒絶され、二度と実家の敷居を跨ぐことはできなかった。

それもそのはず。
気の毒だけど、私に子供ができないのは夫が種無しだからね。
浮気女が夫の子供を生めるはずがないのよ…
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(1件)

sakuya0916
2021.05.09 sakuya0916

簡潔で読みやすく起承転結がはっきりしていて面白かったです。

あと、二度と実家のしきりのところは「敷居」だと思います。

白崎アイド
2021.05.10 白崎アイド

ご感想ありがとう御座います。
しきりではなく、敷居でした。
間違いを指摘して頂き、ありがとう御座いました^^

解除

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。