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あなたの子供をいただくわ!深夜の枕元に赤子を抱いて立つ女が私の子供を連れ去るなんて…嫌

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「オギャー!オギャー!」けたたましい赤子の泣き声が病院の部屋に響き渡る。
「なんなの?!真夜中に赤ちゃんの泣き声が近くで聞こえるなんて…はっ!」
照明をつければベッドの横に髪の長い女が布に包まった赤ん坊を抱いて立つ姿が月明かりで薄っすらと見えた。
にやりと不適な笑みを浮かべる女は「あなたの子供をいただくわ」と言うのだから恐ろしい。
「なにを言ってるの?ふざけないで!!」
「ふざけてる?私は本気よ…」そう言うと、女は足音も立てずに部屋から出て行ってしまった。

ガバッ
「ああ、夢か…」目を覚ました私の背中は汗でびっしょりと濡れていた。
「まったく、ふざけた夢だわ」
「佐野さん、大変です!いないんです」慌てた様子で部屋に看護師が飛び込んでくる。
「いないって…まさか」
「お子さんが、いないんですよ!」
病院から子供が連れ去れたというの?!さっきの女の言ったことは本当だったのだ。
私は取り乱しそうになる気持ちを抑えつつ病院中を探し回ったが、あの女は見つからなかった。

次の日は病院に警察が来て現場検証したり、事情聴取されるなど一日中大変なことになってしまう。
「もう、あの人ったらいったいどこに行ってしまったの」自分の子供が連れ去られたというのに、夫は連絡すらしてこない。
私が妊娠して出産しているとき、あの人ったら浮気していたのね…
許せない。

次の日…
退院した私は警察から聞いた浮気相手の家へと向かった。
「オギャー、オギャー」家の外まで激しい赤子の泣き声が聞こえてくる。
怒りがこみ上げてきた私は玄関のチャイムを鳴らした。
「はい、どなた様?」あの女の声だ。
家の中から髪の長い女が真っ黒なネグリジェを着た姿で出てくるところに、私の怒りは抑えきれない。

「あなた、私の子供を返して」
「返す?あの子はあたしが愛する人の子供よ。私が産んだようなものでしょう。渡さないわよ!」
「ふざけないで!返しなさい」
「嫌だと言ったら?」不適な笑みを見せる女に苛立つ私は、思い切り手に持った水をかけてやった。
「ひ、ひやあーーーーー」
「あら、ネグリジェが肌に張り付いて、貧相ない体も色っぽく見えるわよ」と不適な笑みを見せつつ言ってやった。
「ひ、貧相ないですって!!?」
「ええ、私のようにふくよかで、色っぽい体つきには勝てないのよ。それに産後はこんなに大きな胸になるのよ」
私はぱんぱんに膨らんだ大きな胸を見せ付けてやった。
「!」
「もう返しなさい」
青ざめる女の顔がいい気味だった。

女はおとなしく私に子供を返した後、二度と夫には近づかなかった。
その後、夫には100万の高級マッサージ機を買わせて子供を預ける。
そして、子供の面倒を見る夫の前で、私はおおいに全身が癒される時間を楽しむのだった。








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