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なによこれ…引き出しから夫の通帳が出てきたので見れば定期的にお金が引き出されているので追求すると…

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部屋の机の引き出しから夫の通帳が出てきたので中を見てみれば、定期的にある口座へとお金が振り込まれていた。
もしや浮気相手の女ではないかと感じ、夫に聞いてみれば…

午前中、ふと部屋の片付けをしようと掃除機をかけていた私。
棚の引き出しが開いたままになっていたので閉めようとすると、銀行の通帳が入っていた。
「あの人の通帳だわ。どうしてこんなところにあるのかしら?」いつもは寝室の机の引き出しにしか通帳を入れていない夫が、リビングの棚の引き出しに入れるだなんて…「慌ててたのかしらね」ふと通帳の中が気になった私は見たい衝動に駆られて、中を見てしまった。
「6月21日に5万円を引き出し…7月1日には6万円を引き出してる…」
10日おきに夫の口座からお金が引き出されていた。
それに、月に一度、ボーナスの日には20万円もの大金が引き出されている。
そして、すぐに同じ口座に振り込みをしていた。
「どういうこと?」20万円もの大金をすぐに振り込むだなんて。
嫁の私にでさえ、こんな大金を渡してくれたことなんてないのに。
「まさか、女じゃないでしょうね…」そう考えると、通帳を持つ手が震えて止まらない。

その夜。
「腹減ったよ、飯にしてくれ」ネクタイを外しながら席に座る夫がどこか浮ついているように見える。
浮気してるのよね?あなた。心の中で、夫にそう聞いてみる私は、真実を聞こうか聞くまいか迷った。
「そういえばさ、今日、会社に上司の愛人が乗り込んできたんだよ。もう大騒ぎでさ、笑うよな」
「笑う?あなたもいつかそういったことが起こるんじゃないの?」
「え?俺が?まさか、愛人が乗り込んでくるなんてあるわけがないだろ」
「そうかしら?」
バンッ!私はテーブルの上に夫の通帳を広げて叩き置いた。
「あ、これ、俺の通帳だよな!?なんでお前が持ってるんだよ」
「引き出しに入ってたのよ。あなただって思い当たるところがあるでしょ?この毎月口座からお金を送金してる相手、愛人よね?」
「い、いや、愛人じゃないさ。これはその、えっと」
「みえみえの嘘をつかなくてもいいのよ。こんな大金を送るなんて、愛人に決まってるわ」
「…」
「どうして黙ってるの?浮気をしていたことを言い当てられたからでしょ?」
「…」
「ね、答えなさいよ!相手は誰なの?私の知ってる女?それとも…」
「生き別れた妹さ」
「え?」
「俺には妹がいたんだけど、小学生の頃に突然親父といなくなっちまってさ。そしたら急に今年になって電話がかかってきたんだよ」
「急に電話がかかってくるなんてある?それに、お金を振り込ませるだなんて怪しいわ」

これ以上お金を持っていかれては困る。
「あなた、本当にその女性って妹なの?」
「い、妹だよ」
「そうかしら?妹さんとは会ったの?」
「い、いや、会ってない」
ずいぶんとおかしいわね。
会ってもいない妹さんにお金を振り込むだなんて、そんな訳のわからないことってあるのかしら?
私は夫の目を見つめたが、目を逸らす夫に違和感を持った。
あなた、嘘はやめてちょうだい・・・本当は愛人なんでしょ?その妹さんって人。
心の中で夫に問いかける私は、興信所に依頼し、夫の愛人の住む場所を捜した。

見つけた夫の愛人はかなり年齢が高く、私の母親ほどの年齢だった。
「なんだか怒る気分にもなれないわ・・・」そう感じた私は、静かに身を引く道を選んだ。

その代わり、夫に「あげた」と書かせて、預金の半分を贈与という形で私の口座に振り込ませた。
顔はいまいちでも、年収の高い男を選んで良かったわ。

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