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寝取ったじゃない!バスに乗る女性は夫の婚約者だった?!勝手に家の中に入って壁に卑猥な言葉を殴り書き…

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子供を保育園に送り迎えする私は毎日バスに乗る。
そのバスには必ず顔を合わせる親子がいた。
「おはようございます」
「あ、おはようございます」
毎朝顔を合わせているうちに仲良くなった私は、その親子と夫の話をするようになった。
「優美さんの家のご主人の仕事って、どんなことをしているの?」
「うちはいないんです。シングルマザーなんですよ…付き合ってた人は設計の仕事をしていました」
「そう、大変ね。うちの旦那も設計士なんだけどね。建築関係かなにかの設計?」
「ええ、建築関係の設計をしてるんです」
「…うちの旦那と同じね」
「付き合ってた人の出身校は西角で、大学は貴州なんですよ」
「あら、あたしの旦那と同じ。すごい偶然ね」
「そうですね…あ、幼稚園に着いたみたい。じゃ、お先に失礼します」
優美さんは保育園の手前にある幼稚園前のバス停でいつも降りる。
「じゃ、また明日」笑顔で手を振る優美さんだったが、バスが出発すると、私を睨むような表情を見せたような気がした。

翌日、バスに優美さんの姿はなく、子供を連れたおばあさんだけが乗っていた。
「用事があるって言ってね、朝早くに出かけていったんですよ」
「そうですか」
子供を保育園に送り、家に帰ると玄関のドアが開いていた。
「あれ?閉めなかったのかな。キャッ!なによこれ!!」
家の中に入ると壁一面に「あたしの男を返せ!クソ女!」と赤いペンキで大きく書かれていた。
床やドアにも。
「だ、誰がこんなことをしたの!?怖い!」私は恐怖で心臓がバクバク。
水を飲んで気持ちを落ち着かせようと思い、台所に行くとシャツを赤く染めた優美さんがボーッと一点を見つめて立っていた。
「優美さん!あなたが壁にあんなことをしたのね?!ひどい!」手を見れば、赤いペンキがべっとり付いていた。
「あなたがあんな卑猥な言葉を書くだなんて…いったい私がなにをしたって言うのよ!」と言うと、キッと私を睨んできた。
「私がなにをしたですって?あたしの愛する男を寝取ったじゃない!」
「あなたの男を寝取った?あたし、そんなことした覚えはないわ」
「いいえ、あなたの旦那と私は婚約してたの。なのに、婚約中にあの人を色気仕掛けで誘惑して、挙句の果てには奪い取ったじゃない!おかげで婚約は破談。すでに妊娠していた私は結婚せずに子供を生むことになったのよ!みんなあなたのせい!」そう言うと、優美さんは襲いかかってきた。

ドンッ!!
が、優美さんは床に落ちていたペンキで足を滑らせて、豪快に転び、腰を激しく打ってしまった。
「うううっ」と苦しむ優美さんは「救急車を呼んで…」と頼んだ後、病院に運ばれて検査を受けると、大腿骨とろっ骨にヒビが入っていた。
全治3ヶ月と診断され、そのまま入院となってしまう。

「婚約してるっていうのに、私と付き合ったあなたが悪いわ!優美さんにきちんと謝りなさいよね!」と私は旦那を叱った。

旦那は入院代と婚約を一方的に破棄したことについて優美さんに土下座して謝り、今後は子供と定期的に会い、向こうの家族ともしっかり向き合い、子供が成人するまでは養育費を送り続けさせると約束させた。





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