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18.泣き屋
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やがて粥を食べてしまうと、コダマは二人に訊ねた。
「おれ、どのくらい寝てた。」
「一晩だけだ。昨日の宵にこちらに帰ってきて、いまがそのすぐ次の朝だ。」
フチが答えた。コダマは溜め息をついた。
「そんなもんか。」
そう言って、秘術師は上方を仰いだ。フチは気遣わしげな視線を投げかける。
「もう少し休んだらどうだろう。食料はまだ持つ。一度濡れたものだから、味はひどいだろうが。」
コダマは氏族の青年を見て、首を振った。
「いや、少しでも歩いたほうがいいと思う。足を引っ張ると思うけどな。」
そう言ってから、また首を振る。口を開きかけ、何かを言おうとする気配があったが、すぐにつぐんだ。
「何だよ、言ったらいいだろ。」
ハヤテはコダマの肩を軽く揺すった。若い秘術師は目を瞑った。その小柄な体が、腕の中で小さく震えた。
「大丈夫か、お前。寒いのか。どうした。」
驚いて、ハヤテは顔を覗き込んだ。フチもまた心配そうに顔色を窺った。コダマはまた首を横に振った。きつく閉じた瞼は、泣くのを堪えているようだった。
「どうしたんだ――」
そう言いかけて、フチがハヤテに制するような視線を投げかけた。ハヤテは口を閉ざすと、ただコダマの肩を抱く腕に力を込めた。
やがて、コダマは口を開いた。
「ごめん。」
その声は、少し震えていた。
怪訝に思って、ハヤテはフチを横目で見た。フチもまた、困惑した表情を浮かべていた。いったい何を謝っているのかが分からなかった。
コダマは二人の困惑を見て取ったようだった。鼻を啜りながら続ける。
「危険な目に遭わせてごめん。お、おれがもっとしっかりしてなけりゃならなかったのに。」
そう言われて、ハヤテは驚き、それからあきれた。
「お前、なんでそんなふうに思うんだ。おれたちが勝手についていっただけだろ。」
「だけどよう、おれは秘術師なんだ。二人を助けなきゃいけなかったのに。」
そう言って、コダマはさらに強く鼻を啜り上げた。ハヤテは苦笑した。
「おれたちを助けるだって? お前、おれたちがいなけりゃ死んでたんだぜ。そこは、ありがとうだろ。」
「あり――ありがとう。」
意外と素直に、コダマは感謝を表した。だがすぐに、また鼻を啜る。
「わ、悪かった。二人ともごめん。ハヤテなんて、危うく……。」
コダマは顔を伏せ、手で覆った。ハヤテはなんとも言えなかった。
「大変だったよなあ、あれは。どうしてあんなことが起こったんだろうな。」
コダマの言うとおり、確かに危うかった。異界からの帰路の途中で突然水に沈み、波に襲われ、溺れかけた。まったく筋の通らぬ事態だった。あれがどうして起こったのか、ハヤテにはいまだ分からない。異界の恐ろしさを身をもって知ったのだった。
「だけどなあ、おれを助けてくれたのはお前だったんだぞ。そう気を落とすなよ。」
ハヤテはそう言って小さな背を擦ってやる。だがコダマは顔を起こしもしなかった。それで弱って、ハヤテはフチに視線で助けを求めた。フチは微笑みを浮かべてコダマの顔を覗き込んだ。
「そう気に病むことはない。むしろ私の方が申し訳ないところだ。私はあなたの付き人を任じられたのに、あなたをしっかり守ることができなかった。」
「そんなこと――!」
コダマは勢いよく顔を上げた。その目には涙が浮かんでいた。
「そんなこと、ない。おれの方こそ、二人に守ってもらったんだ。おれ、秘術師なのに。」
啜り泣くコダマの肩を、ハヤテは手荒に揺さぶった。
「ほら、だからおあいこだ。お前がおれたちを助けて、おれたちがお前を運んできたんだ。だから、な、そんなに泣くなよ。」
そう言ってから、フチを冗談めかして睨んだ。
「お前、ちびを泣かせやがって。ひでえやつだな。」
フチは苦笑した。コダマも、泣きながら笑った。
「おれは、ちびじゃない。」
「そうかい、泣き屋さんよ。コダマよ。可愛いやつめ。」
ハヤテはコダマの髪をがしがしと撫でた。コダマは泣き止まなかった。
「お、お――おれ、怖かった。ハヤテが転んで、溺れて死んじまうんじゃないかって。二人とも、おれも、死んじゃうんじゃないかって。」
「おれも死ぬかと思った。」
ハヤテは笑ってコダマの背を叩いた。
「だがまあ、過ぎたことだ。気にするなよ。」
「き、気にするよう。」
コダマはまた泣き出した。ハヤテは苦笑した。コダマは責任を感じているのだろう。泣くようなことではないのに、と思う。きっとどれだけ言い聞かせても、自分のせいだと泣くのだろう。なら、泣きたいだけ泣かせるしかなかった。
ハヤテはコダマの肩を引っ張って、いっしょになって寝床に横たわった。フチもそばに来て、コダマの腹を撫でてやった。
しばらく泣いて、コダマは静かになった。まさか寝てしまったのかと顔を覗いてみれば、しっかりと目を開いていた。目の周りは赤く腫れていたが、もう元気そうだった。
ハヤテと視線を合わせると、コダマははにかんだ。
「ごめん。取り乱した。」
ハヤテは笑った。
「そんなの、謝ることか。」
「恥ずかしいなあ。」
コダマは鼻を啜って、それから溜め息をついた。
「出発しなきゃなあ。」
そう秘術師が言うと、フチが答える。
「まじないには疲れが伴うのだろう。まだ休んでいたらいい。今日はもう一晩、ここで過ごしてもいいかもしれない。」
「飯はひどいもんだけどなあ。」
ハヤテは茶化した。フチは微笑む。
「必要なら何か野草を取ってもいいな。夏草の中にはうまいものがいろいろある。湿ったパンよりよほどよいだろう。」
フチはそう言ってから、コダマに目を向けた。
「何か心配でも?」
フチはコダマに微笑みかけた。ハヤテは主人の体に腕を回し、腹をぽんぽんと叩いてやった。なんだか、コダマがまた泣き出しそうな気配がしていた。
コダマは泣きはしなかったが、しばらく黙ったままだった。ハヤテとフチは、コダマの言うことを待っていた。やがて、小さな声で呟いた。
「思ってることがあるんだ。笑わないでくれよ。」
「約束しよう。」
フチは少しも躊躇せずに言った。ハヤテはくすっと笑った。
「おれは約束できねえなあ。お前が何を言うかによるよ。」
「笑ったら、肩をどついてやるからな。」
コダマは笑いを含んだ声で脅した。それから、声を落とす。
「寂しいんだ、おれ。」
コダマは一言口に出してから、黙った。しばらく待ってみたが、続きはなかった。
「私もだ。あなたがたはよい友人だ。離れがたく思う。」
フチが言った。ハヤテは苦笑混じりに言った。
「まあ、寂しいってほどじゃないけど、おれもちっとは感じるよ。泣き屋のちびがいなけりゃ、ちょっと静か過ぎるかもな。」
「おれは泣き屋じゃない。」
コダマはハヤテの足を軽く蹴った。ハヤテはくすくす笑った。笑いが止むのを待ってから、だが、とフチが続ける。
「我々はそれぞれの土地に帰らなければならない。旅人は故郷に帰るものだ。あなたにも仕事があり、私にも一族への務めがある。」
そうだなあ、とコダマは寂しげな声を出す。ハヤテは小さな若者の腹を撫でてやった。
「会いたくなったら、また会いに来たらいいだろ。あんまり深刻に考えるなよ。今生の別れってわけでもないんだ。」
うん、とコダマは小さく言う。フチがその手に触れた。
「いつでも訪ねてくるといい。二人は私たちの歓待を受けた友人なんだ。喜んで歓迎しよう。」
うん、とまた答えたかどうか。コダマは何か小さな声を出したのだが、その声は明瞭ではなかった。泣いているというわけでもなさそうだった。少し様子を窺っていると、ふと、フチがコダマの顔を見つめて、笑みを零した。どうしたことかと、ハヤテは少し首を起こし、若い主人の顔を見た。
「おや、こいつは……。」
ハヤテは苦笑した。コダマは目を瞑り、すうすうと囁くような寝息を立て、やすらかな顔で眠っていた。
「やっぱり疲れてたんだな、ちびさん。」
ハヤテはまた横になった。コダマの横顔を見ながら、体を撫でてやる。疲れて眠るところなど、本当に小さな少年のようだった。
フチが腰を上げた。ハヤテはそちらを見やる。
「どうした?」
「野草を摘んでこようかと思って。しばらくは寝ているだろう。」
「うん。こいつのことはおれに任せておけ。」
ハヤテが言うと、フチは少し疑わしげな顔をした。
「寝ている者に手を出してはならんからな。」
念を押すような言い方に、ハヤテは目を見開いた。
「まさか。おれがそんなことすると思ってたのか!」
心外と思いつつ、笑ってしまった。フチもまた苦笑を零す。
「いや、そんなことをするとは思ってはいない。思ってはいないが、念のためだ。」
それじゃあ、とフチは背を向けると、自分の荷袋を引っ掴んで川の方に歩いていった。その背を見送ってから、ハヤテはまたコダマの体に腕を回した。
「あいつもなかなか失礼なこと言ってくれるよな。」
笑いながら言って、コダマの腹を撫でてやる。眠った若者は、小さく気持ちよさそうに溜め息をついた。
「おれ、どのくらい寝てた。」
「一晩だけだ。昨日の宵にこちらに帰ってきて、いまがそのすぐ次の朝だ。」
フチが答えた。コダマは溜め息をついた。
「そんなもんか。」
そう言って、秘術師は上方を仰いだ。フチは気遣わしげな視線を投げかける。
「もう少し休んだらどうだろう。食料はまだ持つ。一度濡れたものだから、味はひどいだろうが。」
コダマは氏族の青年を見て、首を振った。
「いや、少しでも歩いたほうがいいと思う。足を引っ張ると思うけどな。」
そう言ってから、また首を振る。口を開きかけ、何かを言おうとする気配があったが、すぐにつぐんだ。
「何だよ、言ったらいいだろ。」
ハヤテはコダマの肩を軽く揺すった。若い秘術師は目を瞑った。その小柄な体が、腕の中で小さく震えた。
「大丈夫か、お前。寒いのか。どうした。」
驚いて、ハヤテは顔を覗き込んだ。フチもまた心配そうに顔色を窺った。コダマはまた首を横に振った。きつく閉じた瞼は、泣くのを堪えているようだった。
「どうしたんだ――」
そう言いかけて、フチがハヤテに制するような視線を投げかけた。ハヤテは口を閉ざすと、ただコダマの肩を抱く腕に力を込めた。
やがて、コダマは口を開いた。
「ごめん。」
その声は、少し震えていた。
怪訝に思って、ハヤテはフチを横目で見た。フチもまた、困惑した表情を浮かべていた。いったい何を謝っているのかが分からなかった。
コダマは二人の困惑を見て取ったようだった。鼻を啜りながら続ける。
「危険な目に遭わせてごめん。お、おれがもっとしっかりしてなけりゃならなかったのに。」
そう言われて、ハヤテは驚き、それからあきれた。
「お前、なんでそんなふうに思うんだ。おれたちが勝手についていっただけだろ。」
「だけどよう、おれは秘術師なんだ。二人を助けなきゃいけなかったのに。」
そう言って、コダマはさらに強く鼻を啜り上げた。ハヤテは苦笑した。
「おれたちを助けるだって? お前、おれたちがいなけりゃ死んでたんだぜ。そこは、ありがとうだろ。」
「あり――ありがとう。」
意外と素直に、コダマは感謝を表した。だがすぐに、また鼻を啜る。
「わ、悪かった。二人ともごめん。ハヤテなんて、危うく……。」
コダマは顔を伏せ、手で覆った。ハヤテはなんとも言えなかった。
「大変だったよなあ、あれは。どうしてあんなことが起こったんだろうな。」
コダマの言うとおり、確かに危うかった。異界からの帰路の途中で突然水に沈み、波に襲われ、溺れかけた。まったく筋の通らぬ事態だった。あれがどうして起こったのか、ハヤテにはいまだ分からない。異界の恐ろしさを身をもって知ったのだった。
「だけどなあ、おれを助けてくれたのはお前だったんだぞ。そう気を落とすなよ。」
ハヤテはそう言って小さな背を擦ってやる。だがコダマは顔を起こしもしなかった。それで弱って、ハヤテはフチに視線で助けを求めた。フチは微笑みを浮かべてコダマの顔を覗き込んだ。
「そう気に病むことはない。むしろ私の方が申し訳ないところだ。私はあなたの付き人を任じられたのに、あなたをしっかり守ることができなかった。」
「そんなこと――!」
コダマは勢いよく顔を上げた。その目には涙が浮かんでいた。
「そんなこと、ない。おれの方こそ、二人に守ってもらったんだ。おれ、秘術師なのに。」
啜り泣くコダマの肩を、ハヤテは手荒に揺さぶった。
「ほら、だからおあいこだ。お前がおれたちを助けて、おれたちがお前を運んできたんだ。だから、な、そんなに泣くなよ。」
そう言ってから、フチを冗談めかして睨んだ。
「お前、ちびを泣かせやがって。ひでえやつだな。」
フチは苦笑した。コダマも、泣きながら笑った。
「おれは、ちびじゃない。」
「そうかい、泣き屋さんよ。コダマよ。可愛いやつめ。」
ハヤテはコダマの髪をがしがしと撫でた。コダマは泣き止まなかった。
「お、お――おれ、怖かった。ハヤテが転んで、溺れて死んじまうんじゃないかって。二人とも、おれも、死んじゃうんじゃないかって。」
「おれも死ぬかと思った。」
ハヤテは笑ってコダマの背を叩いた。
「だがまあ、過ぎたことだ。気にするなよ。」
「き、気にするよう。」
コダマはまた泣き出した。ハヤテは苦笑した。コダマは責任を感じているのだろう。泣くようなことではないのに、と思う。きっとどれだけ言い聞かせても、自分のせいだと泣くのだろう。なら、泣きたいだけ泣かせるしかなかった。
ハヤテはコダマの肩を引っ張って、いっしょになって寝床に横たわった。フチもそばに来て、コダマの腹を撫でてやった。
しばらく泣いて、コダマは静かになった。まさか寝てしまったのかと顔を覗いてみれば、しっかりと目を開いていた。目の周りは赤く腫れていたが、もう元気そうだった。
ハヤテと視線を合わせると、コダマははにかんだ。
「ごめん。取り乱した。」
ハヤテは笑った。
「そんなの、謝ることか。」
「恥ずかしいなあ。」
コダマは鼻を啜って、それから溜め息をついた。
「出発しなきゃなあ。」
そう秘術師が言うと、フチが答える。
「まじないには疲れが伴うのだろう。まだ休んでいたらいい。今日はもう一晩、ここで過ごしてもいいかもしれない。」
「飯はひどいもんだけどなあ。」
ハヤテは茶化した。フチは微笑む。
「必要なら何か野草を取ってもいいな。夏草の中にはうまいものがいろいろある。湿ったパンよりよほどよいだろう。」
フチはそう言ってから、コダマに目を向けた。
「何か心配でも?」
フチはコダマに微笑みかけた。ハヤテは主人の体に腕を回し、腹をぽんぽんと叩いてやった。なんだか、コダマがまた泣き出しそうな気配がしていた。
コダマは泣きはしなかったが、しばらく黙ったままだった。ハヤテとフチは、コダマの言うことを待っていた。やがて、小さな声で呟いた。
「思ってることがあるんだ。笑わないでくれよ。」
「約束しよう。」
フチは少しも躊躇せずに言った。ハヤテはくすっと笑った。
「おれは約束できねえなあ。お前が何を言うかによるよ。」
「笑ったら、肩をどついてやるからな。」
コダマは笑いを含んだ声で脅した。それから、声を落とす。
「寂しいんだ、おれ。」
コダマは一言口に出してから、黙った。しばらく待ってみたが、続きはなかった。
「私もだ。あなたがたはよい友人だ。離れがたく思う。」
フチが言った。ハヤテは苦笑混じりに言った。
「まあ、寂しいってほどじゃないけど、おれもちっとは感じるよ。泣き屋のちびがいなけりゃ、ちょっと静か過ぎるかもな。」
「おれは泣き屋じゃない。」
コダマはハヤテの足を軽く蹴った。ハヤテはくすくす笑った。笑いが止むのを待ってから、だが、とフチが続ける。
「我々はそれぞれの土地に帰らなければならない。旅人は故郷に帰るものだ。あなたにも仕事があり、私にも一族への務めがある。」
そうだなあ、とコダマは寂しげな声を出す。ハヤテは小さな若者の腹を撫でてやった。
「会いたくなったら、また会いに来たらいいだろ。あんまり深刻に考えるなよ。今生の別れってわけでもないんだ。」
うん、とコダマは小さく言う。フチがその手に触れた。
「いつでも訪ねてくるといい。二人は私たちの歓待を受けた友人なんだ。喜んで歓迎しよう。」
うん、とまた答えたかどうか。コダマは何か小さな声を出したのだが、その声は明瞭ではなかった。泣いているというわけでもなさそうだった。少し様子を窺っていると、ふと、フチがコダマの顔を見つめて、笑みを零した。どうしたことかと、ハヤテは少し首を起こし、若い主人の顔を見た。
「おや、こいつは……。」
ハヤテは苦笑した。コダマは目を瞑り、すうすうと囁くような寝息を立て、やすらかな顔で眠っていた。
「やっぱり疲れてたんだな、ちびさん。」
ハヤテはまた横になった。コダマの横顔を見ながら、体を撫でてやる。疲れて眠るところなど、本当に小さな少年のようだった。
フチが腰を上げた。ハヤテはそちらを見やる。
「どうした?」
「野草を摘んでこようかと思って。しばらくは寝ているだろう。」
「うん。こいつのことはおれに任せておけ。」
ハヤテが言うと、フチは少し疑わしげな顔をした。
「寝ている者に手を出してはならんからな。」
念を押すような言い方に、ハヤテは目を見開いた。
「まさか。おれがそんなことすると思ってたのか!」
心外と思いつつ、笑ってしまった。フチもまた苦笑を零す。
「いや、そんなことをするとは思ってはいない。思ってはいないが、念のためだ。」
それじゃあ、とフチは背を向けると、自分の荷袋を引っ掴んで川の方に歩いていった。その背を見送ってから、ハヤテはまたコダマの体に腕を回した。
「あいつもなかなか失礼なこと言ってくれるよな。」
笑いながら言って、コダマの腹を撫でてやる。眠った若者は、小さく気持ちよさそうに溜め息をついた。
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