記憶と魔力を婚約者に奪われた「ないない尽くしの聖女」は、ワケあり王子様のお気に入り~王族とは知らずにそばにいた彼から なぜか溺愛されています
瑞貴◆後悔してる/手違いの妻2巻発売!
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第2章 あなたは暗殺者⁉
不思議なあなたは……③
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わたしの返事も聞かず、ぎゅっと手をつなぐアンドレと共に、ムスッとした顔の上官の元へと向かう。
上官と対面するかどうかいうタイミング。先に言葉を発したのは向こうだ。それも随分と馬鹿にした口調で。
声が大きくて怖いなと思うわたしは、すっと一歩後ろに引いてしまう。
「雑役兵のアンドレが、何しにこの場所へ来たんだ?」
偉そうに言うと、ギロッとわたしを見て、興奮気味に話を続けた。
「そうそう、この女だ。俺が探していた女をわざわざ届けに来たのか」
「隊長の言葉。聞き捨てなりませんね。ジュディを何だと思っているんですか?」
その上官はアンドレの話には耳も貸さず、わたしを舐め回すように、上から下まで見ている。
「お嬢ちゃん。顔だけ男のアンドレより、俺の方が俄然いいから乗り換えた方がいいぞ。こっちに来いよ」
ニマッと笑う上官が、わたしを見て告げると、アンドレがため息交じりに返す。
「ナグワ隊長のお立場で、ジュディを変な目で見るのは止めてください。他の兵士たちにも伝搬するでしょう」
「ふんッ。アンドレが何を偉そうに。お前は第一部隊の仕事の邪魔になる。一般人はゲートの手前で入場規制をしていただろう。碌に攻撃魔法も使えないやつは、ここから下がれ!」
アンドレを追い払うように、しっしっと手を振り、この場から消えろと訴える。
けれど、淡々と言葉を返すアンドレは、少しも揺らぐ気配はない。
「年に一回の昇級試験の際、皆さんの前で魔法を披露しないだけですよ。誰も攻撃魔法が使えないとは言っていませんけどね」
「はあッ⁉ 女の前だからって、調子に乗った事を言うなよ!」
冷めた顔のアンドレは、言い争いは無駄だと決め込んだみたいだ。それとは対照的に、大きな声の隊長が目を見開き激昂する。
「やれやれ。全くお話になりませんね。第一部隊の皆さんは土蜘蛛の侵入を恐れて、出国者たちを足止めしているんでしょう」
「そうだが、何故それを知っているんだ? 目撃情報から三十分経過したが、姿が見えないところをみると、すでにどこかへ行ったんだろう。これから警備を解くところだし」
「いや、土蜘蛛の気配はまだあるでしょう。その場所を人が通るのを、地中で待ち構えているだけですよ」
「なッ! 土蜘蛛の魔力を全く感じないだろう。……適当なことを言うな!」
「ちゃんとあるでしょう、よーく周囲の魔力をすまして感じてください。魔力が十六級の隊長でも、そんな程度では情けないですよ」
「きッ貴様! 雑役兵ごときが何を抜かしている」
激昂する隊長とは裏腹に、アンドレは相変わらず平穏な空気を変えない。
大声で喚く隊長と話していたアンドレが、突如、わたしに顔を向けて、にっこりと笑顔を見せた。
今まで見たことのない悪い笑顔が恐ろしい。何か企んでいる気がしてならず、ぞわっと、全身に鳥肌が立つ。
「ナグワ隊長はこう言っているけど、ジュディはどう思う?」
「どう思うって?」
「ほらほら、どうしたの? ナグワ隊長は土蜘蛛がどこにいるか分からないみたいだから、教えて差し上げるといいですよ。安全確保のために」
「へ?」
急におかしな言い方で、どうしたのかと戸惑っていたのだが、上機嫌のアンドレから「ほらほら、ジュディの初仕事ですよ」と再び、揶揄い口調で促される。
「あ~、分かったわよ。あの真ん中の兵士から二メートル先の地中で、身を隠しているじゃない。アンドレだって分かっているでしょう! こんなにはっきりと魔力が漏れているんですもの」
何をやっているんだかと、うんざりしながら一人の兵士を指さした。
呆れるわたしとは裏腹に、アンドレは目の前の隊長から顔を背け、くつくつと肩を揺らして笑っている。
「そんな近くにいるというのかッ⁉ いや、こんな小娘に分かるわけがない。我々を馬鹿にするな。第一部隊は魔力が十三級以上の精鋭たちが集まっているんだ。余計な口出しは許さないぞ」
「仰いましたね。ナグワ隊長から見ればジュディは小娘でしょうが、今日からカステン軍の雑役兵として入隊した一員です。もし、彼女の言っていることに間違いがなければ、彼女への礼節を寄宿舎の連中に指導してくださいね。僕は軍の中で揉め事を起こされるのは困るんですよ」
「アンドレごときが、さっきから何を偉そうにッ! お前は事務しかできない雑役だろう」
その言葉を無視してアンドレが歩き出す。彼の視線の先は、わたしが指し示した兵士の所だ。
アンドレが、その兵士の肩をぽんぽんと叩けば「ちょっと避けてね」と声をかける。
すると、先ほどまでとは一変、真剣な表情を見せるアンドレが、土蜘蛛がいる地面をじぃっと見つめている。
上官と対面するかどうかいうタイミング。先に言葉を発したのは向こうだ。それも随分と馬鹿にした口調で。
声が大きくて怖いなと思うわたしは、すっと一歩後ろに引いてしまう。
「雑役兵のアンドレが、何しにこの場所へ来たんだ?」
偉そうに言うと、ギロッとわたしを見て、興奮気味に話を続けた。
「そうそう、この女だ。俺が探していた女をわざわざ届けに来たのか」
「隊長の言葉。聞き捨てなりませんね。ジュディを何だと思っているんですか?」
その上官はアンドレの話には耳も貸さず、わたしを舐め回すように、上から下まで見ている。
「お嬢ちゃん。顔だけ男のアンドレより、俺の方が俄然いいから乗り換えた方がいいぞ。こっちに来いよ」
ニマッと笑う上官が、わたしを見て告げると、アンドレがため息交じりに返す。
「ナグワ隊長のお立場で、ジュディを変な目で見るのは止めてください。他の兵士たちにも伝搬するでしょう」
「ふんッ。アンドレが何を偉そうに。お前は第一部隊の仕事の邪魔になる。一般人はゲートの手前で入場規制をしていただろう。碌に攻撃魔法も使えないやつは、ここから下がれ!」
アンドレを追い払うように、しっしっと手を振り、この場から消えろと訴える。
けれど、淡々と言葉を返すアンドレは、少しも揺らぐ気配はない。
「年に一回の昇級試験の際、皆さんの前で魔法を披露しないだけですよ。誰も攻撃魔法が使えないとは言っていませんけどね」
「はあッ⁉ 女の前だからって、調子に乗った事を言うなよ!」
冷めた顔のアンドレは、言い争いは無駄だと決め込んだみたいだ。それとは対照的に、大きな声の隊長が目を見開き激昂する。
「やれやれ。全くお話になりませんね。第一部隊の皆さんは土蜘蛛の侵入を恐れて、出国者たちを足止めしているんでしょう」
「そうだが、何故それを知っているんだ? 目撃情報から三十分経過したが、姿が見えないところをみると、すでにどこかへ行ったんだろう。これから警備を解くところだし」
「いや、土蜘蛛の気配はまだあるでしょう。その場所を人が通るのを、地中で待ち構えているだけですよ」
「なッ! 土蜘蛛の魔力を全く感じないだろう。……適当なことを言うな!」
「ちゃんとあるでしょう、よーく周囲の魔力をすまして感じてください。魔力が十六級の隊長でも、そんな程度では情けないですよ」
「きッ貴様! 雑役兵ごときが何を抜かしている」
激昂する隊長とは裏腹に、アンドレは相変わらず平穏な空気を変えない。
大声で喚く隊長と話していたアンドレが、突如、わたしに顔を向けて、にっこりと笑顔を見せた。
今まで見たことのない悪い笑顔が恐ろしい。何か企んでいる気がしてならず、ぞわっと、全身に鳥肌が立つ。
「ナグワ隊長はこう言っているけど、ジュディはどう思う?」
「どう思うって?」
「ほらほら、どうしたの? ナグワ隊長は土蜘蛛がどこにいるか分からないみたいだから、教えて差し上げるといいですよ。安全確保のために」
「へ?」
急におかしな言い方で、どうしたのかと戸惑っていたのだが、上機嫌のアンドレから「ほらほら、ジュディの初仕事ですよ」と再び、揶揄い口調で促される。
「あ~、分かったわよ。あの真ん中の兵士から二メートル先の地中で、身を隠しているじゃない。アンドレだって分かっているでしょう! こんなにはっきりと魔力が漏れているんですもの」
何をやっているんだかと、うんざりしながら一人の兵士を指さした。
呆れるわたしとは裏腹に、アンドレは目の前の隊長から顔を背け、くつくつと肩を揺らして笑っている。
「そんな近くにいるというのかッ⁉ いや、こんな小娘に分かるわけがない。我々を馬鹿にするな。第一部隊は魔力が十三級以上の精鋭たちが集まっているんだ。余計な口出しは許さないぞ」
「仰いましたね。ナグワ隊長から見ればジュディは小娘でしょうが、今日からカステン軍の雑役兵として入隊した一員です。もし、彼女の言っていることに間違いがなければ、彼女への礼節を寄宿舎の連中に指導してくださいね。僕は軍の中で揉め事を起こされるのは困るんですよ」
「アンドレごときが、さっきから何を偉そうにッ! お前は事務しかできない雑役だろう」
その言葉を無視してアンドレが歩き出す。彼の視線の先は、わたしが指し示した兵士の所だ。
アンドレが、その兵士の肩をぽんぽんと叩けば「ちょっと避けてね」と声をかける。
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