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第5章 祝福されるふたり
5-5 大波乱の舞踏会②
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うつむきかけたルイーズの目に、自分が着ている美しいドレスの黄色が映る。
エドワードは、こんな自分を好きだと言ってくれた。
姉なんて気にしない。しゃんとしようと自分を鼓舞する。
鏡で自分の姿を見れば、まるで別人。
まともな食事にありつけたルイーズは以前より健康的で、肌艶も良くなっている。
いつもと違う自分の姿を早く見て欲しかったルイーズは、彼が迎えにきたと知り、気持ちがはやる。
「エドワード。見て、見て、見て!」
大はしゃぎをしているルイーズを見て、エドワードはキラキラとした笑顔になる。
「想像以上に綺麗になっているな」
そう言われてしまえば、その場でクルッと回って、もっと見てのアピール。
ルイーズは、高級品だと言われたことも、すっかり忘れて浮かれている。
「驚いたわよ、いっぺんに2着も届くと思っていなかったもの。あんな短時間で、ぽんぽんっと買うものじゃないでしょう。店主だって驚いていたわよ」
ルイーズは、エドワードを揶揄うような話しぶり。
「あ……、すっかり忘れていた。万が一、体が戻らなかったときのために、青いのも頼んでたっけ……。くくっ、あの女店主にとっては、いっぺんに2着欲張ったのはルイーズだと思っているだろうさ」
店主の言葉を思い起こしていたルイーズ。自分の人差し指で、自分の顔を指さし、変な顔をしている。
「わたしって、傲慢な女だと思われていたの……。ひっどーい。……でもまあいっかぁ、初めてこんなに綺麗なドレスを着て、素敵な令嬢になれた気がするし」
「くくっ、ルイーズは素材で勝負しているんじゃなかったのか? それならついでに、この石ころも着けてやるよ、誕生日だしな」
そう言ったエドワードからルイーズは、たくさんのダイヤがちりばめられたネックレスを着けられている。
「エドワード、これ……、こんな高そうなもの」
「前に言っただろう。要らないとか高いとか、俺がセコいと思われるから言うなって。ほら、耳にも着けといてやる」
「ふふふ、くすぐったいわ~」
ルイーズにイヤリングを着けようとしたエドワードの手が、彼女の耳に触れる。それにドキッとしたルイーズは、首をすくめている。
「こらっ。こんなの触ったことがないから、よく分からないんだ。ルイーズは動くな」
「ふふふっ、わたしだって着けたことも、誰かに着けてもらったこともないわ」
ルイーズはあまり興味はないだろう。そう思いながらも用意した装飾品。
だが思っていた以上に、うれしそうな反応のルイーズを見て、エドワードは満足げだ。
「すごい! 耳で揺れてかわいい。わたしも、キラキラしているんじゃないかしら?」
「ああ、元からかわいかったけど、今日は、ますます魅力的になったんじゃないか」
「ほらね、わたしだって、まんざらでもなかったのよ」
そう言って、クスクスと笑うルイーズ。
姉にドレスを奪われたことも、罵られたことも、すっかり忘れたルイーズは、エドワードと楽しそうに舞踏会に向かっていった。
屋敷の前で親密な2人を、窓から悔しそうな顔で見ている姉。
(あの子でエドワード様を落とせたんだもの、わたしだって着飾れば、侯爵家以上の相手が見つかるわよ)
2人が出発した後、姉のミラベルは、ルイーズから奪うように借りたドレスと、以前、ルイーズのために届いていた宝石を身に着けて舞踏会に向かっていた。
姉の馬車に伯爵家の当主が同乗していれば、違ったのかもしれない……。
この年も例年の習慣で、伯爵家は二手に分かれて舞踏会に向かってしまった。
買ったドレスの存在を忘れるようなエドワードが、以前、姉によって持ち去られた宝飾品の行方を放っておけなかった理由。
それは、ルイーズを心配したエドワードが、スペンサー家の家紋を彫ったからだ。
姉はそんなことに全く気付いていない。
エドワードは、こんな自分を好きだと言ってくれた。
姉なんて気にしない。しゃんとしようと自分を鼓舞する。
鏡で自分の姿を見れば、まるで別人。
まともな食事にありつけたルイーズは以前より健康的で、肌艶も良くなっている。
いつもと違う自分の姿を早く見て欲しかったルイーズは、彼が迎えにきたと知り、気持ちがはやる。
「エドワード。見て、見て、見て!」
大はしゃぎをしているルイーズを見て、エドワードはキラキラとした笑顔になる。
「想像以上に綺麗になっているな」
そう言われてしまえば、その場でクルッと回って、もっと見てのアピール。
ルイーズは、高級品だと言われたことも、すっかり忘れて浮かれている。
「驚いたわよ、いっぺんに2着も届くと思っていなかったもの。あんな短時間で、ぽんぽんっと買うものじゃないでしょう。店主だって驚いていたわよ」
ルイーズは、エドワードを揶揄うような話しぶり。
「あ……、すっかり忘れていた。万が一、体が戻らなかったときのために、青いのも頼んでたっけ……。くくっ、あの女店主にとっては、いっぺんに2着欲張ったのはルイーズだと思っているだろうさ」
店主の言葉を思い起こしていたルイーズ。自分の人差し指で、自分の顔を指さし、変な顔をしている。
「わたしって、傲慢な女だと思われていたの……。ひっどーい。……でもまあいっかぁ、初めてこんなに綺麗なドレスを着て、素敵な令嬢になれた気がするし」
「くくっ、ルイーズは素材で勝負しているんじゃなかったのか? それならついでに、この石ころも着けてやるよ、誕生日だしな」
そう言ったエドワードからルイーズは、たくさんのダイヤがちりばめられたネックレスを着けられている。
「エドワード、これ……、こんな高そうなもの」
「前に言っただろう。要らないとか高いとか、俺がセコいと思われるから言うなって。ほら、耳にも着けといてやる」
「ふふふ、くすぐったいわ~」
ルイーズにイヤリングを着けようとしたエドワードの手が、彼女の耳に触れる。それにドキッとしたルイーズは、首をすくめている。
「こらっ。こんなの触ったことがないから、よく分からないんだ。ルイーズは動くな」
「ふふふっ、わたしだって着けたことも、誰かに着けてもらったこともないわ」
ルイーズはあまり興味はないだろう。そう思いながらも用意した装飾品。
だが思っていた以上に、うれしそうな反応のルイーズを見て、エドワードは満足げだ。
「すごい! 耳で揺れてかわいい。わたしも、キラキラしているんじゃないかしら?」
「ああ、元からかわいかったけど、今日は、ますます魅力的になったんじゃないか」
「ほらね、わたしだって、まんざらでもなかったのよ」
そう言って、クスクスと笑うルイーズ。
姉にドレスを奪われたことも、罵られたことも、すっかり忘れたルイーズは、エドワードと楽しそうに舞踏会に向かっていった。
屋敷の前で親密な2人を、窓から悔しそうな顔で見ている姉。
(あの子でエドワード様を落とせたんだもの、わたしだって着飾れば、侯爵家以上の相手が見つかるわよ)
2人が出発した後、姉のミラベルは、ルイーズから奪うように借りたドレスと、以前、ルイーズのために届いていた宝石を身に着けて舞踏会に向かっていた。
姉の馬車に伯爵家の当主が同乗していれば、違ったのかもしれない……。
この年も例年の習慣で、伯爵家は二手に分かれて舞踏会に向かってしまった。
買ったドレスの存在を忘れるようなエドワードが、以前、姉によって持ち去られた宝飾品の行方を放っておけなかった理由。
それは、ルイーズを心配したエドワードが、スペンサー家の家紋を彫ったからだ。
姉はそんなことに全く気付いていない。
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