私にだけ冷たい最後の優良物件から婚約者のふりを頼まれただけなのに、離してくれないので記憶喪失のふりをしたら、彼が逃がしてくれません!◆中編版
瑞貴◆後悔してる/手違いの妻2巻発売!
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犬猿の幼馴染の婚約発表③
「た、たたたた大変だ。事件だ! 最後の優良物件が、エメリーにドレスを贈ってきた」
「さっきの話の続きですか? 私だって暇じゃないのよ。いい加減、変な冗談はやめてよね」
「冗談なんかで言えるかよ! 来週のパーティー当日、レオナール様がエメリーを迎えに来るってさ。それを言ったラングラン公爵家の従者が、この箱と招待状を置いていった」
動揺しまくりの兄は、厚みおよそ四十センチメートルくらいの大きな白い箱を、私に向かって突き出してくる。
いわゆるその箱は、世間一般的に言うと、ドレスが入っている平べったいやつだ。
「はは……。訪ねる家を間違ったんじゃないかしら? 私がレオナールと一緒にパーティーに参加するなんて、あり得ないでしょう」
「ば、馬鹿! 公爵家の優秀な御者がそんなへまをするかぁッ!」
「それならおかしいわね。この屋敷には、私の他に令嬢はいたかしら……?」
ゆっくりと首を傾げる。
「白々しいことを言っているが、俺の妹は、一人しかいないだろう。それによく見れば、箱に小さく『エメリーヌ様』と書いてあるぞ」
そう言った兄が箱を凝視する。
「まさか……よね⁉」
「なあ……エメリーは何かしたのか? もしかして、最近、レオナール様の寝室に忍び込んで夜這いをかけた令嬢とは、エメリーのことだったのか……。彼はその責任をとって――」
兄がおもむろに、私のお腹の辺りを見てきた。
「誰がするかぁッ──!」
思わず大絶叫した。
兄よ。よからぬ妄想を働かせすぎだ!
私に限って絶対に何もしていない。あるわけないだろう。
この私が、彼を襲って自ら彼の子種を仕込もうと、考えるはずない。断じてない。
そもそもレオナールが私に異性を感じるわけがない。
私を見ても、コトに発展するわけがない。どうせ「枯れ木に食指が動くと思うか?」と、罵倒にされて終わる。間違いない。
「じゃあ、このドレスは何なんだ⁉ 『エメリーヌ』って、俺の妹のこと……だよな?」
「お母様かもしれないわ。踊り子時代のファンから、贈り物じゃないかしら!」
閃いた風に、指を立てて言ってみた。
「いいや、母の当時の芸名は、マチだ。エメリーヌとは、かすってもいない名前だ」
「あれ? じゃぁ、誰のことを言っているのかしら? エメリーヌって……変ねぇ」
「間違いなくエメリーのことだ。ほらっ、素直にこのドレスを受け取るんだ!」
そう言って、再びその箱を私へ差し出す。
だがしかし、絶対に受け取るわけにはいかないと思う私は、両手を後ろに隠す。
「ま、ままま待って。そのドレスを突き返すことはできないのかしら?」
「無理に決まっているだろう。公爵家から届いたものを突き返せるものか! この阿保エメリー」
「絶対に嫌よ。そんな面倒な相手が開催するパーティーのパートナーなんて……断るわ」
「子爵家の我が家に、断る権利がどこにあるんだよ!」
「レオナールと私の仲ならあるもん。どのドレスの返却の権利だってあるはずだわ!」
兄を力強く見つめる。
「ないから観念しろ! 次の週末のパーティーは、馬車で迎えに来るってさ。良かったな」
「はぁ? そんなパーティーがあるなんて、そもそも聞いていないわよ!」
私たち二人は、罵倒仲間というのが正しい関係なのに、レオナールってば、あちこちの令嬢たちから狙われて、気が狂ったんだろうか?
「元々、伯爵家以上しか招待していないパーティーだっていうから、子爵家の我が家には招待状は届いていないようだ」
「末席令嬢もいいところの、野次馬の最後尾の私が、そんな素敵なパーティーに、お呼ばれするわけがないわよ」
「変だな……最後の優良物件の婚約者って、信じられないがエメリー……お前のことだったのか」
「ち、違うわよ! 嫌よ、レオナールと婚約なんて願い下げよ!」
まさか本当にそんな事態になれば。ヴァロン王国の社交界に激震が走っているわよ‼
なんなら、この国の王太子は顎を外しているだろうし、貴族のご令嬢たちは、あまりのショックに気を失っているかもしれない。
社交界で全く好感度のない私と、最後の優良物件が、まさかの婚約──⁉
「さっきの話の続きですか? 私だって暇じゃないのよ。いい加減、変な冗談はやめてよね」
「冗談なんかで言えるかよ! 来週のパーティー当日、レオナール様がエメリーを迎えに来るってさ。それを言ったラングラン公爵家の従者が、この箱と招待状を置いていった」
動揺しまくりの兄は、厚みおよそ四十センチメートルくらいの大きな白い箱を、私に向かって突き出してくる。
いわゆるその箱は、世間一般的に言うと、ドレスが入っている平べったいやつだ。
「はは……。訪ねる家を間違ったんじゃないかしら? 私がレオナールと一緒にパーティーに参加するなんて、あり得ないでしょう」
「ば、馬鹿! 公爵家の優秀な御者がそんなへまをするかぁッ!」
「それならおかしいわね。この屋敷には、私の他に令嬢はいたかしら……?」
ゆっくりと首を傾げる。
「白々しいことを言っているが、俺の妹は、一人しかいないだろう。それによく見れば、箱に小さく『エメリーヌ様』と書いてあるぞ」
そう言った兄が箱を凝視する。
「まさか……よね⁉」
「なあ……エメリーは何かしたのか? もしかして、最近、レオナール様の寝室に忍び込んで夜這いをかけた令嬢とは、エメリーのことだったのか……。彼はその責任をとって――」
兄がおもむろに、私のお腹の辺りを見てきた。
「誰がするかぁッ──!」
思わず大絶叫した。
兄よ。よからぬ妄想を働かせすぎだ!
私に限って絶対に何もしていない。あるわけないだろう。
この私が、彼を襲って自ら彼の子種を仕込もうと、考えるはずない。断じてない。
そもそもレオナールが私に異性を感じるわけがない。
私を見ても、コトに発展するわけがない。どうせ「枯れ木に食指が動くと思うか?」と、罵倒にされて終わる。間違いない。
「じゃあ、このドレスは何なんだ⁉ 『エメリーヌ』って、俺の妹のこと……だよな?」
「お母様かもしれないわ。踊り子時代のファンから、贈り物じゃないかしら!」
閃いた風に、指を立てて言ってみた。
「いいや、母の当時の芸名は、マチだ。エメリーヌとは、かすってもいない名前だ」
「あれ? じゃぁ、誰のことを言っているのかしら? エメリーヌって……変ねぇ」
「間違いなくエメリーのことだ。ほらっ、素直にこのドレスを受け取るんだ!」
そう言って、再びその箱を私へ差し出す。
だがしかし、絶対に受け取るわけにはいかないと思う私は、両手を後ろに隠す。
「ま、ままま待って。そのドレスを突き返すことはできないのかしら?」
「無理に決まっているだろう。公爵家から届いたものを突き返せるものか! この阿保エメリー」
「絶対に嫌よ。そんな面倒な相手が開催するパーティーのパートナーなんて……断るわ」
「子爵家の我が家に、断る権利がどこにあるんだよ!」
「レオナールと私の仲ならあるもん。どのドレスの返却の権利だってあるはずだわ!」
兄を力強く見つめる。
「ないから観念しろ! 次の週末のパーティーは、馬車で迎えに来るってさ。良かったな」
「はぁ? そんなパーティーがあるなんて、そもそも聞いていないわよ!」
私たち二人は、罵倒仲間というのが正しい関係なのに、レオナールってば、あちこちの令嬢たちから狙われて、気が狂ったんだろうか?
「元々、伯爵家以上しか招待していないパーティーだっていうから、子爵家の我が家には招待状は届いていないようだ」
「末席令嬢もいいところの、野次馬の最後尾の私が、そんな素敵なパーティーに、お呼ばれするわけがないわよ」
「変だな……最後の優良物件の婚約者って、信じられないがエメリー……お前のことだったのか」
「ち、違うわよ! 嫌よ、レオナールと婚約なんて願い下げよ!」
まさか本当にそんな事態になれば。ヴァロン王国の社交界に激震が走っているわよ‼
なんなら、この国の王太子は顎を外しているだろうし、貴族のご令嬢たちは、あまりのショックに気を失っているかもしれない。
社交界で全く好感度のない私と、最後の優良物件が、まさかの婚約──⁉
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