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第一章 王国
スキル召喚の儀
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豪華絢爛な中にもどこか静謐な空気を纏う広間に大勢の人々が集っている。そのほとんどは王国貴族であり、本日は新年恒例の祝福の儀と言う前年に5歳を迎えた幼児を対象としたスキル付与の儀式が行われている。
すでに男爵位から公爵位までの子供達の儀式は終了し残すは大トリである私…
「…カトリアーナ・ウィナーズ・ラースファリア殿下前へ」
王都の中央教会を取り纏める大司教から呼ばれた私は恭しくカーテシーを決めると胸を張り一歩、一歩と大司教が待つ女神像の前に向か「」う。平民は別だが中央教会が行う儀式は一般に魔力が高いとされる高位爵位持ちを後に持って来る傾向にある。
これは魔力が高い方がより良いスキルを得られる傾向にあり、得られるスキルの数も多いとされる為であり、当然本日のトリを務める私の魔力は十分であり…つまり本日の主役は私と書かれたタスキをかけても良い位って訳である。
…あれ?タスキってなんだっけ…まぁ、いいか。
「…カトリアーナ・ウィナーズ・ラースファリア殿下に神の祝福を…」
大司教の元に辿り着い私に大司教がそう呟くとパラパラと光の粒が天から振り注いで来る。チラリと横を見るとお父様やお母様が笑顔で拍手して下さっているわ。
《スキルが目覚めました。カトリアーナ・ウィナーズ・ラースファリアに付与されしスキルは…》
天の声と言われている物が聞こえ…機械音声…なんだこれ…わたしのスキルは…いや俺は…わたし…は…
ぐらりと身体が傾くのを感じながら私の意識は闇に落ちて行った。
⭐︎
ホーホー…ホー…ホーホー…
…まどろみの中、意識が徐々に浮上していく…どうにも長い夢を見ていたような…懐かしいような…
「…神音…」
両手は左胸を押さえ、口からは自然と前世の妹の名前が漏れていた。どうやら夢ではなく、俺は生まれ変わってしまったようだ。
前世では仲の良い双子であったと思う。いつも二人一緒で、喜びも悲しみも悪戯もおふざけも…まぁ、うむ…兎に角元気いっぱいだったのだけど、中学に上がった直後に神音がいきなり倒れた。
後になって分かったが、性質の悪い心臓病だった。当時の俺はいつも何をするのも同じだった神音だけがどうしてだと泣き喚くことしか出来なかった。
結局、心臓移植しかないとなって何年か…ドナーを探していたはずで…それからどうしたんだっけ?最後に何か大きな光が見えた様な…
「俺の心臓…」
生まれ変わったと言うことは俺は前世では死んだはずで、事故にしろ何にしろ心臓さえ無事なら…或いはと思ってしまう。
「…神音…」
《魂の同期が完了致しました。魂の双子『二島 神音』に連絡致しますか》
機械音声の様な天の声が頭に響いて来る。女神像の前でしか起こらないとされている現象なのだが、それよりも内容に驚いてしまう。二島は俺の前世での苗字であり神音は妹で間違いない。
驚いてまん丸になっているであろう俺の目の前に半透明のA4サイズのウィンドウが浮かび、『はい』と『いいえ』の文字がチカチカと瞬いていた。
すでに男爵位から公爵位までの子供達の儀式は終了し残すは大トリである私…
「…カトリアーナ・ウィナーズ・ラースファリア殿下前へ」
王都の中央教会を取り纏める大司教から呼ばれた私は恭しくカーテシーを決めると胸を張り一歩、一歩と大司教が待つ女神像の前に向か「」う。平民は別だが中央教会が行う儀式は一般に魔力が高いとされる高位爵位持ちを後に持って来る傾向にある。
これは魔力が高い方がより良いスキルを得られる傾向にあり、得られるスキルの数も多いとされる為であり、当然本日のトリを務める私の魔力は十分であり…つまり本日の主役は私と書かれたタスキをかけても良い位って訳である。
…あれ?タスキってなんだっけ…まぁ、いいか。
「…カトリアーナ・ウィナーズ・ラースファリア殿下に神の祝福を…」
大司教の元に辿り着い私に大司教がそう呟くとパラパラと光の粒が天から振り注いで来る。チラリと横を見るとお父様やお母様が笑顔で拍手して下さっているわ。
《スキルが目覚めました。カトリアーナ・ウィナーズ・ラースファリアに付与されしスキルは…》
天の声と言われている物が聞こえ…機械音声…なんだこれ…わたしのスキルは…いや俺は…わたし…は…
ぐらりと身体が傾くのを感じながら私の意識は闇に落ちて行った。
⭐︎
ホーホー…ホー…ホーホー…
…まどろみの中、意識が徐々に浮上していく…どうにも長い夢を見ていたような…懐かしいような…
「…神音…」
両手は左胸を押さえ、口からは自然と前世の妹の名前が漏れていた。どうやら夢ではなく、俺は生まれ変わってしまったようだ。
前世では仲の良い双子であったと思う。いつも二人一緒で、喜びも悲しみも悪戯もおふざけも…まぁ、うむ…兎に角元気いっぱいだったのだけど、中学に上がった直後に神音がいきなり倒れた。
後になって分かったが、性質の悪い心臓病だった。当時の俺はいつも何をするのも同じだった神音だけがどうしてだと泣き喚くことしか出来なかった。
結局、心臓移植しかないとなって何年か…ドナーを探していたはずで…それからどうしたんだっけ?最後に何か大きな光が見えた様な…
「俺の心臓…」
生まれ変わったと言うことは俺は前世では死んだはずで、事故にしろ何にしろ心臓さえ無事なら…或いはと思ってしまう。
「…神音…」
《魂の同期が完了致しました。魂の双子『二島 神音』に連絡致しますか》
機械音声の様な天の声が頭に響いて来る。女神像の前でしか起こらないとされている現象なのだが、それよりも内容に驚いてしまう。二島は俺の前世での苗字であり神音は妹で間違いない。
驚いてまん丸になっているであろう俺の目の前に半透明のA4サイズのウィンドウが浮かび、『はい』と『いいえ』の文字がチカチカと瞬いていた。
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