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第一章 王国

お尻ペンペン

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部屋を見渡しても侍女達の姿が見えない為、寝間着でカーテシーをかます我である。前世の頃は寝間着や部屋着で歩きながら髪をポリポリとかお尻をカキカキしても平気だったはずなのだが…すごく恥ずかしいと感じてしまう。


 ”カトリアーナちゃん最高!”

 ”恥ずかしがってるのが至高ですね”

 ”幼女ペロペロ”

 ”↑通報しました”

 ”カノンちゃんが不思議な配信していると聞いて水産”

 ”案件?”

 
 「ノー案件です!にーにはファミリーシップの弾丸達からのメッセージしか見えてないはずだけど、弾丸達も変なこと言ってたら不発弾にしちゃうぞ!」


 ”不発弾は嫌だー”

 ”まことにもうしわけ”

 ”orz”


 「おふざけはこの辺にしてっと!にーに挨拶!」


 「あ、改めましてこんばんは、カトリアーナ・ウィナーズ・ラースファリアです。よ、よろしくお願いします」


 鏡の前でカーテシーを再び決める。神音の配信画面が半透明なウィンドウで見えているが、どうやら俺の視点をミラー配信しているらしく画面の右下に神音の半身が写っており後は俺の視線が配信されている感じのようだ。コメントも見えるようになったのだけど、どうやら妹は結構な人気配信者のようでコメントだかメッセージが凄い速度で流れていきとてもじゃないけど目で追うことも出来そうにない。


 「あーやっぱそかー…にーに…悪いんだけど、お部屋見せてもらってもいい?」


 「わ、我…姫…は、恥ずかしいから少しだけ…」


 「あ…みんな録画禁止だからね!」


 どうやら俺が見ている視界が配信されているようなので、なるべくベッドの方は見ないようにしながらチラッチラッとしながら部屋を練り歩く。確かに壁とか天井とかベッドとか豪華ではあるんだけど、変な所はないとおもうんだけど…


 ”これが絶対王政のお姫様のお部屋かーすげー?”

 ”なんて優雅?”

 ”う、うーん…贅沢なのは分かるけどなにあれ?”

 ”チーム勇者団の見解ですが、ここって常闇の間ですよね”

 ”聖者の行進の見解も同一だ”

 ”やっぱ攻略不可能クエスト永遠の闇のPVか?”


 「弾丸共!VRでもないのは配信見たら分かるだろう!にーにのピンチなんだ三十秒も支度にかかるのかい!?」


 ”マム!我らすでに準備は万端なり!”

 ”#聖なる砲手 執事長:お嬢様、我ら聖なる弾丸48名御心のままに”

 ”#頑固おやじ 怠惰じじい:よー嬢ちゃん、クッソめんどうだが俺らも不可能クエストにはイラついてんだ協力してやるよ”

 ”#世界樹 リリーエルフ:故郷かしら?故郷よね?おばあ様ー”

 ”わー有名ギルドがいっぱいだー”

 ”いやーめっちゃコメント流れてるけどカトリアちゃんずっと首傾げてるよ?カノンちゃんそろそろフォローした方が…”


 「あ”…にーに…だ、大丈夫かな?」


 「う、うむ…なんだか神音が遠くの人になってしまった気はするけど大丈夫だよ。うーん…でもなぁー」


 正直に思うところ配信者ってすごく目立ちたがりっていうのもあるんだけど、大変なお仕事だと思うんだよね。俺が生前…生まれ変わる前ね!にたまーに見ていた配信者の人たち。俺はそれほど熱狂的ではなかったのだけど、元プロゲーマー狙撃手ブッタさんや配信ゲーム兄弟さん達は楽しく見てたのよ。そういう方々と神音を比べると…うーむ…


 「神音!そんなんだと超一流配信者のブッタさんやイマジナリー三人兄弟さんにはとてもじゃないが並び立てないぞ!お兄ちゃんが神音を世界一の配信者にしてやろうではないか!」


 ふふふんと胸を張る。きっとブッタさんや三兄弟さん達をたまに見て勉強していた俺の知識に妹は震撼するに違いないさ、サスにーにである!


 「え…」


 「すべてはにーにであるこのカトリアーナ・ウィナーズ・ラースファリアに任せるのである!ふはーははははは!我は…姫…ぞ?」


 「にーに、取り合えず部屋から逃げないといけないからそのヤバイ暗黒魔法陣を聖魔法か…」


 ん?聖魔法とは何だろう?確かお母様の故郷は聖王国的な国ではあるらしいしーお母様も侍女達に聖母様とか呼ばれていたはずなので多分聖なるなんとかなのかな?
 あーなるなる!


 ”クソクエの燭台は謁見の間だったはず”

 ”ストーリーパートの主人公でも聖女スキルは使えないから…”

 ”カトリナちゃんなら謁見の間に…”

 ”近衛兵が…”

 ”やっぱ無理ゲーだって”


 なんだかよく分からないけど…この部屋の前から趣味が悪いなーと思っていた魔法陣はどうやら悪い物のようだ。悪いならお仕置きをしなければならないのは世の摂理である。


 「おしりーぺんーぺーん!ぺんーぺぺんーぺんぺぺんーぺんぺん!きゃっきゃ!」


 魔法陣に向かって悪戯した時にお母様が我に対してのお尻ペンペンを行う。悪いことをしたならお仕置きである!

 ペシペシと叩き続けるとどんどんと魔法陣が薄れてきて楽しくなって来たので、ペチペチと続けていたのだけどやがて魔法陣が消えてしまって…ちょっと不満。


 「…ふぁ?」

 
 ”いやいやいやいや聖属性…”

 ”実に楽しそうな…”

 ”…”


 なんだろう?魔法陣が消えた後にゴゴゴと言って下に続く階段が出て来たよ?我…姫のはず…お部屋に続く隠し通路って…さすがにダメだよね。

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