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第一章 王国

能力を検証してみるよ

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 どうやら私は気絶していたらしく、起きるとガルルンさんに凄い勢いで謝られた。

 子供に難しい話をし過ぎたと思われたようで、俺も子供頃は良く頭から煙が出てぶっ倒れたもんよとガハハハハと笑っていたら見舞いに来てくれていた奥さんズにから拳骨を喰らっていたよ。

 神音は…私が気絶している間に両親に確認していたようで、私達がショックを受けないように魅音が行方不明状態であることを隠していたらしい。


 尚、死んだはずの兄をどう見ても幼女な俺に見立てたり、親友で実際に捜索願も出されている魅音について配信している神音は当然炎上している様なのだが、元々ファミリーシップという有料メンバー限定の設定にしていることで書き込める人数が限定され、更に他のSNSで神音を叩いて人気を取ろうとしている者や自称有識者と言った本当に何に詳しいのかと言った奴らが有料登録をしコメントしようとすると、何故か文字化けが発生することで神音に直接な被害はない模様です。


 元々ジョブとか属性ですらよく分からないのに、それに輪をかけて何故地球に繋がっているかも分からない謎のシステムなので、遠く離れているどころか次元すら超えていそうな地球にすらガード機能働いているのかも知れ…ん…次元?


 そう言えばと不意に思い出したんだけど、ノルビストに運搬人は珍しいくて貴重だという話をガルルンさんから聞いた時に確か運搬人は自然属性じゃなく、特殊な空間属性だからなと言ってたんだけど…




 名前:カトリアーナ・ウィナーズ・ラースファリア

 年齢:5

 種族:贄人

 職業:運搬人

 属性:聖$KP!#@/邪%)次元




 ステータス見えるよ腕輪君を一撫ですると出て来るウィンドウには確かに次元とあるんだよね。

 ゲームでは無能と言われた私の能力だけど、大司教や宰相が言うには私を利用して邪神を呼び覚まそうとしていたみたいだし文字通りの無能ではないと思うんだ。

 ラストフェリア王国を邪神とやらから取り戻す為、本当に初代聖女が魅音だったのか確かめ、その場合どうやって邪神に対抗したのか…どう生きたのか…足跡をたどる為、そろそろ私に何が出来て何が出来ないか検証の時が来たのかもしれない。


 そんな訳で、ガルルンさんにお腹が痛いのですと訴えて寝込む振りをして一人にしてもらいました。

 見えないウィンドウに向かっておしゃべりする様子って、傍から見るとかなりやばい奴だと思うので仕方ない処置なのです。

 
 「神音は…無理っぽいのでリスナーさん達一緒にお願いします!」


 “お、おう…”

 “こんな時に…狂ってるのかこの子”

 “さすがですお兄様”


 なんだかコメント欄の反応がおかしいんだけど、こちらは常に前向き平常運転なのです。

 
 「あらためまして、能力を開示していくから出来そうなことみんな教えてね!」
 

 ます自分の属性として、聖$KP!#@/邪%)と言う文字化け状態で腕輪を使っても解読は不可能だった。

 対して、次元なんだけど…


 次元属性(次元)

 古の聖女の願いにより、次元を隔て召喚された魂は聖女の血脈に宿った。

 次元を超過する際に付与されしこの属性は本来ならば目覚めるはずはなかったが…

 魂を共にする次元同一性存在により、特定の座標に次元を超過し通信が可能。

 下記の能力が解放されています。

 【次元魔法】【次元保管庫】【次元間通信】【ビリオンチャット同期】【次元転送陣】
 

 前に見た時はこんな説明文なんて出てなかったはずなんだけど、指輪が成長したのか何か他に条件があったのかは分からないけれど、こんな文章が現れた。


 「魅音…」


 聖女様が魅音だとしたら、彼女の生きた証は私にも宿っていると言うことか…思わず胸を押さえてしんみりとした気持ちになってしまう。

 そのことを確かめるためにも、自分が何を出来るのか確認しなければならない。

 次に装備品の確認だね。


 【真実の腕輪…装着者の状態を表示させる。副効果として物の価値が分かるようになる】


 【七変化の指輪…変身能力が付与された指輪、但し身長や体型を変更には限度がある。副効果として基本7属性の初期魔法が扱えるようになる】


 【変化リスト】

 ・フラワーツリー

 ・サンサン魚

 ・ウォールスクワーロ ←オススメ

 ・禍々髑髏

 ・フワポン

 ・エキゾチックパウダー

 ・ヒュージマタンゴ

 
 真実の腕輪は、ステータスを見れたりする便利な腕輪だけど直接邪神の欠片と対抗するのは難しいかな。


 “中古の武器屋で埃を被っている聖剣さがそうず”

 “それよか神音ちゃんを通してどっかの骨董市荒すのおもろそうじゃん”

 “国宝博物館を回ってちゃんと本物か確認して回るのも面白そうね”


 そう思っていたらリスナーさん達から面白い意見が寄せられたけど、聖剣なんてそこら辺に売っている物なのかな。

 神音のウィンドウ越しに腕輪が発動するかは…問題なく神音愛用のマイクの情報が表示されたので、リスナーさん達の要望に応えられそうです。


 「次に七変化の指輪なんだけど…」


 “初期魔法は全属性一緒でショットを放つだけ”

 “クソ弱スキルだけど牽制には使える?”

 “ウォールスクワーロ以外はモンスターだよ。討伐されちゃうよ”


 リスナーさん達によるとショットは弱い上に射程が一メートルにも満たないと短すぎて使い物にならないらしい、折角攻撃魔法を覚えれると思っていたので残念である。

 明かりにはなるしいっぱい浮かべると綺麗だということで、火から水、土、風、毒、光、闇と浮かべていくと薄っすら発光している球がカラフルでとてもきれ…


 《基本七属性の同時発動を確認、次元属性の保持を確認したため自動的に次元圧縮がk…聖属性と邪属性確認した為、次元圧縮をてい…error…発動シークエンスを停止…error…混沌属性の発現を…》


 カラフルな球が私の目の前に集まりバスケットボールサイズからビー玉サイズになったと思えば、黄金のクルミから輝く白銀のオーラと禍々しいオーラが溢れ、ビー玉サイズの発光物に吸い込まれかと思うと直視すればする程に不安に蝕まれていく怪しい光を放つ何かが完成した。

 あまりにあまりにな物の為、思わず天井に向かって「ぺいっ」と思わず放り捨てる。

 元はショットと思って一メートルもすれば消えるだろうと思っていたんだけど、そんなことは知らねえなーとばかりに球は突き進みテン所をあっさりと貫通すると見えなくなってしまった。


 しばらくした後に何処からか不安を煽るような音が響き渡り、外にいるノルビストさん達がワイワイと騒いでいたみたいなんだけど、一杯集まってるしお祭りでもしているのかな。

 せっかくの機会だけど、私はガルルンさんにお腹が痛いのですと伝えているので、大人しく天幕に引き籠っているのです。

 気のせいか本当にお腹が痛くなって来たよ。

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