【大師匠は大嘘つき】〜俺はデタラメの剣術を教えたはずなのに、今や妹は剣聖と呼ばれています〜

鳥羽フシミ

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修行編

第1話 プロローグ〜負けを求める剣聖〜

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まぁ平和な時代ってのは、いつだってお金の話だよ。

どこぞの誰とかが〇〇の商売でひと山当てたとか、どこどこの領主が最近羽振りがいいのは裏で何かヤバイことでもやってるんじゃないか?

とかね……そんな話ばっかりさ。

でも、この国の人々は一時が万事そんな話ばっかり言ってるから、帝国の奴らにつけ込まれちゃったんだよ……。

いざ隣国に攻め込まれたらさ、この国の腑抜けた将軍達はまともな戦闘すら行えなかったんだ。それで結局、負け戦をひたすら重ねるばかり。

そりゃ金で将軍職を買った奴らに何の能力も無いって話さ。

でもね……この物語はそこからが始まりなんだ。




ついに王都ナンバークまで、およそ十日の距離へと迫った帝国軍。レーンスタット領トムソン川の北岸は王国軍最後の防衛戦であった。

しかし、そのトムソン川北岸にて帝国軍は、その電撃的な侵攻から方針を一転。帝国軍は今まで見せていた強引なまでの進軍を止める。

そして今度は王国軍の疲弊を待つべく持久戦の構えを見せる。この時既に、帝国軍は勝利を確信していた。ここで無理強いせずとも、後は実が熟して自ら地面へと落ちるのを待つだけだと、そう判断したのである。

戦況が膠着してから既に三年が経過し、それまで泰平の世にうつつを抜かしろくに軍備を整えてこなかった王国軍は、帝国軍の思惑通りその首を真綿で絞められるようにして徐々にその国力を奪われて行った。

そして――

国民は既に戦意を失い、国王さえも王国の行く末に希望をなくしかけていたある日のこと。

幾重にも帝国軍が取り囲み、その日の突撃を最後に陥落かとも思われたトムソン川北岸の砦の城門の前に、まるでたった一人で帝国軍全てを相手にするかのように立ちはだかる一人の少女の姿があった。

まだあどけなさが残る黒髪の少女は、ゆったりとした白い衣装に防具のひとつも身に着けぬまま、一振りのみすぼらしい剣を携えて、その身一つでいったいどうやってこの砦までたどり着いたというのだろうか。

その少女の名はレイラ=バレンティン


黒く大きな瞳に強い意志を携えた少女は、この大戦の後、新たに増設された白騎士団の団長に抜擢され、十六という若さで新生王国軍の一翼を担う存在となるのである。

大戦の最中さなか。彼女は、戦場で高らかにこう叫んだと言う。

「私を負かすことの出来る者はいないか!」

と――

後の世に語られた話によると、戦場から戻って来た少女の身体には返り血のたった一つさえも見つけることが出来なかったと言う。

斯くしてここに救国の英雄が誕生する。

そして、人々は彼女のことを尊敬と畏怖の念を込めてこう呼んだ。

まけを求めし剣聖』と。




なんてね………。

けっこう格好良い始まりでしょ。実はこの『剣聖』俺が育てたの。

「でも。それって、ちょっと凄くないですか?」


◇◆◇◆◇◆

数多くある物語の中から、この物語を選んでいただきありがとうございます。

この物語は、私が昨年に書いた『剣なんて握ったことの無い俺がでまかせで妹に剣術を指導したら、最強の剣聖が出来てしまいました。~Millennium nine swords~』の加筆修正版(予定)となっております。

私自身が不満や不完全燃焼だったり部分と、評判の悪かった部分を修正して、新たに物語を再構築する予定です。

序盤の妹成長物語はそのままに、新しいエピソードが入るのは、だいたい30話前後からになると思います。

そこにはレイラとカイルが離れ離れになったいきさつや、褐色の麗人ドーマとの因縁などが追加される予定になってます。

少々時間は掛かるかもしれませんが、気長にお付き合い頂ければ幸いです。

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