【大師匠は大嘘つき】〜俺はデタラメの剣術を教えたはずなのに、今や妹は剣聖と呼ばれています〜

鳥羽フシミ

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修行編

第4話 デタラメの英雄譚 その3

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さて。長ったらしい前置きはここで終わり。そろそろ本題に入ろうか。

俺の名前はカイル。いわゆる転生者ってやつだ。歳は今年で十四歳。この国の王都からは程よく遠く離れたウルマルって言う山の中の小さな村に住んでいる。ご近所さんは殆ど顔見知りっていうか、ほぼ親戚っていうか……言うなればド田舎?
性格のほうは多くの転生者がそうであるように少々歪んではいるけれど、まぁ、ありきたりなお人好しだよ。

先にも書いたけど、三年前に両親が失踪してしまった俺は、今、八歳の妹レイラと二人だけで暮らしている……。というのはちょっと格好良く言い過ぎだね。今は隣に住むエルマおばさんとレンドルおじさん夫婦にむっちゃくちゃ世話になりながら、なんとかかんとか暮らしているって感じかな。

まぁ、ここで最愛の妹の説明をしだすとむちゃくちゃ長くなっちゃうし、取り敢えず最初に言っておかなきゃならない事は、そんなとこだね。


あぁ……。それとさ、雑な自己紹介のついでに、一応説明を入れておこうか。俺が転生した世界ってやつを。

さて、こっちの世界は良くあるファンタジーな世界だった。剣やら魔法やら、ドラゴンやら……そんなみんなが一番最初に思いつく様な、何の捻りもこだわりも無い世界なんだ。

でも俺にとっちゃ、逆にわかりやすくて良かったよ。変にこだわった設定だとか世界観だったら、俺、頭に入んないからさ。だって俺、ゲームとかでもチュートリアルとか会話とかすっ飛ばすタイプだから小難しい話は……。本当ゴメンナサイ。分かんないっす。


まぁ、そんな訳だから、もしかしたらこっちの世界には魔王やら魔族なんてのがいるかも知れないね。

もちろん見た事も聞いた事も無いけど……。

それに、精霊やエルフ族なんてのもいるかもしれないね。

いるなら、いっぺん会ってみたいけど……。


俺にとっちゃ、この世界はそんな感じだけどさ。町に行けば、お決まりの冒険者っていうのがいるし、もちろん冒険者ギルドってのもある。
俺も、週に2回ほどそのギルドへ薬草を卸《おろ》しに行ってるんだけど、けっこう賑わっててさ。特に先週なんかはドラゴン退治だとかでやたら盛り上がっててね、薬草がいつもの倍の値段で売れて儲かっちゃった。ドラゴン様々って感じですよ。

そんな感じだから魔物っていうか、凶暴な野生動物なんかはそれなりにいるんだと思う。それに北の方の街では他国とのいざこざが絶えないって話もあるしね。

でもさぁ、そんなの全然俺達の村には関係なくて、せいぜい薬草が高く売れるくらいの話だったんだよ。


だから。

正直、魔物や戦争なんか全くと言っていいほど縁のないこのウルマル村から、国中に名を轟かす剣聖が誕生するなんて誰一人思ってもみなかったに違いない。

そしてこの村が後に、達人達の隠れ里と呼ばれる様になることも……。




それは……。ドラゴンを倒したなんてバレバレの嘘を、漫画や小説から借りてきた嘘で塗り固めようとした、痛々しい俺の一言から始まったんだ。

「さぁ、レイラ。今からお兄ちゃんが、ドラゴンをも倒した秘伝の剣術ってやつを、お前に教えてやる!!」

ってね。
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