15 / 103
15、俺はプリング街のサトシ
しおりを挟む「あんたなんかしたの?」
ベッドでゴロゴロする俺に、突然部屋に入ってきたアリスさんが話しかけてきた。
「急に何です?」
「‥‥‥あふん」
入り口の方を振り向くと同時にアリスさんは膝から崩れ落ち、よろけながらかろうじてベッドに転がりこむ。
もちろん部屋にいる時はノーマスクです。
「あれ程ノックして下さいと──」
アリスさんを見ると、赤い顔のまま俺の胸辺りに顔をすりすりしていた。
「‥‥‥わざとやってますね」
「これは事故よ」
「で、何があったんです?」
「あ、そうだった。今日の昼間あんたが居ない時、王宮から使いが来てあんたにこれを」
アリスさんはポケットから手紙を取り出した。
「必ず読む様に伝えろって」
貰った手紙を読んでみる。
「‥‥‥何これ? 城に来いだって」
「あんた何したの?」
手紙を覗き込むアリスさん。
2人共まだベッドに転がったままです。
「アリスさん、なんかもう色々近い」
「‥‥‥これも事故だね」
「このぬいぐるみマニアめ、まだ使ってない『魔王の元気』を一気飲みしてやろうか」
「‥‥‥あんたそうだったね」
悲しそうな顔をするアリスさん。
何かまた勘違いされたようだ。
俺は、いつもどこまでも元気いっぱいです。
「王宮ってどこにあるんですか?」
「街から北に伸びる街道を、1日くらい歩けば着くそうだよ。私は行ったことないんだ」
「結構近いんですね。これ行かなかったらどうなりますか?」
「打首だね」
首が飛びますか。
「冗談だよ。でも行った方が良いと思うよ、悪い話じゃなさそうだったし」
「やだな~」
ベッドにゴロンと大の字になり苦い顔をした。
「ねえ、付いてってあげようか!」
上から俺の顔を覗き込むアリスさん。
「大丈夫です、危ないし1人で行きます。あともう本当に近いです。やばいです」
「あんたどうせ役に立たないんだから‥‥‥あれ?」
俺は役に立つんです。
「起きましょう」
「‥‥‥そうね」
いそいそとベッドから起き上がる俺とアリスさんでした。
「これが城か」
西洋風の城。
RPGの城だ。
なんか感動した。
城の周りにはプリング程大きくはないが街もあり、宿屋なども目についた。
急いで歩いたら3時間程で着いたので、泊まる必要はなし。
用事を済ませてとっとと帰ります。
「たのもぉ~!」
入り方がわからないので、とりあえず入り口で叫んでみた。
「なんだ! どうした?!」
慌てて入り口にいた門兵が駆け寄ってくる。
「来てやったぞ」
「お前誰だ!」
槍を突きつけられました。
これはもう追い返されたってことでいいかな?
「呼ばれて来たけど、攻撃を受けて城に入れなかったから帰ります! ご機嫌よう」
そのまま帰ろうとすると、後ろから不意に腕を掴まれた。
「其方、何故手紙を見せんのだ!」
こいつ見覚えがあるぞ、いつぞやのヒゲのおじさん。
「槍を突きつけられて怖かったので、それどころではありませんでした」
「‥‥‥棒読みで話すな。来てくれたのだなニア殿。その節はお世話になった」
頭を下げるヒゲのおじさん。
嫌な予感はしてたんだ、姫とか呼んでたもんな。
「では、これにて!」
「帰らんでくれ。王がニア殿をお待ちだ」
「俺はニアではない」
「ほぉ、あの街で其方の風貌などを聞いてまわったら、すぐに皆がニアだと教えてくれたぞ」
プリングの街に住みにくくなるのはごめんだ。
なんか偽名ないかな‥‥‥。
「俺はサトシ」
「サトシ殿というのか、さあ中へ!」
とっさに本名を言ってしまった。
偽名が本名で、本名が偽名というアベコベになりました。
もうどっちでも良いや!
大きな城の門が音をたてて開いた。
6
あなたにおすすめの小説
チート魔力はお金のために使うもの~守銭奴転移を果たした俺にはチートな仲間が集まるらしい~
桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。
交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。
そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。
その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。
だが、それが不幸の始まりだった。
世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。
彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。
さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。
金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。
面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。
本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。
※小説家になろう・カクヨムでも更新中
※表紙:あニキさん
※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ
※月、水、金、更新予定!
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
異世界で家をつくります~異世界転移したサラリーマン、念動力で街をつくってスローライフ~
ヘッドホン侍
ファンタジー
◆異世界転移したサラリーマンがサンドボックスゲームのような魔法を使って、家をつくったり街をつくったりしながら、マイペースなスローライフを送っていたらいつの間にか世界を救います◆
ーーブラック企業戦士のマコトは気が付くと異世界の森にいた。しかし、使える魔法といえば念動力のような魔法だけ。戦うことにはめっぽう向いてない。なんとか森でサバイバルしているうちに第一異世界人と出会う。それもちょうどモンスターに襲われているときに、女の子に助けられて。普通逆じゃないのー!と凹むマコトであったが、彼は知らない。守るにはめっぽう強い能力であったことを。
※「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。
屑スキルが覚醒したら追放されたので、手伝い屋を営みながら、のんびりしてたのに~なんか色々たいへんです(完結)
わたなべ ゆたか
ファンタジー
タムール大陸の南よりにあるインムナーマ王国。王都タイミョンの軍事訓練場で、ランド・コールは軍に入るための最終試験に挑む。対戦相手は、《ダブルスキル》の異名を持つゴガルン。
対するランドの持つ《スキル》は、左手から棘が一本出るだけのもの。
剣技だけならゴガルン以上を自負するランドだったが、ゴガルンの《スキル》である〈筋力増強〉と〈遠当て〉に翻弄されてしまう。敗北する寸前にランドの《スキル》が真の力を発揮し、ゴガルンに勝つことができた。だが、それが原因で、ランドは王都を追い出されてしまった。移住した村で、〝手伝い屋〟として、のんびりとした生活を送っていた。だが、村に来た領地の騎士団に所属する騎馬が、ランドの生活が一変する切っ掛けとなる――。チート系スキル持ちの主人公のファンタジーです。楽しんで頂けたら、幸いです。
よろしくお願いします!
(7/15追記
一晩でお気に入りが一気に増えておりました。24Hポイントが2683! ありがとうございます!
(9/9追記
三部の一章-6、ルビ修正しました。スイマセン
(11/13追記 一章-7 神様の名前修正しました。
追記 異能(イレギュラー)タグを追加しました。これで検索しやすくなるかな……。
異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~
松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。
異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。
「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。
だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。
牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。
やがて彼は知らされる。
その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。
金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、
戦闘より掃除が多い異世界ライフ。
──これは、汚れと戦いながら世界を救う、
笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
彼に勇者は似合わない!
プリン伯爵
ファンタジー
連日の残業で終電帰りのサラリーマン、神無月無名21歳。
ある夜、突然足元の光に包まれ異世界へと召喚されてしまう。
そこは豪華絢爛な王宮。
第一王女ラクティスは、彼を含む男女5人を「勇者」として召喚したと告げる。
元の世界では時間がほぼ止まっているという説明を受け、半ば強制的に魔国との戦いに協力することになった無名たち。
発現した無名の紋章は歴代でも最高クラスを示し万能の勇者と称され、周囲を驚愕させる。
元の世界への帰還を条件に口頭で協力を約束する勇者たちだが、無名だけは王家に対し警戒心を抱き、王に元の世界への帰還とこの世界で得た力を持ち帰ることを書面で約束させる。
協調性がないと周囲から思われながらも、己の最適解を優先する無名は、果たして他の勇者たちと協力し、魔国を打ち倒して元の世界へ帰ることができるのか。
それぞれの思惑が交錯する中、勇者たちの戦いが幕を開ける。
これは社会不適合者が歩む成長の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる