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21、おやすみなさい
しおりを挟む宿屋の俺の部屋。
深夜。
テーブルに座り見つめ合う男女。
アリスさんと俺です。
「王様になんて言われたの?」
真剣な目で俺を見るアリスさん。
鼻があたりそう。
距離感以外はシリアスな感じ。
「色々言われました」
「‥‥‥聞いて大丈夫?」
「はい。まず王様になれって言われました」
「‥‥‥はぁ?!」
本当だよ。
「姫と結婚しろって言われました」
「何でよ!」
急に立ち上がるから鼻があたる。
‥‥‥少し痛い。
「丁重にお断りしたら、魔王を倒せって言われました」
「‥‥‥断ったんだ」
元の位置に戻るアリスさん。
「最終的に勇者を探す事になりました」
「‥‥‥ごめん、なんか意味がわかんない」
本当に言われたまま、そのままの流れです。
‥‥‥王様も混乱してたから。
詳しく話そう。
「つまり、あんた勇者じゃなかったの?」
「そういうことです」
「異世界から来たのに?」
「そういうことです」
「だいぶ前に教えてくれた、サトシって本名?」
「そういうことです」
「‥‥‥私はてっきり冗談だと。ごめんね、変な名前って言って」
「異世界のサトシさん全員に謝って下さい」
「ごめんなさい」
世界中のサトシさんに届け!
「で、何であんたが勇者を探すの?」
「‥‥‥ね、理由がないんです」
「城の人に任せておけばいいじゃない」
「だから魔王が嫌いか聞いてるんです」
沈黙。
「‥‥‥私が嫌いって言ったら行くの?」
「うん。勇者探しながら、魔王もいけそうなら、ついでに倒しちゃおうかなとか」
「‥‥‥好き」
「急に告白ですか?!」
「違う! 魔王が」
衝撃の事実!
「じゃあ、魔王ってそんなに悪い人じゃないんですね」
「この流れで、普通信じる?!」
「‥‥‥どっちなんですか?!」
「あんたに行って欲しくないから言ってんでしょうが! 魔王は皆んな怖いに決まってるでしょ、いつ殺されるかわかんないし。乙女心がわかんない男はモテないよ!」
「なるほど、理解しました」
沈黙。
「‥‥‥危ないよ。あんたが行かなくてもいいじゃない」
悲しそうなアリスさん。
「アリスさんが怖がってる。魔王は放っておけない。理由が出来た」
「それ、私は喜んでいいの? 複雑なんだけど」
変わらず悲しそうな顔。
「パッと行って、サッと見つけて、チャチャっと倒してきます」
「‥‥‥相手魔王だよ」
「俺こう見えて結構強いんです」
レベルは125になってます。
「もし私が、行かないでって‥‥‥ううん、なんでもない! いつ出かけるの?」
「明日は用意して明後日かな」
「わかった。今日はもう寝なさい!」
「うん。さっきから眠たくて話が頭に入ってこない‥‥‥」
「あんたね!」
頭をこつかれた。
だって、今日は疲れた。
「もう転がっていいよ」
「はい、おやすみなさい」
ベッドに大の字です。
凄く心地よい。
明日は旅の準備をして、買い物して用意して勇者を探して魔王を倒して‥‥‥‥とりあえず寝よう。
明日また頑張る。
ドサッ!
重い。
何かが身体に乗ってる。
死んだおばあちゃんか?!
「‥‥‥アリスさん、何やってんの?」
「スーッ、スーッ」
嘘っぽい寝息。
「寝たふりとはずるいぞ!」
「スーッ、スーッ」
‥‥‥もういいや、寝よう。
「アリスさん、明日買い物行きたい。一緒に行かない?」
「‥‥‥行く」
おやすみなさい。
長い一日が終わりました。
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