【完結】投げる男〜異世界転移して石を投げ続けたら最強になってた話〜

心太

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33、たくさんあるから

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「さあ、覚悟は良いかな? 勇者でもない人間がどれくらい強いか見せてみなよ」

 そう言うと大きな鎌を構えるボルディア。
 余裕の表情。
 馬鹿にしてやがる。

「俺からいくぞ」

「どうぞ、君の攻撃が僕に効くかな?」

 レイラを少し下がらせた。
 おもいっきり投げてやる。
 こいつには手加減なんてしない。
 
「変な戦い方をするって聞いてたけど、まさかその小石で僕と戦う気かい?」
 
 ニヤニヤと俺を見る魔族ボルディア。
 また馬鹿にしてやがる。
 俺は小石を持って大きく振りかぶる。
 ワインドアップモーション。
 野球のピッチャーのあれ。

「まさか投げるの?! そんなアホみたいな攻撃効くわけないじゃん」

 大笑いするボルディアは無視。
 渾身の力で投げ込む。
 
「お前も、俺を舐め過ぎだ!」

 ズバァーーンッ!

「ブギャ!」
 
 顔面にストライク。
 名前の覚えにくい魔族ボルディアは、吹き飛んで民家に激突しその場で倒れた。
 こいつは多分ヴィラルより弱い。
 最初の火の魔法もそんなに痛くなかった。

「死んだか?」

 動かない。
 確認しようと近づいた時に違和感。
 
 ──違う!

「かかったね!」

 起きざまに俺に向けて大鎌を薙ぎ払う魔族ボルディア。
 やっぱりな。
 薙ぎ払われた大鎌をギリギリでかわし、もう一回顔に石を投げてやった。

「ぐぎゃ!」
 
「甘い!」

「なんでわかったんだ!」

 大鎌をしっかり握ってたから。
 死んでたら普通手から離れるでしょ。
 言うのも恥ずかしい、しょうもない理由。

「内緒だ」

「くっ、僕の高貴な顔を石なんかで! 許さない!」

 立ち上がった魔族ボルディアの顔は腫れ、鼻血も凄く出ている。
 効いてるな。
 こいつには勝てそう。

「まだまだたくさんあるから」

 大量の石を取り出しながら俺。

「くっ!」

 くっ! じゃねえよ。
 
「いくぞ、歯食いしばれ!」

「ひぃ!」

 俺は石を投げる。






「‥‥‥わかった、僕が悪かった」

 顔をぱんぱんに腫らした魔族ボルディア。
 身体は割と綺麗。
 顔しか狙ってませんから。

 俺の方は反撃されて魔法を何発か喰らったが、大鎌の攻撃はかわしている。

「許すわけないだろ」

 村人を殺しといて、今更何言ってんだ。
 
「頼むよ。良い事を教えてあげるから」

 こういう展開はだいたい嘘。
 聞く耳は持ちません。

「ぐびゃ!」

 もう一発投げといた。

「本当に良い情報だよ! 実は村人は生きている!」

「‥‥‥本当か?」

「ああ、本当だよ。今から呼んであげるから、ちょっと待ってね」

 そう言うと魔族ボルディアは、ブツブツと何か唱えだした。

「ニア様、凄く怪しいです!」

 後ろにいるレイラの声。
 だよね。
 すでに石を投げるモーションに入っています。

「お待たせ。村人とご対面だよ」

 ニヤリと笑う魔族ボルディア。顔が腫れてるのでわかんないけど、なんとなくそんな表情。
 同時に俺たちの足元の地面がボコボコと動き出した。
 
「きゃ!」

 レイラの悲鳴。
 地面から数十体の人影が土をかき分け出てくる。

「ほらほら村人だよ、動いてるから生きてるよ」

「ゾンビ!」

 レイラの声が震えてる。

「君たち人間は情に厚いからね。攻撃出来るかな?」

 こいつ!

「ひぎゃあ!」

 とりあえずもう一発喰らっとけ!

「レイラこっちへ」

「は、はい!」

 俺たちは囲まれていた。
 ゾンビは本当に村人だったんだろうな。
 よく見ると子供の姿もある。
 
 ──やりきれない。
 
「‥‥‥ニア様、どうしますか?」

 震えるレイラの声。
 

 決まっている、魔族ボルディアは絶対に許さない。

 
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