70 / 103
70、天使VS悪魔
しおりを挟む頭が痛い。
目も霞む。
うん、かなりやばい。
目の前で大剣を担ぐ、ゴスロリ少女の強さに引いてます。
──もう一度逃げるか?
まあ、無理だろうな。
あれ以上の速さで逃げる方法なんて、考えつきません。
「あの、見逃してくれたりとか‥‥‥しませんよね?」
「‥‥‥」
話し合いも無理ときました。
‥‥‥詰んでます。
「おいおい、やばそうじゃねえか」
後ろから聞いたことがあるような、ないような偉そうな声。
──この展開は助っ人?!
『天使ちゃん一号』に匹敵する強さの持ち主が、助けに来てくれたのか!
期待を込めて振り向くと、イケメン魔族が胸を張って立っていた。
「‥‥‥いやいや、あなたじゃ無理ですって」
「‥‥‥なんだテメェ、せっかく助けに来てやったのに、なんか腹立つな」
イケメン四天王ヴィラル様。
‥‥‥なんでお前なんだよ。
「ヴィラル君、助太刀はありがいけど、気持ちだけ頂いとくよ。今すぐ逃げたまえ」
「テメェ本当に馬鹿にしてやがるな。魔王様に言われて俺だって嫌々来てんだよ!」
馬鹿にはしてない。
ヴィラルは強かった。
でもそれは、俺のレベルがまだ100前後の時の話。
『天使ちゃん一号』は、レベル900を超えた俺でも苦戦してるんだぞ?
「‥‥‥ヴィラル、こいつは本当にやばいんだぞ?」
「それくらい知ってる。絶対テメェより俺の方が『天使ちゃん』について詳しい」
‥‥‥知ってるんだ。
真面目な顔でイケメンが『天使ちゃん』って言うと、なんかツボに入りそうだ。
「‥‥‥可哀想に。ヴィラルは魔王に愛想を尽かされて、捨て駒にされたんだな」
「テメェいちいちムカつくな! んなわけねえだろ!」
「‥‥‥じゃあ何しに来たんだ?」
「だから助太刀だって言ってんだろ。テメェがもし祠に入る前に襲われることがあったら、助けに行けって言われてんだよ。まんまと見つかって襲われやがって」
‥‥‥本当に助けに来たんだ。
こいつ、役に立つのか?!
「ヴィラル、お前『天使ちゃん一号』について詳しいって言ったな? 女神様が『天使ちゃん一号』なのか?!」
せめて情報だけでも教えろ。
「お前そんなことも知らねえのか。こいつは多分『一号』だから、女神じゃねえ」
「‥‥‥なんかわかりにくい説明だな」
「女神じゃねえ事は確かだ。とにかく今はこいつをなんとかするぞ!」
こんなに同じ顔で、別人とか本当にありえるのか?
‥‥‥しかしこの状況で、流石に嘘はつかないはずだよな。
──よし、信じよう!
このゴスロリ少女は『天使ちゃん一号』で女神様じゃない。
一つ悩みが解決した。
「ヴィラル、本当に戦うのか? お前そんなに強いのか?」
「テメェと戦った時は、手加減してたのにも気付いてねえのか?! あそこで俺が本気出してたら、勇者を本当に殺しちまってただろうが!」
「何言ってるかわからん!」
「説明は後だ、とにかく戦うぞ! アイツは女神じゃねえから、安心してテメェも本気で戦えよ! 俺1人じゃまず勝てねえ」
そう言うと、ヴィラルは身体を中腰にし、歯を食いしばり力を入れだした。
背中の黒い二枚の羽根からバチバチと稲妻が走る。
稲妻は集まり黒い球体に形を変え、ヴィラルを包んだ。
──こいつ、何してんだ?!
暫くすると黒い球体はフッと消え、中から身体が真っ黒の悪魔のような物体が現れた。
顔は鬼のような形相で牙が凄い。
背中からは黒く立派な羽根。
身体の至る所から角みたいな突起が出てます。
「‥‥‥なに、怖い! 絶対、悪者だ!」
「‥‥‥テメェいい加減、真面目にしろよ」
話せるんだ。
「変身したの?」
「どう見てもそうだろうが!」
ゴスロリ少女『天使ちゃん一号』の仲間になりたいくらい、ヴィラルは悪魔的な変身を遂げていた。
「‥‥‥仕方ない。お前のせいでどう見てもこっちが悪者みたいになってしまうが、一緒に戦ってやる!」
「テメェそれが助太刀に来た奴に言うセリフか? 後で覚えとけよ!」
なんとなく分かる。
今のヴィラルは強い。
完全に見た目の影響かもしれないが‥‥‥。
見掛け倒しでない事を願います。
「さあ、こっちのターンからだ!」
俺は石を構えた。
0
あなたにおすすめの小説
チート魔力はお金のために使うもの~守銭奴転移を果たした俺にはチートな仲間が集まるらしい~
桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。
交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。
そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。
その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。
だが、それが不幸の始まりだった。
世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。
彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。
さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。
金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。
面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。
本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。
※小説家になろう・カクヨムでも更新中
※表紙:あニキさん
※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ
※月、水、金、更新予定!
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~
深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公
じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい
…この世界でも生きていける術は用意している
責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう
という訳で異世界暮らし始めちゃいます?
※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです
※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています
異世界で家をつくります~異世界転移したサラリーマン、念動力で街をつくってスローライフ~
ヘッドホン侍
ファンタジー
◆異世界転移したサラリーマンがサンドボックスゲームのような魔法を使って、家をつくったり街をつくったりしながら、マイペースなスローライフを送っていたらいつの間にか世界を救います◆
ーーブラック企業戦士のマコトは気が付くと異世界の森にいた。しかし、使える魔法といえば念動力のような魔法だけ。戦うことにはめっぽう向いてない。なんとか森でサバイバルしているうちに第一異世界人と出会う。それもちょうどモンスターに襲われているときに、女の子に助けられて。普通逆じゃないのー!と凹むマコトであったが、彼は知らない。守るにはめっぽう強い能力であったことを。
※「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。
異世界で穴掘ってます!
KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語
異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~
松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。
異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。
「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。
だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。
牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。
やがて彼は知らされる。
その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。
金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、
戦闘より掃除が多い異世界ライフ。
──これは、汚れと戦いながら世界を救う、
笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる