【完結】投げる男〜異世界転移して石を投げ続けたら最強になってた話〜

心太

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84、まだ床で寝てるの?

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『──サトシ聞こえる?』

 女神様、随分連絡遅かったですね。

『ごめんなさい、本当は隙を見つけてすぐ連絡するつもりだったんだけど‥‥‥ちょっと大変な事になってて‥‥‥』

 ほう。

『こんな事は初めてだから、どう対応したら良いのか悩んでるのよ。この啓示もかなり危険だから、手短にお願いね』

 なんか大変そうですね。

『‥‥‥私も遂に疑われ出したかもしれない。サトシと連絡を取るのを待って、場所を突き止める罠の可能性も‥‥‥』

 で、何があったんですか?

『‥‥‥居なくなったのよ』

 誰が?

『あいつよ』

 創造主の失踪ですか。

『そうなの。ほとんど部屋から出ることなんてなかったのに‥‥‥こんなに長い期間部屋にいないなんて、初めてなのよ』

 へえー。

『‥‥‥へえーって‥‥‥もう少し真剣に考えなさい! これから何が起こるか、全く想像出来ないわ。この啓示もかなり危険なのよ!』

 質問いいです?

『なに?』

 創造主の特徴を教えてもらえないですか?

『デブで気持ち悪いわ。‥‥‥それがどうしたの?』

 ‥‥‥デブでござるか?

『‥‥‥え?』

 あと、ご飯の食べ方が汚くて、ちょっと目を離すとどこでも勝手に寝て、変な青いパジャマを着てるイビキのうるさいござるですか?

『‥‥‥なんで?! どういうこと?!』

 魔法陣で召喚したら出てきちゃいました。

『‥‥‥‥‥‥嘘でしょ?』

 ここで俺が嘘を吐いても仕方ないでしょ。

『‥‥‥どうやって召喚したの? あなたあいつを知らないでしょ‥‥‥』

 経験値の一番多いモンスターを召喚しようとした結果です。

『そんなバカみたいな召喚方法ある?!』

 反省してます。

『‥‥‥ねえ、まさかと思うけど、あいつも祠に居るの?』

 居ますよ。

『サトシ危険だわ、すぐに逃げなさい! あなたが死んじゃうと、もう誰もあいつを倒せなくなる!』

 そんな急に言われても‥‥‥。
 それにトシゾウって物凄く弱いですよ?

『確かにあいつ単体はヘドが出るくらい弱いわ。でもこの世界で生まれた生物や、あいつに召喚されたウメやユウカはあいつを攻撃することさえ出来ないのよ』

 イレイザの魔法が発動しなかったのには、やっぱり理由があったんですね。
 
『あいつの命令で、何体もの天使ちゃんがあなたを抹殺しにここから向かうはずよ! 到着まで少し時間がかかるから、今すぐ急いで逃げなさい!』
 
 女神様、たぶん大丈夫です。
 今すぐ天使ちゃんを呼んだりしないと思いますよ。
 今思えば初めは祠から出て、すぐに呼ぶつもりだったんでしょうけど‥‥‥。

『‥‥‥ねえ、今あいつとどんな感じなの?』

 トシゾウが腹筋と腕立てを30回できるように、2人で絶賛特訓中です。

『‥‥‥ごめん、何言ってるか分かんない。‥‥‥あなた達何やってんの?!』

 トシゾウの嫁探しです。

『‥‥‥もういいわ。今はあいつもサトシに気を許してる感じなのね』

 ‥‥‥どうですかね。
 攻撃されるとは思ってないんじゃないですか?

『サトシ、あいつが油断してるならチャンスよ。隙を見つけて殺しなさい』

 ‥‥‥物騒ですね。

『今しかないわ! 天使ちゃん達に守られてない今なら、サトシなら余裕な筈よ』

 ‥‥‥。

『わかった?!』

 ‥‥‥それは命令ですか?

『サトシは、あいつの恐ろしさがまだわかってない!』

 創造主を殺したらこの世界はどうなるんですか?

『それは大丈夫、なんとでもなる。そんなことより、あいつを生かしておくと、この世界に未来はないわ』

 ‥‥‥それ俺がやらないと駄目ですか?
 
『さっき言ったでしょ! あなたしかあいつに攻撃出来ないのよ! サトシ‥‥‥あいつが側に居るなら、あまり長く啓示してると本当に危ないの。お願い、駄々をこねないで』

 たぶん寝てると思いますけど‥‥‥。
 そもそもなんで俺だけが、トシゾウを攻撃できるんですか?

『その辺も今度詳しく話すから、頼んだわよ!』

 ‥‥‥かなり自分勝手ですね。

『‥‥‥この世界を救えるのはあなただけなのよ‥‥‥お願いよサトシ───』

 そして勝手にいなくなる、本当に自分勝手ですね。
 






 外はまだ暗い。

 ──やな目覚め。

 とりあえず二度寝しようかな。

「大丈夫でござるか?」

 少し離れた床で寝ているはずのトシゾウの声。
 いつもなら起こしても起きないのだが‥‥‥。

「トシゾウさん、起きてたの?」

 トシゾウは床で胡座をかいて、こちらを見ていた。

「‥‥‥今日は寝付きが悪いでござる。ニア殿、大分うなされていたでござるぞ」

「‥‥‥悪い夢を見ました」

「‥‥‥そうでござるか」

 暫く沈黙。

「トシゾウさん、明日から外でトレーニングしましょうか」

「‥‥‥祠から出て良いのでござるか?」

 顎に手をあてて、こちらを見ているトシゾウ。

「色々あって良くなりました」

「‥‥‥そうでござるか」

「では明日のために寝ておきましょう。おやすみなさい」

「おやすみでござる」


 ベッドに転がり目を閉じた。
 いつもならすぐ聞こえるはずのトシゾウのイビキが、なかなか聞こえてこなかった。
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