豪運少女と不運少女

紫雲くろの

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第1章

私の豪運は転生者を届ける。

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俺は転生者ジン!!今は魔王を倒すため勇者をやっている。

「ジンさん、アンタは死んじまったんだよ。」

俺の冒険はその言葉からはじまった。

「は?何で?」

「溺死だな。学校のプールで溺れてた。」

「は?何だそれ!」

「ちなみにお前の好きな娘は、それを見てドン引きしてたっぽい。」

この神様、最低だった。
「ああああああああああああ」

「まぁ落ち着けって。これでも運が良いほうなんだぜ?」

「は?何で?」

「だって、こうやって転生のチャンスを得ているだろ?」

「まぁそうだが・・・。お前なら好きな娘にドン引きされたらどう思う?」

「死にたくなるな。」

「だろ。正直転生うんぬんよりもそっちのほうが重要だろ・・・死にたい。」

「まぁ実際死んでるわけだしな。」

「はぁ・・・」

「ちなみに次の世界には前世よりもかわいい娘多いぞ。」

「まじ!?転生するわ。」

「決断がはええよ。」

「性格は良くなかったし、まぁ良いかなって。」

「最低だな。」

「好きな娘がドン引きしてた事実を、暴露するお前に言われたくねえよ。」

その最低な神様は俺をからかうように嘲笑う。
「はははっ!」

俺は拗ねたように呟く。
「さっさとやれよ。」

「まぁそう言うなって。転生特典やるからさ、何がいい?」

俺は日頃やっていたゲームを思い出す。
「最強の二刀流武器くれ。」

「ちょっと待ってろ。」

その神様はタブレット端末を取り出し操作しだした。
「おいおい、デジタルかよ・・・。」

「まぁな。」

どうやら神様の世界でもデジタル化の流れが来ているらしい。
神様が手をかざしたらポンと出てくるような時代は過ぎ去ったようだ、大変だよなぁ・・・。

こうして俺は神様から最強の二刀流武器を与えられた。

「んじゃ、魔王討伐よろしく!!」


ということで俺は魔王を倒すため、最強のパーティーメンバーを探しつつ修行のため各地を巡っている。
3日前、俺はたまたま寄った街でとある噂を耳にした。
なんでも、100年に1度に現れる最強の伝説級モンスターを辺境の街で人類史上初撃退したというのだ。

俺は撃退した人物の情報を得るためその街のギルドに居た・・・勿論最強のパーティーを作るためだ。

チョー運が良いやつだの、最強の魔力を持つ魔王だの様々な噂が蔓延っていたが、
俺達は最強の魔法使いがこの街のどこかに居るらしいという最有力な情報を手に入れた。

現状、戦士二人なので遠距離メンバーが増えれば更に最強パーティーへと近づく、これはチャンスだ。

「ジン、そろそろお金が無くなりそうだからこの街でクエストやろうぜ」

「あぁ、そうだな。依頼掲示板見てくるよ。」

俺は依頼掲示板の前に居た。

コボルト・・・群れを成すので若干厄介だが今の俺達の実力で行けば余裕だろう・・・・これだ!

俺が手をかける前にどうやら小学生ぐらいの少女が先に取っていたようだ。

「あっ・・・すいません。」

「ふん!」

よく見ると小学生ぐらいの魔女帽子をかぶった少女がクエスト依頼書をまじまじと見ていた。

コボルトの群れを少女一人で討伐!?

どことなく俺は負けたような気がした。
丁度いい。できればパーティーを組んで楽に達成したいところだ・・・。
ちなみに俺は、決してロリコンではない事を断言していおく。

「あ、あの!よかったら俺とぱー・・・」

「は?次、喋りかけたら魔法ぶち込むから!」

「うぅ・・・。」

小学生ほどの少女の勢いに負けてしまった元高校生の俺は黙り込んだ。

最近の子供・・・怖すぎる・・・。

少女はイライラしながら2階のエリアに上がっていった。


俺は気を取り直して改めて依頼掲示板を見る。
無論生活費を稼ぐためだ。

ワイバーン・・・空を舞うモンスターだが俺の二刀流武器の機動力なら余裕だろう・・・・これだ!
俺が手をかける前にどうやら龍族の少女が先に取っていたようだ。

「あっ・・・すいません。」

「・・・。」

かなりかわいい、正直言って俺のタイプだった。

「あ、あの!よかったら俺と・・・」

「・・・。」

少女はこちらをゴミを見るような目で見つめてきた。

これはこれで・・・良いかもしれない・・・。

その後少女は依頼書を掲示板から剥がしてそそくさと、2階のエリアに上がっていった。

「なんだよ・・・・」


俺は気を取り直して改めて依頼掲示板を見る。


魔物の群れが住む屋敷・・・大量のモンスターが屋敷に居るようだが俺達のパーティーの連携なら余裕だろう・・・・これだ!
俺が手をかけた後、俺と同じ年齢ぐらいの少年がクエストを取ろうとしていた。
「あっ・・・すいません。」

「じゃま・・・。」

少年は俺の手をはねのけ、その依頼書を掲示板から剥がす。
ひどくないか!?

「ちょっと!それ俺の・・・」

俺は少年に立ち塞がる。

「どけ!」

「なんだあいつ・・・・」

少年はゆっくりと2階のエリアに上がっていった。

「くそっ!!さっきからなんだよ!!」


「ジン、このクエストなんかどうだ?」

「国からの依頼・・・・しかも報酬が金貨1000枚!?良いなこれ。」

俺達はそのクエストを受け早速現地へと向かった。

・・・

テウリア領-ギルド

レアちゃんがクエストの依頼書を見ながら悩んでいた。
「うーん。」

「レアちゃんどうしたの??」

「このクエストを受けた人の全員が行方不明者になってるんですよ・・・」

「どんな内容なの?」

「国からの依頼なんですけど・・・。」
「私にも見せて!」

レアちゃんから渡されたクエスト依頼書を当ギルド最高魔法責任者殿と一緒に見つめる。
「なになに?・・・世界の水源の調査なんだこれ??」

「おねーちゃん、そんな事も知らないの??」

「はい・・・すいません。」

「ふっ。良いわ。解説してあげる!」

水が生まれる場所マルクル・・・そこにはこの世界の水源と呼ばれる水の聖地があるらしい。
クエスト内容は近年そこからの水の供給が減ってきており、調査をお願いしているそうだ。

無論世界中の国々が調査を行っているようだが、結果はクエストとして出回る事態までに発展している。

「ご主人様どうします?」

「うーん・・・嫌な予感しかしないしなー」

当ギルドの最高魔法責任者・・・殿は、やる気のようで・・・・仁王立ちをしながらドヤ顔をする。
「無論ギルドとして調査するに決まってるでしょ!!」

「はぁ・・・」

頭を載せてあるクッションから声がする。
「私からも頼むにゃ。って・・・何でこんな状況になってるにゃ!!」

私は頭をこすりつける。
「いいじゃん。」

「や、やめるにゃ!お前・・・ムニムニを触ろうとするんじゃにゃい!!」

足元にあった金属製の箱を触りながら当ギルド最高魔法責任者(Chief Magic Officer)殿はウキウキしていた。
以下・・・CMOと略する事にする。

「とうとう、私のマジカル☆シャイニーライフルの出番が来たようね!」

「うーん、確実に戦闘になるだろうし・・・。」

「うぅ・・・多分私ですね・・・。」

「レアちゃんも一緒に頑張ろ!」

少女はお姉ちゃんのお尻を叩く。
パンッ!

「ウジウジしないの!私が付いてるから大丈夫よ!」

「うっ・・・。あ、ありがとうございます・・・」

「どっちが姉にゃんだか・・・・・。」

「ということでクッション準備よろしくね。」

「分かったにゃ。」

その後私達はテウリアからほど近い港町に居た。

「此処がテウリア領の海の玄関口にゃ。」

「ほー。久々の潮風・・・。」

「気持ちいいですね。ご主人様」

「うえー。やっぱり変な匂い・・・。」

「ここで船に乗るにゃよ!」

ドヤ顔で領主様が港町を紹介するので、どうせショボいだろうと思っていた私だが、
どうもこれは中世の港町といった様子ではなく・・・そう港湾だった。

前世で見覚えのある、大量の積み木のおもちゃを連想させるようなコンテナ。
それを船に積み込む巨大なガントリークレーンが海と陸の間に整列して並んでいた。

「な!なんじゃこれー!!」

「ふっふっふー。お前でもひれ伏したかにゃ!」

私は泣きながら呟いていた。
「な・・・懐かしい・・・・。」

「な・・・なにも泣く事ないにゃよ!」

「大丈夫ですか!?ご主人様。」

心配してロリがハンカチを渡してくる。
「ほらこれで涙拭きなさい!」

「あ、ありがとう・・・。前世の事思い出しちゃって・・・。」

「驚いたんじゃ無いにゃね・・・。それは転生者あるあるにゃ。」

「アンタ達そうだったの?」

「言ってなかったっけ?」

「早く言いなさいよ!」

「ごめんって・・・。興味あるの?」

「べ、別に・・・・向こうの知識を知りたいだけだから!」

「勉強熱心で、偉い偉い。」

ロリの頭を撫でる。
「ふんっ!はやく教えなさいよ!」

「しょーがないなぁ・・・・」
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