豪運少女と不運少女

紫雲くろの

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第1章

私の豪運は怒りを届ける。

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数日後、私達は王都に居た。
これぞ異世界と言った洋風の家が立ち並び、遠くには王城らしき建造物が見える。

私はレアちゃんと手を繋ぎ、歩きながら王都を散策していた。
「これだけでも不幸がほとんど発生しないね。」

「はい。それとご主人様と繋げて幸せです!」

「ほんとに仲が良いにゃね。」

そしてテウリアとは比べ物にならないほどの人が行き交っている。
獣人が珍しいのか人々の視線が時折向けられてくる。
「な、なんだか恥ずかしいですね・・・・。」

「まぁこんなもんにゃ。」


その後、私達は王国の王城にいた。

そこには玉座に座りふんぞり返っている国王と呼ばれる男が、髭をいじりながらこちらを見ていた。

此度こたびの活躍、ご苦労であった。」

「はい、ありがとう御座いますにゃ。」

「史上初の功績と聞いておる。こちらも最大限の褒美を与えたいところだが・・・・」

ところだが・・・???
私はその言葉に不快感を覚えた。

国王の顔が芳しくない。周りの将軍や兵士達も少しざわついている。
「ところで、その娘は?」

「はい、ハーフドラゴンですにゃ。」

国王は諦めた様子のようだった、兵士たちは顔をそむけだす。
「ふむ。であれば・・・。」

国王は隣りにいた補佐らしき人物に目配せをした。
「テウリア領主並びにその従者よ、褒美を与える。」

王国から提示されたのはテウリア領の関税優遇措置と、ギルドに対しての依頼優先の2つである。

史上初の撃退という功績に対して、私でも少なすぎるとわかるほどの報酬だった。
何かがおかしい・・・。

「ちょっと待って!」

「お前!?座ってろにゃ・・・。」

「なんじゃ、小娘?」

「この報酬は些か少ないと思います。」

「ふむ。原因は、その娘にある。」

国王はレアちゃんを指さしていた。

「は?」

私の嫌な予感が見事的中した。

「ハーフドラゴンと言ったか?龍族は古来より災いを司るという言い伝えがあってだな・・。」

補佐らしき人物は話す。
「魔王軍と結託し戦争まで起こしよって!此度こたびの襲撃もその娘の仕業であると考えるのが妥当じゃ。」

「お待ちくださいにゃ。」

それは当たっていた・・・私は、それ以上聞きたくなかった。

その言葉を聞いてレアちゃんが呟く。
「わ、私は!!」

「黙るのじゃ!いままわしき龍族の血を持つ娘よ!」

その言葉を聞き、レアちゃんが泣き出した。
「う、うぅ・・・。わ、私だってこんな・・・」

生まれ持った境遇によってこんなに扱いが変わるなんて、今まで思っても見なかった。
豪運によっていかに自分が楽してきたかを同時に思い知り、やるせない気持ちで溢れかえった。

そしてレアちゃんを冷遇されて黙っているわけにもいかなかった。
「おい!」

私が前に詰め寄ろうとするとクッションに手で遮られた。
「レノ、待つにゃ。」

見渡すと、周りの兵士たちも構えていた。

「なんじゃ小娘。貴様も龍族の味方をするのかのう?」

人を本当に殴りたいと思ったのは、生まれて初めてだった。
私は拳に力を込める。

クッションが私の手を掴んで、すごい力で握ってきた。
どうやら、私と同じ気持ちのようだった。

「失礼致しました陛下。我々は退出いたしますにゃ。」

「うむ。」

「こうやって、見逃しているだけでもありがたいと思うのじゃ。」

私は小言を呟いた。
「くそが・・・・。」

その後王城を後にした私達は馬倉に向かっていた。

「何だよあの国王!私達の苦労も知らないで!!」

「ご、ごめんなさい。ご主人様・・・私のせいで・・。」

その言葉を聞き、レアちゃんを抱きしめていた。
「そんなこと無いよ。私こそ言い返せなくて・・・ごめん、レアちゃん・・・。」

「昔はあんなんじゃなかったんだけどにゃあ・・・。」

いっそのこと、こんな国滅んでしまえばいいと思った。

これも不幸ということで、どこかにぶつけたかった。


馬の旗を掲げた門を私は指差す。
「ちょっと・・・よってこっか♪」

「あっ・・・。」
「しょうがないにゃぁ・・・。でも余裕は金貨3枚ぐらいにゃよ。」

「十分っ!!!」
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