性の奴隷

腐ってもバナナ

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「なあ、天音あまねさんの話聞いたか?」

工事現場で働く作業員、保科ほしなが休憩中に煙草を吸っていると同僚のふじが声を掛けてきました。

「天音さんって?」
「ほら人手が足りないからって日雇いで来てもらっている人だよ。」
「あー、あれか。」
保科は少し離れたところで一人座っている男を顎で指しました。
「そうそう、あの人!」
天音さんは数日間同じ現場で働くことになった日雇いの作業員です。この現場限りの付き合いなので保科は仕事以外で関わろうとしませんでした。なので天音さんがどういう人なのか全く知りませんが、いつも一人でいるので内気で物静かな人なのだろうと思っていました。

「あの人が何?」
「俺の知り合いが別の現場で一緒になったことあるらしいんだけど…」
藤は周りを見渡し誰も近くにいないことを確認すると少し小さな声で話し始めました。

「あの人、頼めば誰にでも股開くらしいぜ。」
「はあ?誰にでもって、男じゃねえか。」
「そうなんだけど何でもヤらせてくれるんだって。」
保科は深いため息をつきます。男に興味のない保科にとってその話は至極どうでもいいものでした。
「男相手に何考えてんだよ。」
「いや俺はヤったことないよ?でもさ、ほら天音さん男にしては綺麗な顔してるっていうか、どこか影があってそそられるものがあるよな。」
「ねえよ。いくら男しかいない職場とはいえ男相手にそれはないわ。」
「そう?俺はちょっと興味あるかも。女不足で欲求不満だし。」
藤のニヤケ顔を見て保科は呆れ返ります。

確かに天音さんは端正な顔立ちをしています。それは工事現場で働いているのが意外に思えるくらいでした。とても女性には見えませんが、男しかいない現場にいると少し浮いて見えるのです。
それでも保科はありえないと首を横に振りました。

「前の現場でも先輩たちにえらい可愛がられていたんだと。毎晩、相手させられていたらしいぜ。」
「へえ、ご苦労なこった。」
「俺にもヤらせてくれねえかな~。もうさ、こういう話聞いちまうとヤラシイ目でしか見れなくてさ。」
「頼めばいいじゃん。誰にでもヤらせてくれるんだろ?」
「話したこともないのにいきなり?」
「今話してくれば?一人でいるし。」
保科がそう言うと藤は「とりあえず世間話でもしてくるわ!」と天音さんの元へと駆け寄って行きました。
二人が何やら話しているのを保科は遠目に眺め、二本目の煙草に火を付けました。
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