異世界転生した元社畜は精霊や王子や勇者に囲まれる羽目になりました

無条件の愛情

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魔性の再来

7※

「わーーーーっ!?!?」
俺は両手両足を必死にばたつかせた。
内臓が浮くような、ジェットコースターみたいな感覚。真下には広がる街並み──自然、大通り、遠くの城や山岳地帯まで一望できる。

いやいや!呑気に観光してる場合じゃない!!
俺、今、死ぬかもしれないんだぞ!?

「精霊さん!絶対手を離さないでください!
そして今すぐ元の場所に戻してください!危なすぎる!死ぬ!いやーーっ!」

風が強すぎて、落ちる気しかしない。
叫びながら、俺は必死に精霊さんの顔を見上げた。……返事はない。ただ抱え込む腕が揺るぎなくて、逆に怖い。

⎯⎯⎯あ、そうだった。俺、高所恐怖症だったわ

***

風の精霊は気絶した蓮を見て首を傾げた。
ぐったりしてる蓮をジッと見て、精霊は蓮を抱えたまま野原に転移をする。

精霊は蓮を岩に優しく凭れかけさせた。
そして起きる様子のない蓮に精霊はそっと口付けをした。

「っん」

精霊が蓮と口付けをしている間、2人を中心にそよ風が踊るように吹いていた。

***

結局、気絶したらしい。
目を覚ました時、俺は野原の岩に凭れさせられていた。風の精霊さんが目の前にいて──

「……んっ」

頬に温かい感触。
気づいた時には、俺は精霊さんと口付けを交わしていた。

「ちょ、ちゅーするなよ!何してんの!?」
慌てて顔を背けようとするけど、すぐに塞がれる。
浅く触れては離れる唇に、心臓が壊れるほど鳴って、頭の中が真っ白になっていく。

「……ん、んっ……」
息がうまくできない。
けれど、それなのに、不思議と苦しくなくて──
むしろふわふわとした心地よさが、全身を包み込んで腰が揺れてしまう。

気づけば俺は、精霊さんの首に両手を伸ばしていた。
「……もっと……」

風が舞う。
ただ唇を重ねているだけなのに、どこか世界そのものに触れているような感覚に、体の奥がじんじんと熱くなっていった。
精霊さんからキスされる度に体の中に力が渦巻いていく感じがして、気分が良い。
前世ではなかなか得られなかった癒しと快感を求める欲望が俺を縛り抵抗をできなくしていた。
ふわふわとする頭で精霊さんを抱きしめると、
卑猥な音がしてひくつく後孔に熱いものを当てられる。

期待するように、腰を揺らすとそれは服を通りぬけて直接、俺の中に入ってきた。

「えっ?んんうっ、ああっ!」

俺が混乱する間もなく奥まで突かれた。
奥の気持ち良い場所を力強くそれで押され、
ゆさゆさと抱かれながら目がチカチカと焦点が合わなかった。
俺のお尻と精霊さんの腰がぶつかる度にぷるぷると俺のものが揺れてお腹に当たる。
こんなに簡単に許したら俺がビッチみたいで不本意だと、外で何しているんだと、まだ少し残る理性で思考するが、精霊さんに口を塞がれてその考えも吹き飛んだ。
考えられる事は快感のみである。

「なんっ、でっ、精霊さんっあっ!ふぁ、ああっ」

自分ではまだ絶頂できないかと諦めていたのに身体はすぐに適応し、精霊さんのもので既に何回も俺は快感に身を震わせていた。
がくがくと震える腰と足を視界に俺の瞼は落ちていく。

もうどうでもいいかも...。
中が何か熱いので満たされた後、俺は精霊さんに軽いキスをして睡魔の中、眠りについた。

***

風の精霊が蓮を宝物のように抱き上げて立ち上がったその時、
蓮の影がぐにゃりと揺れ、空間にひび割れが走った。そこから、もう一柱の精霊が姿を現す。

『公平に人を守り、慈しみ、人間から信仰を集める君が……こうして一人に執着するなんてね。気になって覗いてみたけれど──まさか、こんなに愛らしい子だとは』

軽やかに言葉を紡ぐその存在は、闇の精霊である。
自然体であるはずの精霊には似つかわしくない、漆黒のタキシードに身を包み、背で結んだ長髪は夜の帳のように揺れる。前髪の隙間から覗く藤紫の瞳は、誘うように妖しく光っていた。

本来、人間と精霊は会話を交わせない。
正確には、精霊の言葉も行動も、人間の耳には“意味を成さない音”としてしか届かない。
彼らは神の一部であり、信仰の対象であり、畏怖の象徴。精霊の逆鱗に触れれば最後、誰も命を保証できない。

『……魔力過多、かな? 珍しいね。このままじゃ、空気に漂う些細なエネルギーにすら蝕まれて死ぬ……そうか。だから君は、この子に少しずつ魔力を分け与えているんだね』

闇の精霊はふわりと漂い、風の精霊の周囲を円を描くように回る。
一瞬、微笑んで目を閉じ、すぐに楽しげに口角を吊り上げた。

『なら、私からも与えよう。愛しいこの子に、闇の祝福を』

闇の精霊は蓮の額へと唇を寄せた。
触れた瞬間、紫紺の光が優しく弾けて広がり、夜の花が咲くように辺りを染め上げる。

風の精霊はその行為をじっと見て、わずかに髪を揺らした。表情には変化がない。ただその瞳の奥で、冷ややかな光が一瞬きらめいた。

***


「....ん!......れ.....ん!」

誰かが俺を呼ぶ声がして目を覚ました。

「蓮!」
「...カイさん?」

俺は野原に倒れていたみたいだった。
カイさんは部屋から居なくなった俺を探しに部下や騎士を派遣していたらしい。
そんな申し訳ないですと言うと、精霊の行動なのだから誰も君を咎めないから安心しろと言われた。
辺りを見渡すが、風の精霊さんは消えている。
あんだけ盛って放置するなよと内心文句を言っていると、カイさんが前髪を避けて俺の額をそっと撫でた。
そして複雑な表情を見せる。

自分の額に何かあるのかと考えて、俺も触れてみるが特に何もない。俺が困惑しているのに気づいたカイさんが俺に伝えた。

「...闇の精霊からの刻印がある」

えぇっ?俺だって風の精霊さんとしか出会ってないし接点ないし。そもそも刻印って何だ?ちょっと怖いんだけど。

「ついさっきテリーから連絡があって蓮を呼びに来たんだ。帰るぞ」

カイさんが俺をお姫様抱っこして立ち上がった。
そして片手で何やら小さなコンパクトミラーのようなものを開いて、小さく呪文を唱えると目の前の空間が歪んでグネグネと動き出した。
俺が酔いそうになっていると、だんだん景色が変わってきて気付いた時には公爵家の屋敷に俺たちは居た。
ワープしたのか?変な感覚がして少し気分が悪い。
使用人達が忙しなく歩く中、テリーさんが駆け寄って来るのが見えた。

「蓮~!やっと戻ってきたんだね。大人しいって言われてる風の精霊も、やっぱり本質は自由奔放な精霊なんだね」
「テリーさん。お、お騒がせしました...」

テリーさんもカイさんと同じように精霊がやった事だからと笑った。
怪我の具合はどうですかと聞くと、回復魔法で処置してあると教えてくれた。
テリーさんにスキルで服を創造すると言われてお願いすると、蓮は立つことすらできないの、と言われて俺は未だカイさんの腕に抱かれたままだった事に気づいた。失礼しましたと顔が火照るのを感じながらカイさんに下ろしてもらった。

「 〈ユニーク魔法 メラキ・ゲネシス〉」

テリーさんがそう囁くと俺の身体の周りに光の粒子が現れて、優しく俺を包みこんだ。
光は俺の身体に沿うように形を形成し、弾けた。

ふわりとフリルが舞って白いエプロンに、ピッタリとしたズボンの黒い衣装を着せられていた。
さすがテリーさんと言ったところだろうか、とても着心地が良く、デザインも先程まで着ていたワンピースと、違いスタイリッシュである。
胸の辺りに紐リボンが付いていて可愛らしい。

「蓮、君の仕事服だよ」
「テリーさんありがとう!とても素敵だよ!」

俺が一回転してみせると、テリーさんは、別に...と言いながら赤くなってそっぽを向いてしまった。
俺はさっきテリーさんに恥をかかされたので、赤くなるテリーさんを見て、ほくそ笑んだ。
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