伯爵令嬢は婚約者として認められたい

Hkei

文字の大きさ
4 / 14

3

しおりを挟む

普段ならもう寝てる時間なのに全く寝付けない。
ソフィア様が寝るまで側にいますと言ったマギーを
大丈夫だからあなたも休んで、と下がらせてからもそのままベッドの端に座ったままである。

サイドテーブルにはエドワードから贈られた箱が置いてある。
そっと手を伸ばし中からネックレスを取り出す。


──昔のように微笑んでくださったのに…


大好きなエドワードの笑顔を思い出し胸が熱くなるのを感じるもすぐにその笑顔が霞んでいく。

「…っ!!」

溢れる涙を止めることもできず、ネックレスを握りしめる。




──私は殿下のお傍にはふさわしくない…









『 はじめまして僕はエドワード。君はソフィア嬢かな』

花が咲き誇る園の奥、ひっそりと置かれたベンチに1人座っていたソフィアに、驚かさないようにっこり微笑んでエドワードは声をかける。

『 こんなところで何してるの?僕も一緒に座ってもいい?』

はじめて見る少し歳上の男の子にびっくりしながらも小さく頷く。

『 みんな探してたよ。スタンリー伯爵なんて本当に笑えるくらいオロオロしてたよ。ふふっ。あっ、これは言わないでね僕怒られそうだから』

人差し指を口元にあてながら屈託のない笑顔でエドワードが笑う。

緊張して喋らずただ聞くだけのソフィアに、とぼけたり、身振りをつけたり…和ませるよう話を続ける。
ソフィアの表情が少し緩んだのを確認して


『 僕と一緒に戻ろうか』



エドワードと手を繋いで戻ってきたソフィアをスタンリー伯爵は泣きながら抱きしめる。

『 …ごめんなさいお父様』

さらに抱きしめられて潰れそうになる。ソフィア様が苦しそうですと執事がそっと、しかし力強くスタンリー伯爵をソフィアから離す。
身体が自由になったので1歩父親から離れるとくるっと向きを替え頭をさげる。


『 …エドワード様…ありがとうございました』

そっと顔をあげると眩しい程素敵な笑顔のエドワードが目の前にいた。
一瞬でぶぁっと全身が震え、顔は真っ赤になる。
エドワードが第2王子でソフィアの婚約者になるのだと紹介され、さらに真っ赤になり倒れたのが最初の出会いでありエドワード7歳、ソフィア4歳の時である。



それから間をあけず、エドワードはソフィアに会いにきている。
はじめは恥ずかしく自分から話など出来なかったソフィアだったが
回数を重ねると会話を楽しめるようになっていた。

その日は代々伯爵や夫人の絵画が飾ってある部屋にソフィアはいた。


『 ソフィア。さっき伯爵に聞いたけど落ち込んでるの?』

『 …落ち込んでるわけでは…ないですわ』


ソフィアの横にそっと寄り、絵画を見る。


『 綺麗な人だね。ソフィアはよく似てる』

『 …みんなお母様が大好きなんです』


エドワードは俯いてしまったソフィアを見る。


『 自分が奪ってしまったと思うの?』

『 実際そうなので…でもそう思ってしまうとみんなが余計に悲しそうにします…誰も私を責めたりしませんし…私がお母様を思い出さないようにしてくれてます…』



思い出すと辛いから、ソフィアが負担に感じることがないようにとスタンリー伯爵も使用人も極力亡くなったサリー夫人の話はしないようにしていた。

『 大好きな人の話ができないのは辛いですわ。お父様がこの絵を見て1人泣いてるのも見たことあります』

泣きそうなのを必死にこらえてるソフィアを見て、ふふっとエドワードは優しく見つめる


『 それなら簡単な話だね』

『 え?』

『 みんなに大好きなお母様のこと教えて欲しいって言えばいいんだよ』

『 でもそれは私の我儘になりませんか?みんな私のために…』

『 そんなの我儘に入らないし。ソフィアはもっと我儘言ってもいいくらいだと思うよ』


『 本当ですか…?』


うんと頷きいつもの優しい笑顔でソフィアを見ると
顔を真っ赤にして泣きそうな嬉しそうな複雑な顔をしたソフィアが抱きついてきた。



その後スタンリー伯爵家ではサリー夫人を思い出し自分だけが知ってる伯爵夫人を自慢するほっこりとするイベントがあった…らしい。当然筆頭はスタンリー伯爵である。








『 エドワード様はどんな子がお好きですか? 』

大好きなエドワードに少しでも好きになって欲しくて、少しでも理想に近づきたくて
全身の力を込め勇気を出して聞いてみた。

その時の答えは想像を遥かに超えるもので、嬉しく幸せいっぱいになった。
嬉しさのあまり自分がどれだけエドワードのことを好きなのか、理想的な存在なのだとかなり興奮して話した。

はじめは笑顔で聞いていたエドワードだったが途中から少し表情がくもり

『 ソフィア…うん…そっか…大丈夫!約束するよ。あっこれは2人だけの秘密だよ!』

少し抑えた声で言ってから考え込むように沈黙した。











──約束?秘密ってなんだったかしら…



朝の日差しをうけソフィアは目を覚ます。
起きようとするも身体が怠くすぐには動かない。なんとか上半身を起こすも頭痛がして視界もはっきりとしない。

トントンっとノック音がしてマギーが声をかける。

「おはようございますソフィア様。お目覚めですか?」

「おはよう。頭が痛いから今日はこのままでもいいかしら」

「すぐにお薬お持ちします!」

空腹では飲みにくいだろうと、軽く食べる物と一緒に薬を用意してマギーが部屋に戻ってくると、スタンリー伯爵と執事のロイドも中にいた。


「可愛い私のソフィア。大丈夫かい?すぐに医者を手配して…」

「お父様大丈夫です。薬飲めば治ると思います」

「いやしかし…心配だから今日は私が側に…」

「お父様。心配かけて申し訳ございません。でも本当に大丈夫ですわ」


「…そうか?いやでも……ああロイド睨まなくてもわかっている!」

コホンとひとつ咳払いをし

「ソフィア。近々陛下にお会いしてこようと思っている。これ以上は私の我慢も限界だからね」



「…!!」

ドクンと心臓が音をたてる。




待ってください…とは言えなかった。


「とりあえず今日はゆっくりとおやすみ。また時間取って話をしよう」


スタンリー伯爵はなおも残ろうとしたがロイドが背中を押して一緒に出て行った。
ベッドに座った状態で食べれる様にマギーが用意をする。
食欲はないと呟くが1口でも食べてくださいとスプーンを渡される。

国王陛下に話がいってしまったら、今までなんとなく守られていたものが無くなってしまう。
エドワードとの繋がりも何も関係ないものになる。



──イヤ!

──イヤ!…イ…ヤ…

「エ…エドワードさ…ま…」



カタンっとスプーンが落ち、両手で顔を覆う。

「ソフィア様…」





少し落ち着いたが体調悪い中だったので、薬も飲めずそのまま倒れるように眠りにつく。







しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

元恋人が届けた、断りたい縁談

待鳥園子
恋愛
シュトルム辺境伯の末娘ソフィに隣国の帝国第二皇子から届けられた『縁談』の使者は、なんと元恋人のジョサイアだった。 手紙ひとつで別れることになったソフィは、素直になれずジョサイアから逃げ回る。 「私に届けなければ、彼は帝国に帰ることが出来ない」 そう思いようやく書状を受け取ろうと決意したソフィに、ジョサイアは何かを言い掛けて!?

令嬢失格な私なので

あんど もあ
ファンタジー
貴族の令息令嬢が学ぶ王都学園。 そこのカースト最下位と思われている寮生の中でも、最も令嬢らしからぬディアナ。 しかしその正体は……。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?

おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました! 皆様ありがとうございます。 「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」 眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。 「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」 ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。 ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視 上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

学園では婚約者に冷遇されていますが、有能なので全く気になりません。〜学園でお山の大将されてても、王宮では私の方が有能ですから〜

織り子
恋愛
王都カラディナにある国立魔術学園では、満十六歳の生徒たちの社交界デビューを兼ねた盛大なパーティーが開かれていた。 侯爵令嬢タレイア・オルトランは、婚約者である第二王子アスラン・オグセリアの迎えを待つも、結局ひとりで会場へ向かうことになる。 学園では身分の差がないとはいえ、アスランが公然とタレイアを侮辱し続けてきたことで、彼女は生徒たちから冷笑と蔑視の的となっていた。しかしタレイアは、王城で政務を担ってきた聡明さと矜持を失わず、毅然と振る舞う。

婚約を奪った義妹は王太子妃になりましたが、王子が廃嫡され“廃嫡王子の妻”になりました

鷹 綾
恋愛
「お姉様には、こちらの方がお似合いですわ」 そう言って私の婚約者を奪ったのは、可憐で愛らしい義妹でした。 王子に見初められ、王太子妃となり、誰もが彼女の勝利を疑わなかった――あの日までは。 私は“代わり”の婚約者を押し付けられ、笑いものにされ、社交界の端に追いやられました。 けれど、選ばれなかったことは、終わりではありませんでした。 華やかな王宮。 厳しい王妃許育。 揺らぐ王家の威信。 そして――王子の重大な過ち。 王太子の座は失われ、運命は静かに反転していく。 離縁を望んでも叶わない義妹。 肩書きを失ってなお歩き直す王子。 そして、奪われたはずの私が最後に選び取った人生。 ざまあは、怒鳴り声ではなく、選択の積み重ねで訪れる。 婚約を奪われた姉が、静かに価値を積み上げていく王宮逆転劇。

殿下、そんなつもりではなかったんです!

橋本彩里(Ayari)
恋愛
常に金欠である侯爵家長女のリリエンに舞い込んできた仕事は、女性に興味を示さない第五皇子であるエルドレッドに興味を持たせること。 今まで送り込まれてきた女性もことごとく追い払ってきた難攻不落を相手にしたリリエンの秘策は思わぬ方向に転び……。 その気にさせた責任? そんなものは知りません! イラストは友人絵師kouma.に描いてもらいました。 5話の短いお話です。

私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました

放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。 だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。 「彼女は可哀想なんだ」 「この子を跡取りにする」 そして人前で、平然と言い放つ。 ――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」 その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。 「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」

処理中です...