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手紙を見てすぐに家に帰ったディアンヌはその日父である侯爵には会えずにいた。用事で出かけているらしく、代わりに母が説明をしてくれると言われたのだが、そのまま今も待たされいた。
──お父様もお母様もいらっしゃらないし…学園に1度戻りましょうか…
しかし家でただ待たされているわけではなかった。今日は朝からメイドたちにお風呂に入れられ夜会に出席するレベルの支度をされている。
「どうして今この支度なの?」
「お嬢様私たちもよくわからないのですが用意だけは抜かりなくと言われております」
「そうなの…」
──なんだろ…まさかわたしも皇宮に行くとか…ないわよね。
髪型もいつもと違いまとめられ引っ張られたので少し痛かった。髪飾りをつけた頃メイドがつまめるものをと軽食を持ってきてくれた。
1人で食べてどうしようかと思っていたら母親が部屋に入ってきた。
「ディアンヌごめんなさいね。用意は出来てるわね!そのまま出るわよ」
「お母様これは一体…」
「馬車の中で説明するわ。急いで」
腕を捕まれそのまま馬車まで引っ張られた。馬車の中で向かい合わせになった母親は申し訳なさそうに話はじめる。
「今回の件で一般的にはエリック様が別の方との不貞を働いたとして我が家は被害者側になっているのだけど、内情知っている人達からすればミアが原因なのは明白でしょ」
姉が原因と言い切ってしまう母親にもびっくりしたが、ミアを悪く言う人がいることにも驚いた。今までどんな事があってもそんな人は出てこなかったから。
「エリック様も今微妙なお立場になってね…」
「噂は学園でも聞きましたが、まさか皇太子としての地位まで危ないのですか?」
「皇帝陛下の落ち込みはそれは激しくてね…アルベルト様を皇太子にと言い始めてるの」
母親が馬車の中2人しかいないのに小声で手をかざしディアンヌに話をする。それは今世間に聞かれては混乱を招く話だ。
「…それと今私の状況と何か関係あるのでしょうか…?」
恐る恐る聞くディアンヌに、母親は複雑な表情でディアンヌの頬を触る。
「ごめんなさいね。あなたにまで…最悪な事にならないように今お父様が動いているから安心してね」
「お母様?」
少し言いづらそうにディアンヌを見て頬から手を離し
「もしアルベルト様が皇太子に選ばれてしまったら、あなたを侍女として宮使いさせろと言われているの」
「え?私がですか?」
「ミアが原因だからロベール家として責任をと…」
「あなたはアルベルト様と面識あるからいいだろうとね…でもそうなると婚約してても結婚が難しくなるかも…」
──…それは困ります…
結局その後何も話さないいまま皇宮入口についてしまった。
馬車の扉を開けるとロベール侯爵が待っていた。
「お父様」
「ディアンヌすまない。呼びつけてそのままにしていたね」
「いえ大丈夫ですわ。それより…」
「手短に言うよ。今パルマ公爵とも話をしているから、最悪なことにはならない。今日はお断りできなかったがあとは私に任せてくれ」
「はい…」
──お父様大丈夫なの?何か嫌な予感がするのだけど…
ディアンヌは胸騒ぎがして落ち着かなかった。
皇宮の長い廊下を抜けホールの横にある謁見の間まで無言で歩いた。足取りは重く一歩を出す度何かまとわりつく感じがした。
──お父様もお母様もいらっしゃらないし…学園に1度戻りましょうか…
しかし家でただ待たされているわけではなかった。今日は朝からメイドたちにお風呂に入れられ夜会に出席するレベルの支度をされている。
「どうして今この支度なの?」
「お嬢様私たちもよくわからないのですが用意だけは抜かりなくと言われております」
「そうなの…」
──なんだろ…まさかわたしも皇宮に行くとか…ないわよね。
髪型もいつもと違いまとめられ引っ張られたので少し痛かった。髪飾りをつけた頃メイドがつまめるものをと軽食を持ってきてくれた。
1人で食べてどうしようかと思っていたら母親が部屋に入ってきた。
「ディアンヌごめんなさいね。用意は出来てるわね!そのまま出るわよ」
「お母様これは一体…」
「馬車の中で説明するわ。急いで」
腕を捕まれそのまま馬車まで引っ張られた。馬車の中で向かい合わせになった母親は申し訳なさそうに話はじめる。
「今回の件で一般的にはエリック様が別の方との不貞を働いたとして我が家は被害者側になっているのだけど、内情知っている人達からすればミアが原因なのは明白でしょ」
姉が原因と言い切ってしまう母親にもびっくりしたが、ミアを悪く言う人がいることにも驚いた。今までどんな事があってもそんな人は出てこなかったから。
「エリック様も今微妙なお立場になってね…」
「噂は学園でも聞きましたが、まさか皇太子としての地位まで危ないのですか?」
「皇帝陛下の落ち込みはそれは激しくてね…アルベルト様を皇太子にと言い始めてるの」
母親が馬車の中2人しかいないのに小声で手をかざしディアンヌに話をする。それは今世間に聞かれては混乱を招く話だ。
「…それと今私の状況と何か関係あるのでしょうか…?」
恐る恐る聞くディアンヌに、母親は複雑な表情でディアンヌの頬を触る。
「ごめんなさいね。あなたにまで…最悪な事にならないように今お父様が動いているから安心してね」
「お母様?」
少し言いづらそうにディアンヌを見て頬から手を離し
「もしアルベルト様が皇太子に選ばれてしまったら、あなたを侍女として宮使いさせろと言われているの」
「え?私がですか?」
「ミアが原因だからロベール家として責任をと…」
「あなたはアルベルト様と面識あるからいいだろうとね…でもそうなると婚約してても結婚が難しくなるかも…」
──…それは困ります…
結局その後何も話さないいまま皇宮入口についてしまった。
馬車の扉を開けるとロベール侯爵が待っていた。
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「ディアンヌすまない。呼びつけてそのままにしていたね」
「いえ大丈夫ですわ。それより…」
「手短に言うよ。今パルマ公爵とも話をしているから、最悪なことにはならない。今日はお断りできなかったがあとは私に任せてくれ」
「はい…」
──お父様大丈夫なの?何か嫌な予感がするのだけど…
ディアンヌは胸騒ぎがして落ち着かなかった。
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