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『嫁』と『契約』(1)
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ごく自然に手を差し出してきたギルに、触発されたといいますか。
「そう! それ!」
恋人繋ぎをしたら、朗らか笑顔をいただきました。
「それって言うからには、これもシナレフィーさんたちがしてたんですね」
「二人で歩いてる時は、これかミアがシナレフィーの腕に掴まっているかのどちらかだな」
あ、身に覚えのある二択。もっとも、昨日は普通にギルと手を繋いでいたけれど。
てくてく
知らない街なので、ギルに大人しく付いていく。
でも幾ら知らない街でも、大きな目印は目に入るわけで。
明らかに城から離れていっております。デート定番、「遠回りして帰ろう」を実行中なようです。
「私はまだ、ミアさんが腕に掴まっている方しか見てませんね」
「移動の時は、大抵そっちだな。手を繋いでいるのは、散歩とか歩くこと自体が目的な時が多いみたいだ」
なるほど。だからシナレフィーさんたちの恋人繋ぎは、目撃できていないのか。今朝、廊下で会ったのも、朝食を取るために食堂までご一緒した時だったし。
ミアさんがシナレフィーさんの腕に掴まって寄り添って歩く姿は、絵画のようだった。恋人繋ぎも是非見てみたい。
「にしても、あれな。最初は目を疑ったよ。昔からシナレフィーは束縛を嫌うから、精神的どころか物理的に自分を捕まえさせるなんて、考えられなかった」
昔から……そういえば今日の朝食で、ギルとシナレフィーさんは幼馴染みだと言っていた。
竜同士の幼馴染みか……付き合いが果てしない年月になっていそう。
「それなのに今は、あんなだろ。ミアが最優先になって。時々俺の用事も後回しにされるくらいだ。まあ、俺もサラに会って、あいつの心情がわかったけど」
不意に、ギルが立ち止まる。
他より道幅の広い通りに出ていた。城へと繋がる大通りだろう。
「サラはどうだ? 少しは俺を好いてくれているのか?」
「えっ……?」
呑気に道の先を見ていた私は、いきなり落とされた爆弾に、ギルを振り返った。
「そう! それ!」
恋人繋ぎをしたら、朗らか笑顔をいただきました。
「それって言うからには、これもシナレフィーさんたちがしてたんですね」
「二人で歩いてる時は、これかミアがシナレフィーの腕に掴まっているかのどちらかだな」
あ、身に覚えのある二択。もっとも、昨日は普通にギルと手を繋いでいたけれど。
てくてく
知らない街なので、ギルに大人しく付いていく。
でも幾ら知らない街でも、大きな目印は目に入るわけで。
明らかに城から離れていっております。デート定番、「遠回りして帰ろう」を実行中なようです。
「私はまだ、ミアさんが腕に掴まっている方しか見てませんね」
「移動の時は、大抵そっちだな。手を繋いでいるのは、散歩とか歩くこと自体が目的な時が多いみたいだ」
なるほど。だからシナレフィーさんたちの恋人繋ぎは、目撃できていないのか。今朝、廊下で会ったのも、朝食を取るために食堂までご一緒した時だったし。
ミアさんがシナレフィーさんの腕に掴まって寄り添って歩く姿は、絵画のようだった。恋人繋ぎも是非見てみたい。
「にしても、あれな。最初は目を疑ったよ。昔からシナレフィーは束縛を嫌うから、精神的どころか物理的に自分を捕まえさせるなんて、考えられなかった」
昔から……そういえば今日の朝食で、ギルとシナレフィーさんは幼馴染みだと言っていた。
竜同士の幼馴染みか……付き合いが果てしない年月になっていそう。
「それなのに今は、あんなだろ。ミアが最優先になって。時々俺の用事も後回しにされるくらいだ。まあ、俺もサラに会って、あいつの心情がわかったけど」
不意に、ギルが立ち止まる。
他より道幅の広い通りに出ていた。城へと繋がる大通りだろう。
「サラはどうだ? 少しは俺を好いてくれているのか?」
「えっ……?」
呑気に道の先を見ていた私は、いきなり落とされた爆弾に、ギルを振り返った。
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