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オーブ奪還(1)
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私たちの前に、壁の次に立ちはだかったのは、石の扉だった。
中央から左右に分かれて開きそうなデザインのそれは、案の定、普通には開いてくれず。けれど、そもそも取っ手が無い時点で、手動で開く可能性が低いのは想定内。一応試してみただけ。
本当はこの扉を見た瞬間、「あ、これは」と察していた。おそらく正しい開け方を。
予想される正解、それは――
「いい? トム、ヤン。「いっせーので」と私が言ったら押してね」
左右対称になっている扉の装飾を、同時に押すこと。
私は扉の左側で両手と片足を青い宝石の手前で構え、右を振り返った。
右側では、ヤンが両手をトムが前足をそれぞれ構えている。準備はOKのようだ。
「じゃあ、行くよ。いっせーの……でっ」
ピコンッ
どこか懐かしい効果音がした。
ゴゴゴ……
でもってありきたりな音もして、中央から分かれた扉は半分ずつ左右の壁に収まった。
ビンゴだ。やったね。でももう一度言っておくね。リアルでパズル要素は求めていません。もう他には要らないから、切に。
「あっ」
開いた扉の向こう、見えた景色に思わず声を上げる。
木製の本棚と戸棚と机。それから壁から下がったタペストリー。間違いない、私がこの世界で最初に見た――オーブが置いてあったあの部屋だ。
「……」
何となく、忍び足で廊下と部屋の境界を跨ぐ。
この部屋の窓は、向かって左側にしかない。先に明るい左を見て、次に右を見る。
(あった)
薄暗い中、ぼんやりとした光を放つ球体を私の目は捉えた。
私の目の高さよりやや低い位置、記憶の通りに台座の上にオーブはあった。
吸い寄せられるように近付いて、
「……っ」
突如聞こえた人の話し声に、私は思わず足を止めた。
中央から左右に分かれて開きそうなデザインのそれは、案の定、普通には開いてくれず。けれど、そもそも取っ手が無い時点で、手動で開く可能性が低いのは想定内。一応試してみただけ。
本当はこの扉を見た瞬間、「あ、これは」と察していた。おそらく正しい開け方を。
予想される正解、それは――
「いい? トム、ヤン。「いっせーので」と私が言ったら押してね」
左右対称になっている扉の装飾を、同時に押すこと。
私は扉の左側で両手と片足を青い宝石の手前で構え、右を振り返った。
右側では、ヤンが両手をトムが前足をそれぞれ構えている。準備はOKのようだ。
「じゃあ、行くよ。いっせーの……でっ」
ピコンッ
どこか懐かしい効果音がした。
ゴゴゴ……
でもってありきたりな音もして、中央から分かれた扉は半分ずつ左右の壁に収まった。
ビンゴだ。やったね。でももう一度言っておくね。リアルでパズル要素は求めていません。もう他には要らないから、切に。
「あっ」
開いた扉の向こう、見えた景色に思わず声を上げる。
木製の本棚と戸棚と机。それから壁から下がったタペストリー。間違いない、私がこの世界で最初に見た――オーブが置いてあったあの部屋だ。
「……」
何となく、忍び足で廊下と部屋の境界を跨ぐ。
この部屋の窓は、向かって左側にしかない。先に明るい左を見て、次に右を見る。
(あった)
薄暗い中、ぼんやりとした光を放つ球体を私の目は捉えた。
私の目の高さよりやや低い位置、記憶の通りに台座の上にオーブはあった。
吸い寄せられるように近付いて、
「……っ」
突如聞こえた人の話し声に、私は思わず足を止めた。
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