ふわふわ ぽかぽか きらきら

けろけろ

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星からの声

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平成様式の家が見下ろす道路
雪が縁どった土色の棚田が四つ

僕は必死に星からの声に耳を澄ませる

病いが癒えきらぬこの身
それより傷ついているこころ

田圃へ突き出た高い道路に
白々と街灯一本
震える筋肉に違和感と痛みが
じわり広がる

星が何か言っている
街灯の列の先を呑む黒い林が
僕を呼ぶのだ
そう期待しても
ただ 世界は光による情報だけの
無機質な 伽藍堂

痙攣する筋肉に広がった違和感は
柔らかく 少ししょっぱい

何かが居たはず
あの景色に あの巨きな夜の下に
何かの存在が居たはずなのだ

背中を向けて 去りながら
僕は川に水を見ない気持ちになる
詩は 五感だけでは描けないのに

諦めきれず鬱蒼と茂る林に求める
何かに似ているその様子を
じっと見つめる

四台並んだ自販機の横に
小さな小川を越えて枝垂れた枝
闇に溶けた林を
どうにか綺麗なものに例えようとする
畏れ多いものだと
崇高なものなのだと賛美しようとする

しかし それはどうしても
ごみ溜めに似ていた
綺麗には見えなかった

ところが おかしなことに
ひとに忘れられたような
どうしようもないごみ溜めに似ていると
そうやって認めると
それは奔放で生命が溢れているように見えた
美しく輝いてすらいた

夜にひとの灯りをともす自販機よりも
ずっと さらさらと静かに輝くのだった

その輝きは 青白く清浄で
もうどんどん強くなり眩いほどになった
そして星よりひとの造った灯りより明るく 音すら立てていた

きっと生命こそ
この宇宙でもっとも明るく美しく輝く光なのだ
あたりの植物たちは みな一斉に
いつか夢に見たような
幻想のように輝いていた

きっと これは目に見る光とは違うものだ

僕が望んでいた星からの声とは
これだったのだ
いまや 空間は
気配や存在で満たされていた
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