ふわふわ ぽかぽか きらきら

雲を抱いて

天へ両手を伸ばして
空を覆う雲を一掬い
ぐいと胸元に引き寄せて
抱きつき身体をあずける

もちろん雲は浮き出して
僕を宙へと連れていく

片手を離し
翼のようにぴんと伸ばす
反り上がった指の先で風が渦巻く

昇ってゆく昇ってゆく
 
体重を移動させて
抱いた雲ごとぐるりと回る

そしてそのまま泡立つ空の海へ
白い粒子の構造物の中へ

吹き飛ばされるような衝撃で
冷えた鉄の壁のように阻まれながら
抗えない力で呑み込まれる

仄かに明るい淡い虹
それしか見えない
多様な赤のみの虹

もう雲を抱いている必要もない
僕は到達したのだ

僕は白い景色を歩き出す
雲の中
それと同時にアスファルトの道を

もう雲を抱いている必要もない
僕は到達したのだから