ふわふわ ぽかぽか きらきら

けろけろ

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統合

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猿の気配を感じる
猿といっても まあるいカラスカズラの
化け物のようなもので
赤い顔に剥き出しの眼が二つ
歯茎を剥いて強固な歯を威嚇するように見せている
顎には絶えず涎が垂れている

そんなものが貧弱な気色の悪い身体で
あちこちの空間にぶら下がり
私を取り囲んでいるのが見えるのだ

まったく不気味で 悍ましい
卑しく 醜い猿どもよ

こんなもののために私は 私でなくなる
新しくあるべき 根源的なもの
統合的なものが失われていく

この猿どもが
許しはしない

空気を裂き 轟音を立て
私の体内から
龍が現れる

私の身丈程の頭の高さを持ち
それに見合う長い胴が
私の内の踊り狂いたい衝動を消費しながら
小さな振動を伝え 吐き出される

遂に全容は現れた

石のような肌は冷たく静かで
瞼の内にあるべき瞳は
窪んでいるのか見当たらない
私はその時の流れていないような
静かさに安息を覚える

そして 私は正常を来たす

あらゆるものが海のように
平たくて 遠く 穏やかだ

堤防の向こうに建つ 豪華客船のような
煌びやかなビルも
下らないパチンコ屋の看板も
赤色と冷たい色とを投げかける信号機も
まるで実在的で 薄らと親しみを感じる

どれも無機的で 新しく 魔法じみている

さて 私の目には更にすべての景色の背景が
映っている
そこには雲を頭の上に掠める信じられぬ程の巨体の龍が寝そべっている
緑色で これ程確かなものはない
触れることは叶わないかもしれないが
触れずとも 信頼が交わされているのだから
それだけで充分だ

私は誠に統合を果たしたのだ

いまや猿は消え失せた

私は隣に石の龍を侍らせて
(若しくは龍こそ私で 隣にヒトを従えて)
偉大なる緑の巨躯の龍神を眺めている

いまや手足や頭、目や口
思考と視界
過去もみらいも統合され
私は夜の底に立っていた

溢れ出る宇宙のイマジネーションが作り上げる空間に
ただすべてが一枚の絵となったのだ
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