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三郷達の行動-②ー2
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梅野達と事前に打ち合わせた段取りでは、せいぜいネットの使用阻止だけで終わってしまう。それではまずい。計画を早める必要がある。その為にもここでの長居は無用だ。
離れた場所まで移動した梅野にも聞こえるよう、真理亜は声を掛けた。
「城之内様、私達はこれで失礼します。余り長くいてお体に障るといけませんから。何も心配なさらず、ごゆっくりお休みください。後の事はお任せください。もし何かあれば、呼び出して下さい。すぐに駆け付けますから」
その言葉を合図に梅野も看護師との会話を終え、医務室の医師達に挨拶をしてから部屋を出た。この後向かうのは、同じ階の船の先端部にある操舵室の中の船長室だ。その途中で梅野には、城之内から得た情報を端的に告げた。
「あと五時間弱しかないのは、困りましたね。どうしますか、真理亜さん」
「まずはその予定時間に、イリジウム装置を動かないよう阻止してください。これは梅野さんにしかできません。医務室でタブレットを使っての振り込みを、城之内さんは肯定しました。ということはやはり、この階で通じるイリジウムを使う事は間違いありません」
「しかしそれだけでは、片手落ちになります」
「ですからそれまでに、出来る限りの事をしましょう」
梅野を先頭に、操舵室へと入る。そこには圧巻の景色が広がっていた。前面や横に広がる海を、少なくとも三百度は見渡せる大きな窓があった。その前には舵やレーダー、数え切れない程のボタン等がある複雑な機器が揃い、ずらりと航海士達が立っていた。
十一階の船の先端にも、見晴らしの素晴らしいラウンジがある。だがそこと似て非なる空間が、ここにはあった。呆気に取られていると、前を歩いていた梅野がこちらを振り返り、ある場所へ視線を動かした。その先には、周辺とは違った装置が設置されている。
再び真理亜と目線を併せて頷いたところを見ると、あれが問題のイリジウムだと気付く。周囲には多くの航海士がいる。ほとんどはそれぞれの担当の機器を見たり、前方の海を監視したりしていた。
しかしこの中であの装置をこっそりと動かしたなら、誰かが必ず見つけるはずだ。現に真理亜達がこの部屋に入った後は、何もなかったかのような雰囲気に戻ったけれど、その瞬間だけかなりの数の目がこちらを向いていた。
そうした実態と現物を目にして場の空気を理解した上で、真理亜は梅野に続き奥にある船長室へと入った。そこに後から二人の男性がついて来た。
「失礼します。こちらが先程お伝えした、城之内様のお連れの三郷真理亜様と直輝様です」
梅野に紹介された為、二人は頭を下げた。先に顔を上げて口を開いたのは真理亜だ。船長には英語で無くても通じると知っていた為、直輝にも判るよう日本語で話した。
「何度かご挨拶をしたと思いますが、改めて私が三郷真理亜です。こちらが甥の直輝です。今回は勝手な行動を致しまして、大変ご迷惑をおかけしました。申し訳ありません」
すると一歩前に出た船長が、首を振って言った。
「いいえ。最初は驚きましたが、城之内様をご心配されるお気持ちは判りますよ。それに外へ出歩く為、防護服を着用しようとしたのは周囲に気を使って頂いている証拠です。だから面倒な手順を踏んで手に入れ、十四階と六階を一往復半もされたのでしょう」
「ご理解頂き、誠に恐縮です」
ただ軽い笑みを浮かべていた彼の表情は、急に厳しくなった。
「しかし船内放送でお伝えしたように、現在状況はかなり緊迫しています。そんな中、誤解を生む行動は慎んで下さい。犯人達を変に刺激しては、他のお客様の命に関わります」
ここは素直に謝っておくべきと考え、真理亜は再び頭を下げた。
「軽率な行為でした。申し訳ありません」
直輝も同じく頭を下げる。それを見て彼はにこやかに言った。
「ご理解頂ければ結構です。城之内様のお見舞いに行かれたのですよね。どうでしたか」
「はい。医務室の方々のおかげで、安定しているようです。痛みや熱も収まり、お顔の色も悪くありませんでした」
「それは良かった。現在全乗員乗客の検査をしていますが、他に感染者は出ていないと報告を受けています。感染拡大はしていないようなので、三郷様達もご安心ください」
「そのようですね。恐らく船内に潜伏している犯人達の誰かが、城之内様だけにウイルス感染させたとの見方は合っていると思います。ただヘリが爆弾を積んだドローンを使って破壊されたのですから、ウイルスや爆弾をさらに所持している可能性は高いでしょう」
真理亜の踏み込んだ発言に戸惑った船長は、無意識なのか辺りを見渡す素振りを見せた。恐らく犯人達に聞かれてはいないかと、危惧しているのだろう。その為意図的に尋ねた。
「ところでそちらにいるお二人は、どういう役職の方なのですか」
途中で同席した船員の中にも、犯人達の仲間がいる確率は高い。特にこの操舵室には、唯一外部の本社と連絡を取り合う船長がいて、イリジウム装置もある。また通常使用しているインマルサットの通信装置もここにあるのだろう。
よって犯人側の立場ならば、ここは常に監視が必要な場所だ。つまり一人ないし二人以上は、配置していてもおかしくない。
後は十三階だと医務室に一人以上、VIP達を集めるだろう例の場所に、数人は必要となる。さらに五階には予備のコントロール室がある為、そこにも監視はいるだろう。
イリジウムによる通信も可能な場所というだけではない。十三階の操舵室全体にトラブルがあった際に使用するのだから、恐らくそこにもイリジウムやインマルサット等の通信装置のスペアがあるはずだ。
そう考えると最低でも七~八人は、犯人の仲間が身を隠していると思われる。爆弾を使用する人間を別途用意していれば、十人以上いても不思議ではない。
といってもこれだけの規模とはいえ、超高級クルーズ船の乗組員の採用となれば、かなり審査も厳密にしているはずだ。そこを潜り抜けるには、五百三十名の中でも一~三%が限度だろう。そうなると、多くても十五、六名と言ったところか。
犯人の狙いが徐々に見えてきた分、彼らがいるだろう場所もかなり特定できた。とはいっても、ここから誰が犯人の一味か全員を特定するのは困難だ。それでも彼らの計画を完全に阻止するには、できる限りやり遂げなければならない。
その一環として、まずは近くにいる二人に焦点を当ててみた。船長はやや困惑しながらも、真理亜の問いに答えた。
「一人はセキュリティ部門に所属する隊員、ニールです。船内には犯人の仲間が潜んでいるだろうとは思いますが、本社の指示で探し回る事も出来ません。なのでセキュリティ部門には、防犯カメラの注視を指示するのが精一杯な有様です。ただし不審な行動を発見した際、その様子を逐一こちらに伝える中継の役目を、彼が行ってくれています。私は基本的に本社の指示があれば、直ちに行動できる態勢でいなければなりません。梅野が私の役目を補い、VIP客のいる階を中心に巡回していた事と同じです」
「そうですか。私達の行動を発見されて、船長に伝えたのもあなたですか。お手数をお掛けして申し訳ございませんでした」
民間の軍事会社から雇用されているだけあって、鍛え上げられた体格をしている。先程から能面のように表情一つ変えない彼に頭を下げると、相手は軽く頷いただけだった。ざっと見渡した所、特殊警棒は所持しているが、それ以上の重装備はしていないかに見える。
続けて船長に質問した。
「もう一人の方は?」
「彼は私や梅野の代わりに、操舵室を取りまとめている一等航海士チーフのヨハンです」
「ヨハンと申します。宜しくお願いします」
彼は日本語で、自分からにこやかに挨拶をしてくれた。先程真理亜がニールに向かって英語を使っていたのを聞き、自分には必要ないと伝えたかったのだろう。
「日本語がお上手ですね。失礼ですがどちらの方ですか」
「有難うございます。私はフロリダ出身です。アメリカの学校で日本語と中国語、スペイン語の勉強をしていました」
親しげな彼の口調には、とても好感を覚えた。だが彼らがいると、この先話は進まない。そこで彼らに軽く頭を下げてから、船長に告げた。
「申し訳ありませんが、折り入ってご相談があります。なのでお二人に席を外して頂くことはできますか」
船長は表情を曇らせ、二人の顔を見た。ヨハンは理解できたらしく、笑みを浮かべて軽く頷いてくれた。だがニールは日本語が判らなかったのか、それともこの場から離れることを嫌がったのか、首を捻っていた。
しかし真理亜達は、城之内が招待したVIPに準じる乗客だ。内容も聞かず要望を断る事は出来ないと判断したのだろう。船長は英語で二人に退席を促した。
すると多少抵抗される事も覚悟していたが、二人は素直に従い部屋から出たので船長と真理亜達三人だけが残った。しかし油断は禁物だ。ここに盗聴器等が仕掛けられていれば、犯人達には筒抜けになる。そうしたリスクも考慮しつつ、話を続けなければならない。
なかなか話題を切り出さないので業を煮やしたのか、船長が先に口火を切った。
「二人に席を外させてまでご相談したい事とは、一体何でしょうか」
「その前にお伺いしたい点がございます。船内に犯人が忍び込んでいる事は間違いない。そう船長もお考えのはずです。ではこの船の脳である操舵室にもいる、とお考えですか」
彼は躊躇しながらも、軽く頷いた。声を出さなかったのは、同じく盗聴を気にしていたのだろう。それなら話は早い。真理亜は隠し持っていたタブレットを取り出し、事前に打っていた文章に追加入力をしてから、彼に渡しつつ言った。
「皆さんを信じていらっしゃるのですね。確かに五百名を超える乗組員全員を疑っては、船長など勤まらないのかもしれません。失礼しました。話を戻しましょう。ご相談というのは、今後の城之内様についてです。私が彼の資産管理を任されている事はご存知ですか」
彼は耳で真理亜の質問を聞くと同時に、目で書かれていた文章を追っていた。そこには犯人達の裏の目的と、それを阻止する為に梅野さんと共にこれから行動しようとしている事の一部が書かれている。
またその計画を実行するには、隠れている犯人達を突き止めたい旨も記載していた。さらにこれまでの経緯と医務室やここに訪れた結果を受け、既に怪しいと睨んでいる数人の名を列挙し、その人達に深く関与しているが為に準じて疑わしい者も挙げていた。
これは梅野が持っていた乗員乗客名簿と、その人物達について記載されている情報などを閲覧した上で、前もって書き込んでおいたものだ。
船長には真理亜達の今後の行動を支援してくれるよう依頼し、また書かれている人名を見て同じく疑わしいと思うか、他にいれば教えてくれるよう依頼した文章も添えている。
これは船長が犯人と通じていないと信じての、一種の賭けだった。もし相手が敵ならば、計画はここで終了する可能性もあった。だがこれまで梅野と話をして船長室で交わした内容を聞き、また実際に本人と会った際の感触と反応を見て大丈夫だと判断したのだ。
彼はざっとそれに目を通した後、顔を挙げてゆっくりと言った。
「もちろん存じております。それがどうかしましたか」
そう口を動かすと同時に、タブレットを指さして深く頷いた。書かれている内容に同意してくれたらしい。加えて彼は何かを入力した後、真理亜に手渡した。そこには
「OK。他は不確かだが、」
と数人の名が追加されていた。それを横から覗くように見ていた梅野が、タブレットを奪い取って追加事項を記入した上で、戻してくれた。船長が書き記した人名の部署と、現在いるだろう階や場所を記してくれたのだ。
それを見て納得する。真理亜達が予想した人物達と接点がありそうな乗員で、かつ犯人側が計画を実行するのに必要な個所にいても、疑われにくい役目の者ばかりだったからだ。
これでかなりの数まで、犯人達を絞り込むことが出来た。しかしそれでも完全ではない。一人でも漏れていたら、そいつに万が一にでも爆弾またはウイルスを拡散されてしまえばお終いだ。よってまだまだ油断は禁物だった。
真理亜はタブレットを操作して別の画面を呼び出し、そこに書かれたものを再び船長に見えるよう渡しながら答えた。
「実は城之内様から、ある取引について横浜港へ着く頃には済ませておくよう指示を受けていました。ですが現在、この船全体が外部と遮断された状態です。ネットにも繋げないので、どうしようもありません。何とかならないでしょうか」
彼は首を傾げて言った。
「それは本当ですか。そんなに大きな取引なのですか」
実際は嘘だ。しかし真理亜は悟られないように頷き懇願した。
「はい。ですから無理を承知でお願いに参りました。ほんの少しの時間だけで良いのです。ネットに繋げて取引することは出来ないでしょうか」
彼は首を横に振ってから、軽く頭を下げた。
「お気の毒ですが、ご希望には添えません。もし外部との通信を解除したと犯人側に知れたら、何が起こるか判りません。それこそ爆弾を使い、誰かの命が危険に晒されるでしょう。申し訳ございませんが、例え城之内様のご依頼といえども、許可する事は出来ません」
当然断られることは判っていた。そう思っていた所に彼が言葉を重ねた。
「それに城之内様から、そのような要望があるとは聞いておりません。本当に必要な件であれば、三郷様に協力するよう依頼があるはずですから」
そう聞いて、真理亜は違和感を持った為に尋ねた。
「船長は城之内様と連絡を取っているのですか?」
一瞬動揺したかに見えたが、彼は平然と答えた。
「はい。お体の調子はいかがかと思い、医務室の内線を通じてお話しさせて頂きました。その際、何かご要望があればいつでもこちらに直接連絡を頂くよう、お伝えしております。ですから、今の所何もないということは特にお急ぎの要件は無いと判断しておりました」
ここで梅野も疑問を持ったのだろう。口を開いた。
「私は船長の代わりに十四階から十階までのお客様を訪ね、ご様子を伺うよう指示を受けていましたが、城之内様については何も聞いていませんでした。最初から船長が直接連絡を取るおつもりだったのですか」
「それはそうだろう。いくら君が防護服を着用しているとはいえ、感染者である患者の元へ行かせる訳にはいかないと思ったからだ。あの方については内線だけで声を掛けて置けば、後は医務室の医師達に任せればいいと判断した。現在置かれている状況を考えれば、直接訪ねて行かないからといって、気分を害されることはないだろうしご理解頂けると思ったからだ。実際内線で話をした際にも、あの方は納得されていたよ」
「そうだったのですか。そういうお話なら、私にもご報告頂きたかったですね。三郷様達をお連れして医務室を訪ねた際に、改めて何かご要望がおありか伺いしましたのに」
彼はその皮肉めいた言葉に反論した。
「それはすまなかった。だが本来なら感染者への見舞いなど、了承できるはずもない事を許可したんだ。私から聞いていなくても、お会いすれば何かございますかと尋ねる事は当然では無いかな。それに君は城之内様と全く話さなかったのかね」
攻守が逆転し、梅野は頭を下げざるを得なくなった。
「申し訳ございません。三郷様達のお見舞いを優先したものですから、私は出しゃばらないよう遠慮してしまいました。おっしゃる通り、船長代理として一言告げるべきでした」
これ以上船長から協力を得ることが困難だと判断した真理亜達は、部屋を出る事にした。ここから先どうするかが勝負だ。気を取り直して三人は次の目的地へと向かった。
離れた場所まで移動した梅野にも聞こえるよう、真理亜は声を掛けた。
「城之内様、私達はこれで失礼します。余り長くいてお体に障るといけませんから。何も心配なさらず、ごゆっくりお休みください。後の事はお任せください。もし何かあれば、呼び出して下さい。すぐに駆け付けますから」
その言葉を合図に梅野も看護師との会話を終え、医務室の医師達に挨拶をしてから部屋を出た。この後向かうのは、同じ階の船の先端部にある操舵室の中の船長室だ。その途中で梅野には、城之内から得た情報を端的に告げた。
「あと五時間弱しかないのは、困りましたね。どうしますか、真理亜さん」
「まずはその予定時間に、イリジウム装置を動かないよう阻止してください。これは梅野さんにしかできません。医務室でタブレットを使っての振り込みを、城之内さんは肯定しました。ということはやはり、この階で通じるイリジウムを使う事は間違いありません」
「しかしそれだけでは、片手落ちになります」
「ですからそれまでに、出来る限りの事をしましょう」
梅野を先頭に、操舵室へと入る。そこには圧巻の景色が広がっていた。前面や横に広がる海を、少なくとも三百度は見渡せる大きな窓があった。その前には舵やレーダー、数え切れない程のボタン等がある複雑な機器が揃い、ずらりと航海士達が立っていた。
十一階の船の先端にも、見晴らしの素晴らしいラウンジがある。だがそこと似て非なる空間が、ここにはあった。呆気に取られていると、前を歩いていた梅野がこちらを振り返り、ある場所へ視線を動かした。その先には、周辺とは違った装置が設置されている。
再び真理亜と目線を併せて頷いたところを見ると、あれが問題のイリジウムだと気付く。周囲には多くの航海士がいる。ほとんどはそれぞれの担当の機器を見たり、前方の海を監視したりしていた。
しかしこの中であの装置をこっそりと動かしたなら、誰かが必ず見つけるはずだ。現に真理亜達がこの部屋に入った後は、何もなかったかのような雰囲気に戻ったけれど、その瞬間だけかなりの数の目がこちらを向いていた。
そうした実態と現物を目にして場の空気を理解した上で、真理亜は梅野に続き奥にある船長室へと入った。そこに後から二人の男性がついて来た。
「失礼します。こちらが先程お伝えした、城之内様のお連れの三郷真理亜様と直輝様です」
梅野に紹介された為、二人は頭を下げた。先に顔を上げて口を開いたのは真理亜だ。船長には英語で無くても通じると知っていた為、直輝にも判るよう日本語で話した。
「何度かご挨拶をしたと思いますが、改めて私が三郷真理亜です。こちらが甥の直輝です。今回は勝手な行動を致しまして、大変ご迷惑をおかけしました。申し訳ありません」
すると一歩前に出た船長が、首を振って言った。
「いいえ。最初は驚きましたが、城之内様をご心配されるお気持ちは判りますよ。それに外へ出歩く為、防護服を着用しようとしたのは周囲に気を使って頂いている証拠です。だから面倒な手順を踏んで手に入れ、十四階と六階を一往復半もされたのでしょう」
「ご理解頂き、誠に恐縮です」
ただ軽い笑みを浮かべていた彼の表情は、急に厳しくなった。
「しかし船内放送でお伝えしたように、現在状況はかなり緊迫しています。そんな中、誤解を生む行動は慎んで下さい。犯人達を変に刺激しては、他のお客様の命に関わります」
ここは素直に謝っておくべきと考え、真理亜は再び頭を下げた。
「軽率な行為でした。申し訳ありません」
直輝も同じく頭を下げる。それを見て彼はにこやかに言った。
「ご理解頂ければ結構です。城之内様のお見舞いに行かれたのですよね。どうでしたか」
「はい。医務室の方々のおかげで、安定しているようです。痛みや熱も収まり、お顔の色も悪くありませんでした」
「それは良かった。現在全乗員乗客の検査をしていますが、他に感染者は出ていないと報告を受けています。感染拡大はしていないようなので、三郷様達もご安心ください」
「そのようですね。恐らく船内に潜伏している犯人達の誰かが、城之内様だけにウイルス感染させたとの見方は合っていると思います。ただヘリが爆弾を積んだドローンを使って破壊されたのですから、ウイルスや爆弾をさらに所持している可能性は高いでしょう」
真理亜の踏み込んだ発言に戸惑った船長は、無意識なのか辺りを見渡す素振りを見せた。恐らく犯人達に聞かれてはいないかと、危惧しているのだろう。その為意図的に尋ねた。
「ところでそちらにいるお二人は、どういう役職の方なのですか」
途中で同席した船員の中にも、犯人達の仲間がいる確率は高い。特にこの操舵室には、唯一外部の本社と連絡を取り合う船長がいて、イリジウム装置もある。また通常使用しているインマルサットの通信装置もここにあるのだろう。
よって犯人側の立場ならば、ここは常に監視が必要な場所だ。つまり一人ないし二人以上は、配置していてもおかしくない。
後は十三階だと医務室に一人以上、VIP達を集めるだろう例の場所に、数人は必要となる。さらに五階には予備のコントロール室がある為、そこにも監視はいるだろう。
イリジウムによる通信も可能な場所というだけではない。十三階の操舵室全体にトラブルがあった際に使用するのだから、恐らくそこにもイリジウムやインマルサット等の通信装置のスペアがあるはずだ。
そう考えると最低でも七~八人は、犯人の仲間が身を隠していると思われる。爆弾を使用する人間を別途用意していれば、十人以上いても不思議ではない。
といってもこれだけの規模とはいえ、超高級クルーズ船の乗組員の採用となれば、かなり審査も厳密にしているはずだ。そこを潜り抜けるには、五百三十名の中でも一~三%が限度だろう。そうなると、多くても十五、六名と言ったところか。
犯人の狙いが徐々に見えてきた分、彼らがいるだろう場所もかなり特定できた。とはいっても、ここから誰が犯人の一味か全員を特定するのは困難だ。それでも彼らの計画を完全に阻止するには、できる限りやり遂げなければならない。
その一環として、まずは近くにいる二人に焦点を当ててみた。船長はやや困惑しながらも、真理亜の問いに答えた。
「一人はセキュリティ部門に所属する隊員、ニールです。船内には犯人の仲間が潜んでいるだろうとは思いますが、本社の指示で探し回る事も出来ません。なのでセキュリティ部門には、防犯カメラの注視を指示するのが精一杯な有様です。ただし不審な行動を発見した際、その様子を逐一こちらに伝える中継の役目を、彼が行ってくれています。私は基本的に本社の指示があれば、直ちに行動できる態勢でいなければなりません。梅野が私の役目を補い、VIP客のいる階を中心に巡回していた事と同じです」
「そうですか。私達の行動を発見されて、船長に伝えたのもあなたですか。お手数をお掛けして申し訳ございませんでした」
民間の軍事会社から雇用されているだけあって、鍛え上げられた体格をしている。先程から能面のように表情一つ変えない彼に頭を下げると、相手は軽く頷いただけだった。ざっと見渡した所、特殊警棒は所持しているが、それ以上の重装備はしていないかに見える。
続けて船長に質問した。
「もう一人の方は?」
「彼は私や梅野の代わりに、操舵室を取りまとめている一等航海士チーフのヨハンです」
「ヨハンと申します。宜しくお願いします」
彼は日本語で、自分からにこやかに挨拶をしてくれた。先程真理亜がニールに向かって英語を使っていたのを聞き、自分には必要ないと伝えたかったのだろう。
「日本語がお上手ですね。失礼ですがどちらの方ですか」
「有難うございます。私はフロリダ出身です。アメリカの学校で日本語と中国語、スペイン語の勉強をしていました」
親しげな彼の口調には、とても好感を覚えた。だが彼らがいると、この先話は進まない。そこで彼らに軽く頭を下げてから、船長に告げた。
「申し訳ありませんが、折り入ってご相談があります。なのでお二人に席を外して頂くことはできますか」
船長は表情を曇らせ、二人の顔を見た。ヨハンは理解できたらしく、笑みを浮かべて軽く頷いてくれた。だがニールは日本語が判らなかったのか、それともこの場から離れることを嫌がったのか、首を捻っていた。
しかし真理亜達は、城之内が招待したVIPに準じる乗客だ。内容も聞かず要望を断る事は出来ないと判断したのだろう。船長は英語で二人に退席を促した。
すると多少抵抗される事も覚悟していたが、二人は素直に従い部屋から出たので船長と真理亜達三人だけが残った。しかし油断は禁物だ。ここに盗聴器等が仕掛けられていれば、犯人達には筒抜けになる。そうしたリスクも考慮しつつ、話を続けなければならない。
なかなか話題を切り出さないので業を煮やしたのか、船長が先に口火を切った。
「二人に席を外させてまでご相談したい事とは、一体何でしょうか」
「その前にお伺いしたい点がございます。船内に犯人が忍び込んでいる事は間違いない。そう船長もお考えのはずです。ではこの船の脳である操舵室にもいる、とお考えですか」
彼は躊躇しながらも、軽く頷いた。声を出さなかったのは、同じく盗聴を気にしていたのだろう。それなら話は早い。真理亜は隠し持っていたタブレットを取り出し、事前に打っていた文章に追加入力をしてから、彼に渡しつつ言った。
「皆さんを信じていらっしゃるのですね。確かに五百名を超える乗組員全員を疑っては、船長など勤まらないのかもしれません。失礼しました。話を戻しましょう。ご相談というのは、今後の城之内様についてです。私が彼の資産管理を任されている事はご存知ですか」
彼は耳で真理亜の質問を聞くと同時に、目で書かれていた文章を追っていた。そこには犯人達の裏の目的と、それを阻止する為に梅野さんと共にこれから行動しようとしている事の一部が書かれている。
またその計画を実行するには、隠れている犯人達を突き止めたい旨も記載していた。さらにこれまでの経緯と医務室やここに訪れた結果を受け、既に怪しいと睨んでいる数人の名を列挙し、その人達に深く関与しているが為に準じて疑わしい者も挙げていた。
これは梅野が持っていた乗員乗客名簿と、その人物達について記載されている情報などを閲覧した上で、前もって書き込んでおいたものだ。
船長には真理亜達の今後の行動を支援してくれるよう依頼し、また書かれている人名を見て同じく疑わしいと思うか、他にいれば教えてくれるよう依頼した文章も添えている。
これは船長が犯人と通じていないと信じての、一種の賭けだった。もし相手が敵ならば、計画はここで終了する可能性もあった。だがこれまで梅野と話をして船長室で交わした内容を聞き、また実際に本人と会った際の感触と反応を見て大丈夫だと判断したのだ。
彼はざっとそれに目を通した後、顔を挙げてゆっくりと言った。
「もちろん存じております。それがどうかしましたか」
そう口を動かすと同時に、タブレットを指さして深く頷いた。書かれている内容に同意してくれたらしい。加えて彼は何かを入力した後、真理亜に手渡した。そこには
「OK。他は不確かだが、」
と数人の名が追加されていた。それを横から覗くように見ていた梅野が、タブレットを奪い取って追加事項を記入した上で、戻してくれた。船長が書き記した人名の部署と、現在いるだろう階や場所を記してくれたのだ。
それを見て納得する。真理亜達が予想した人物達と接点がありそうな乗員で、かつ犯人側が計画を実行するのに必要な個所にいても、疑われにくい役目の者ばかりだったからだ。
これでかなりの数まで、犯人達を絞り込むことが出来た。しかしそれでも完全ではない。一人でも漏れていたら、そいつに万が一にでも爆弾またはウイルスを拡散されてしまえばお終いだ。よってまだまだ油断は禁物だった。
真理亜はタブレットを操作して別の画面を呼び出し、そこに書かれたものを再び船長に見えるよう渡しながら答えた。
「実は城之内様から、ある取引について横浜港へ着く頃には済ませておくよう指示を受けていました。ですが現在、この船全体が外部と遮断された状態です。ネットにも繋げないので、どうしようもありません。何とかならないでしょうか」
彼は首を傾げて言った。
「それは本当ですか。そんなに大きな取引なのですか」
実際は嘘だ。しかし真理亜は悟られないように頷き懇願した。
「はい。ですから無理を承知でお願いに参りました。ほんの少しの時間だけで良いのです。ネットに繋げて取引することは出来ないでしょうか」
彼は首を横に振ってから、軽く頭を下げた。
「お気の毒ですが、ご希望には添えません。もし外部との通信を解除したと犯人側に知れたら、何が起こるか判りません。それこそ爆弾を使い、誰かの命が危険に晒されるでしょう。申し訳ございませんが、例え城之内様のご依頼といえども、許可する事は出来ません」
当然断られることは判っていた。そう思っていた所に彼が言葉を重ねた。
「それに城之内様から、そのような要望があるとは聞いておりません。本当に必要な件であれば、三郷様に協力するよう依頼があるはずですから」
そう聞いて、真理亜は違和感を持った為に尋ねた。
「船長は城之内様と連絡を取っているのですか?」
一瞬動揺したかに見えたが、彼は平然と答えた。
「はい。お体の調子はいかがかと思い、医務室の内線を通じてお話しさせて頂きました。その際、何かご要望があればいつでもこちらに直接連絡を頂くよう、お伝えしております。ですから、今の所何もないということは特にお急ぎの要件は無いと判断しておりました」
ここで梅野も疑問を持ったのだろう。口を開いた。
「私は船長の代わりに十四階から十階までのお客様を訪ね、ご様子を伺うよう指示を受けていましたが、城之内様については何も聞いていませんでした。最初から船長が直接連絡を取るおつもりだったのですか」
「それはそうだろう。いくら君が防護服を着用しているとはいえ、感染者である患者の元へ行かせる訳にはいかないと思ったからだ。あの方については内線だけで声を掛けて置けば、後は医務室の医師達に任せればいいと判断した。現在置かれている状況を考えれば、直接訪ねて行かないからといって、気分を害されることはないだろうしご理解頂けると思ったからだ。実際内線で話をした際にも、あの方は納得されていたよ」
「そうだったのですか。そういうお話なら、私にもご報告頂きたかったですね。三郷様達をお連れして医務室を訪ねた際に、改めて何かご要望がおありか伺いしましたのに」
彼はその皮肉めいた言葉に反論した。
「それはすまなかった。だが本来なら感染者への見舞いなど、了承できるはずもない事を許可したんだ。私から聞いていなくても、お会いすれば何かございますかと尋ねる事は当然では無いかな。それに君は城之内様と全く話さなかったのかね」
攻守が逆転し、梅野は頭を下げざるを得なくなった。
「申し訳ございません。三郷様達のお見舞いを優先したものですから、私は出しゃばらないよう遠慮してしまいました。おっしゃる通り、船長代理として一言告げるべきでした」
これ以上船長から協力を得ることが困難だと判断した真理亜達は、部屋を出る事にした。ここから先どうするかが勝負だ。気を取り直して三人は次の目的地へと向かった。
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しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
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