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山と花火と恋模様!
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そんな俺たちを見た会長はといえば、ムッとした顔でつかんでいた俺の腕を負けじと抱えていい返した。
「なっ、そんなの許せるわけないでしょう! 揚羽は大事な俺の補佐です!」
明らかにからかってるソレに、俺は会長が話を流すかなんかすると思ってたんだけど──
まさか、こんなお言葉をもらうとは…
ちょっと照れくさくて会長に見えないように顔をそらしたんだけど、ソレを聞いた香我美先輩がいいおもちゃが見つかった…とでもいうようにニィっと楽しそうな笑いを浮かべたのが見えておもわず顔が引きつる。
うわぁ…
悪そうな顔だなぁ;
「へぇ~、大事な俺の…ねぇ?」
「…っ!」
香我美先輩に意味あり気なふうにそう言われて、会長は自分のいったコトに気づいたのか言葉を詰まらせた。
あ~ぁ、会長からかわれて可哀想に…
でもからかわれる会長って、ちょっと可愛いかも♪
「ほ、補佐が抜けてます。揚羽は会長である俺の補佐ですからね。生徒会にとって、なくてはならない存在なんです」
「ふぅ~ん…へぇ~…」
「ちょっと、変な目で見ないでください!──まったく、香我美先輩と話してると調子が狂うから嫌なんですよ…」
絶賛からかわれちゅうの会長はからかわれすぎて疲れてきたのか、眉間にシワを寄せながら頭を抱えてる。
もうそろそろ、香我美先輩を止めたほうがいいかな?
「でも気になっちゃう~! てか? みかっちゃんはやっと俺に身体をあずける気になったかなぁ~?」
「そんなこと一言もいってないでしょう! 大体、それだったら俺をどうにかしようとしてる香我美先輩よりも揚羽──「はいはーい! それ以上満にからかうネタわたす前に黙ろうか、帝」
「っ、そうだな」
そんなコトをのんきに考えてるあいだに、また墓穴を掘ろうとしてた会長を光先輩が止めた。
香我美先輩はソレで会長をからかうコトができなくなるのに気づいたのか、唇を尖らせてちょっと拗ねた顔をしてる。
いや、拗ねるって…
アンタ会長のコト充分からかったじゃん!
「悪いな、光」
「いいってことよ」
ぐったりとした会長に光先輩が労わるように肩を叩いた。
そうして笑ってるふたりのあいだには割りこめないなにかがあって、ちょっと寂しく感じる。
って、ちょっと待って!
なに寂しく感じてんの俺!
会長と光先輩は同学年だし生徒会長と風紀委員長だもん、仲がよくって当然じゃん!?
それなのに寂しいとか…
あーもう、やめてよね!
俺はおもわず感じてしまった感情に、内心頭を抱える。
「ん、どうした揚羽? 帝たちのやり取り見てびっくりしたか?」
「あ、いや…」
そしたらソレが表に出てたのか、光先輩が心配するように聞いてきた。
別のコトでいっぱいいっぱいになってた俺はすんなり答えるコトができなくて、勘違いした光先輩は苦笑して労わるように頭を撫でてくる。
「帝と満のやり取りは持ちあがり組にはめずしくないけど、揚羽は編入組やから見たのはきっとはじめてやもんな。しょうがないわ」
「まぁ、そうですね。ふたりのやり取りを見たのははじめてでした」
ホントはビックリしたワケじゃないけど、今さら訂正するのも面倒だしとりあえずうなづいといた。
「まぁ、そんなワケやで帝にちょっかい出すのはやめといてくれや、満」
「しょうがないな~。じゃあ、またたっちんでもかまうかぁ」
光先輩に釘をさされた香我美先輩は残念そうにしたけど、つぎのターゲットを決めて手をワキワキさせて楽しそうに笑った。
ターゲットに選ばれたのは我らが不良くんだ。
「また俺っすか!?」
「頑張れ、水瀬! ふたりは端にでも行って休んどりゃあ」
そう言ってめちゃくちゃイヤそうな顔をした不良くんに、光先輩はニッコリ笑って親指を立てた。
俺もソレにならって親指を立ててエールを送ったあと、心配そうに不良くんを見る会長の背中を押してすこし離れた場所にあるイスに向かう。
「なんか、水瀬に悪いことしたな…」
イスに腰を落ちつけた会長は、香我美先輩の餌食になった不良くんが気の毒に思ったのか、ポツリとそうつぶやいた。
逃げられてラッキーくらいに思っとけばいいのに、会長ってホント真面目だねぇ~。
「気にしないでいいですよ、会長。不良くん、ああいうの慣れてますから」
「そうなのか?」
「はい!」
まぁ、主に慣れさせてるのは日ごろちょっかいを出してる俺なんだけどね♪
「光先輩に休んでろって言われたんだし、余計なコトは忘れてゆっくりしましょう」
「…そうだな、ゆっくりするか」
そう言って、会長はやっと肩の力を抜いてやわらかいほほ笑みを浮かべた。
うんうん、眉間のシワも取れていい感じだね♪
「ん、どうした?」
「いや、なんでもないです」
見すぎてたのか、会長が不思議そうに聞いてきた。
ソレに小さく笑いかえして、空を見あげる。
そうすれば目に映るのはたくさんの星が光りかがく濃紺の空。
学園で見た夜空もキレイだったけど、ココの空もすごくキレイだなぁ~。
でも、コッチのほうが俺は好きかも。
それは、キレイだからってだけじゃない。
静寂に包まれて眺めたあの星空もよかったけど、みんなの楽しそうな声を聴きながら見る星空のほうがなんだかいいんだよね。
みんなの声に耳をかたむけながら星空を眺めてると、今日あった楽しいコトがつぎつぎに思いうかんでくる。
「今日1日、ホントに楽しかったなぁー」
「…そうか」
ソレに心がじんわりとあったかくなって、そんな気持ちのままつぶやけば、会長がやさしいほほ笑みを浮かべて返事してくれた。
「そう言ってもらえると準備に奔走した甲斐があった」
「えっ、この合宿って会長が全部準備したんですか?」
まさかそんなコト…ない、よね?
「いや、合同だから風紀委員長の光も一緒だ。けどあいつの変な提案を止めたりとかしなきゃいけなくて、むしろ大変だったな」
「へぇ~、そうだったんですか」
ひとりじゃなかったって聞いて安心したけど、苦笑しながらも楽しそうに光先輩のコトを話す会長に、ちょっと寂しく感じて心がモヤっとする。
ついそっけない反応しちゃったけど…
だーかーらー!
寂しく感じるとかやめてって!!
あぁもう、ホントままならないな…
「ん? どうした、揚羽」
「いや、なんでもないです! つぎあったら海とかいいなーっとか考えてただけですっ!」
うわー、ごまかすためにとっさにウソついたけど、大丈夫だったかな?
「そうか。海のほうにもいくつか別荘はあるからな、夏にでも余裕をつくって遊びに行くか」
「そ、それいいですね!」
俺の話にノってくれた会長の顔は笑顔で、俺の態度を変に思った様子はないみたい。
よかったぁ~、変に思われてバレたら恥ずかしいもん;
でも、ごまかすためとはいえいってよかったかも!
夏にみんなで海かぁ~、ナイス提案だよね♪
「さすがにこの人数はまとめるのが大変だから無理だが、生徒会のメンバーに光たちぐらいなら大丈夫だろう」
「やったぁ♪ みんなで海とか楽しそうですよね! かいちょ──」
「…そうだな」
おもわずテンションがあがって、すごいルンルンで喜んでたら…
会長が俺をほほ笑ましそうにやわらかく見つめてきてるのが目に入って、恥ずかしくてつい言葉が詰まった。
ちょっ、そんな小さい子見るみたいな目で見ないでよ!
めっちゃ恥ずかしいじゃん…
「どうした、揚羽?」
「なんでもないですー」
「そうか」
見てらんなくて顔を伏せると、会長が不思議そうに聞いてきたから適当に返事をする。
でもソレが拗ねた子供のように聞こえて、ますます恥ずかしくなった。
会長はソレに気づいたのか小さく笑ったけど、変につっこむコトはしないで静かに夜空を見あげてる。
それにホッと息をついて、俺はすこし赤くなった頬を冷ますように手でパタパタと顔を仰ぐ。
静かなときが流れるコト数分。
頬の赤味も引いて落ちついてきた俺に、会長が話しかけてきた。
「なぁ、揚羽。会長補佐、引きうけてよかっただろ?」
「…ははっ、そうですね!」
自信あり気にそう言って笑う会長に、俺はなんだか笑えてきて笑顔で返事をかえす。
たしかにそうだ。
あのときに会長たちが粘って説得してくれなかったら、今ココにはいなかったんだもんね。
「今こうして楽しむコトができてるのは会長のおかげです」
「揚羽…」
まぁ、楽しいコトばっかりじゃないけど…
仕事は忙しいけどやりがいがあるし、自分が準備した行事でみんなが楽しんでるのを見ると、すっごい嬉しいんだよね。
会長補佐になってホントによかったなってあらためて思う。
だから──
「会長、ありがとうございます…」
「…っ」
すこしの照れくささを抑えて、心からの感謝を伝える。
けど、会長からの反応はなんにもない。
反応が欲しかったわけじゃないけど、どうしたんだろ?
「会、長…?」
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