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事故
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私、一ノ瀬香音は、みんなに隠し事をしている。
「…はぁ、何回見てもかわいい…」
この、見るからにぷにぷにしてそうな表面。
少し水色の混ざった透明感溢れるボディ。
そして何より……
「香音~!」
「!?」
ヤバっ!慌ててスマホを隠す。
「ん?どしたの香音」
「ううん、なんでもない。それより、水希はどうしたの?」
「んーっとねー……。ちょっと待って、思い出すから」
水希はあごに手をあてて「考えるポーズ」をした。
…よかった。なんとか誤魔化せた。私にこんな趣味があるなんて、水希にでさえバレて欲しくない。
「そーだ!週末ここいかない?」
言うと同時に画面を突きつけられる。どうやら近くに何かできたらしい。
「…マリンパーク…ってことは、水族館?」
「うん!香音、水族館嫌い?」
「別に嫌いじゃないけど…」
大体こういうのって混んでるんだよな…水希と違って、人が大勢いるとこは苦手だ。
画面をスクロールして詳細確認する。
『オープンイベントのお知らせ
この度の会館を記念して先着200名様に当館のイメージキャラクター「ルカチちゃん」と「ポムくん」のオリジナルストラップをプレゼント致します。』
そしてその横に表示された画像には、ピンク色のイルカと…青いスライムが。
「…香音?さっきからずっと黙って、どうしたの?」
「……行こう」
これはいかない手はない。
「土曜日の八時半に現地集合。時間厳守で良い?」
「待ってまって、会館九時だよ?なんでそんなに早く」
「早く行かないと間に合わないでしょ」
「それは…そうだけどさぁ…」
朝に弱い水希らしい。いつもなら少し位遅くても何も言わないが、今回は別だ。
「来てなかったら一人で行くから」
水希は「頑張る」とだけ言ってご飯を食べ始めた。
「ただいまー」
誰もいないけどついつい言ってしまう。
走って部屋に入り、鍵を閉める。
そこにはいつもの――
――大量のスライムたち。
「ただいまぁ~っ!遅くなってごめんねぇ。寂しかったよねぇ、でももう大丈夫だよ~」
ポスターとクッションとフィギュアとその他もろもろに話し掛けながら制服を着替える。
「今度の土曜日に、みんなの仲間が増えるからね。楽しみにしててね!」
そう言ってから、一人一人スライムを愛撫する。
……言えない、こんなこと。
私が、無類のスライム好きだなんて…!
「はぁ…でもかわいい…」
こんなにかわいい物体が目の前に存在していたら、誰も我慢できないだろう、うん、かわいすぎる。
ピンポーン
…チッ、こんな時に。
そう思いながらも、嫌々部屋を出た。
ガチャ
え!?
「か、鍵閉め忘れた?」
我ながらなんというミス!
とりあえず一階に降りて確認する。
そこにいたのは……
覆面に拳銃。どうみても普通の人じゃない。
「け、警察…!」
慌てて電話を手に取った時には、既に手遅れだった。
バンッ
「ぐっ…はっ……!」
心臓を抑えると、手に血がついていた。
あぁ…私は、死ぬのか……
そう思った瞬間、目の前の覆面にイラっとした。なんだこいつ、なんで私を殺すの?
「…まだ死にたくないんだけど」
そこから先のことは、あまり覚えていない。
ただ何故か、目の前の覆面は刺されていて、家の前に大量のパトカーと救急車があって。
私の意識は完全に途絶えた。
「…はぁ、何回見てもかわいい…」
この、見るからにぷにぷにしてそうな表面。
少し水色の混ざった透明感溢れるボディ。
そして何より……
「香音~!」
「!?」
ヤバっ!慌ててスマホを隠す。
「ん?どしたの香音」
「ううん、なんでもない。それより、水希はどうしたの?」
「んーっとねー……。ちょっと待って、思い出すから」
水希はあごに手をあてて「考えるポーズ」をした。
…よかった。なんとか誤魔化せた。私にこんな趣味があるなんて、水希にでさえバレて欲しくない。
「そーだ!週末ここいかない?」
言うと同時に画面を突きつけられる。どうやら近くに何かできたらしい。
「…マリンパーク…ってことは、水族館?」
「うん!香音、水族館嫌い?」
「別に嫌いじゃないけど…」
大体こういうのって混んでるんだよな…水希と違って、人が大勢いるとこは苦手だ。
画面をスクロールして詳細確認する。
『オープンイベントのお知らせ
この度の会館を記念して先着200名様に当館のイメージキャラクター「ルカチちゃん」と「ポムくん」のオリジナルストラップをプレゼント致します。』
そしてその横に表示された画像には、ピンク色のイルカと…青いスライムが。
「…香音?さっきからずっと黙って、どうしたの?」
「……行こう」
これはいかない手はない。
「土曜日の八時半に現地集合。時間厳守で良い?」
「待ってまって、会館九時だよ?なんでそんなに早く」
「早く行かないと間に合わないでしょ」
「それは…そうだけどさぁ…」
朝に弱い水希らしい。いつもなら少し位遅くても何も言わないが、今回は別だ。
「来てなかったら一人で行くから」
水希は「頑張る」とだけ言ってご飯を食べ始めた。
「ただいまー」
誰もいないけどついつい言ってしまう。
走って部屋に入り、鍵を閉める。
そこにはいつもの――
――大量のスライムたち。
「ただいまぁ~っ!遅くなってごめんねぇ。寂しかったよねぇ、でももう大丈夫だよ~」
ポスターとクッションとフィギュアとその他もろもろに話し掛けながら制服を着替える。
「今度の土曜日に、みんなの仲間が増えるからね。楽しみにしててね!」
そう言ってから、一人一人スライムを愛撫する。
……言えない、こんなこと。
私が、無類のスライム好きだなんて…!
「はぁ…でもかわいい…」
こんなにかわいい物体が目の前に存在していたら、誰も我慢できないだろう、うん、かわいすぎる。
ピンポーン
…チッ、こんな時に。
そう思いながらも、嫌々部屋を出た。
ガチャ
え!?
「か、鍵閉め忘れた?」
我ながらなんというミス!
とりあえず一階に降りて確認する。
そこにいたのは……
覆面に拳銃。どうみても普通の人じゃない。
「け、警察…!」
慌てて電話を手に取った時には、既に手遅れだった。
バンッ
「ぐっ…はっ……!」
心臓を抑えると、手に血がついていた。
あぁ…私は、死ぬのか……
そう思った瞬間、目の前の覆面にイラっとした。なんだこいつ、なんで私を殺すの?
「…まだ死にたくないんだけど」
そこから先のことは、あまり覚えていない。
ただ何故か、目の前の覆面は刺されていて、家の前に大量のパトカーと救急車があって。
私の意識は完全に途絶えた。
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