私、勘当寸前のぶりっ子悪役令嬢ですが、推しに恋しちゃダメですか?

朝比奈

文字の大きさ
21 / 23

19

しおりを挟む

「ライル様が大好きなんです」

私は胸を張って、満面の笑みで正直な気持ちを伝えた。

ライル様は目を大きく見開いて驚いていた。何かを言おうと口を開いたり閉じたりしている。

「あの·····、それって·····」
「ふふふ、いきなり私にそんな事言われても困っちゃいますよね、ごめんなさい。でも、信じてくれませんか?」

「·····信じるも何も、リズベット嬢が好きなのは───」
「ライル様ですよ」
「っ、!!」
「貴方が好きなんです」

信じてください、私はそう思いを乗せてライル様をまっすぐ見つめた。でも、ライル様の戸惑った顔に思わず苦笑いをもらす。

「何故?  って思ってますよね? 」
「·····」
「以前の私はナーシアス殿下の事が好きだったし、ソフィアのことを妬み、嫌い、嫌がらせはもちろん、謝っても許されないようなことも、沢山してきたんですから·····」

自分で言っていてだんだんと視線がさがる。そうだ。私がしてきたことは決して許されることではない。

それはいくら記憶を思い出したあと、嫌がらせなんてして無い、ナーシアス殿下の事はもう諦めたと言っても関係ない。

私は、ソフィアに謝らないといけなかった。

このままシナリオ通りに進むためにぶりっ子を継続して嫌われようだとか。
反省して真面目になり、ソフィアとの仲が改善されたらシナリオが変わってしまうからとか·····。

理由は沢山考えることが出来る。

ただのいじめっ子である自分を正当化させるための、私のただの言い訳は。

本当にライル様に好かれたいのなら、する事はまず一つだったのに。

(でも、もう今更遅いわ)

私は胸の内に溢れる後悔を見ないふりをして、ライル様の先程の質問の答えを口にした。今度は茶化すような喋り方ではなく、真剣に。

「さっきの質問の答え、どっちも私ですよ」

殿下に付きまとっていたのもソフィアを虐めていたのも·····どっちも私のした事。

前世の記憶を思い出さなかったら、私は今でも同じ事をしていたはずだ。

「ああ、人が変わったようになった訳はですね。実家から、勘当宣言を受けたんです。だから、2ヶ月ほど前に心を入れ替えることにしました。もう少し周りを・・・、視野を広げようと思ったんです。」
「リズベット嬢──」
「ああ。後は、忘れていた記憶を、不思議な夢を見たんです。だから、」
「リズベット嬢っ!!」

ふわり、優しい香りが鼻を擽った。ライル様が私の頬に手を伸ばしている。え、なんで──。

「泣かないで下さい」
「·····え?」

言われて気づいた。いつの間にか私は泣いてしまっていたらしい。

ああ。私は本当に·····

「ライル様、好きです。だから、今はまだ振らないでください。まだ、好きでいさせてください。勘当されたら、私、大人しくいなくなる、から·····」

   ああ。私はいつからこんなに弱くなってしまったんだろう。もしかしたらに掛けてみようと思ったのに、そのもしかしたらすら期待出来なくなるほどに、自分に自信が無い。ライル様に選んでもらう自信が。

「リズベット嬢」
「·····はい」
「最後にひとつ確認させてください。ナーシアス殿下の事はどう思っているんですか」
「もう何とも、思って──」
「じゃあ、本当にっ·····。  俺、自惚れても·····、リズベット嬢の言ったことを信じても良いんですか?」
「···············え?」
(信じて·····くれるの?)

私はこれでもかと言うほど目を見開いて、ライル様を見つめる。心做しか頬が色づいて見えるライル様に私の心臓が呼吸を始めた。

「はぃ」
私の小さくか細い声に、ライル様が嬉しそうに微笑んだ。

「聞きたい事は沢山あるけど、とりあえず、泣き止んで下さい。」
「あっ·····ごめっ」
「俺も」
「····?」

恥ずかしくなって下を向いた私はライル様の優しい声に思わず顔を上げた。

「あなたが好きです」
「~~~~!!!!」

·····推しに撃ち抜かれました。

ライル様の尊すぎるふにゃりとした笑顔をまじかで見た私は、過去最大で赤くなっている顔とうるさい心臓を自覚しながらも、無意識に鼻にハンカチを押し当て、その場に座り込んだ。

「リズベット嬢!!大丈夫ですか!?」
「だ、大丈夫です·····。そ、それよりも、ライル様、今·····」
「あ、えと·····、なんだか恥ずかしいですね。 本来、平民が伯爵令嬢に告白なんて有り得ない事ですし·····。それに、俺も今、自覚したんで」
「自覚って·····」

ライル様は一度言葉を紡ぐと、私の前に膝をついて手を取り、キスを落とした。

(キキキ、キス!手に、ライル様の、唇がっ!!)
「つっ、!!!!ライル様っ!?」

荒れ狂う私の内心はライル様には聞こえないらしい。真剣な顔でライル様は話を続ける。

「俺、リズベット嬢に泣かれるとダメみたいです。誰にも譲れないと思ってしまったから·····」
「え?」
(それは、どういう·····?)

「リズの涙を拭うのは、他の人じゃなくて、俺がいい。 他の人に泣いているリズを見せたくない」
「う·····、ら、ライル様?」

まって、まって!これって本当に現実なの!?  私、今日、死んじゃうの!?  って、あれ?今のライル様の言葉って·····、泣いているソフィアを王子にわざと見つけさせた時のシーンと·····

「リズ、俺と──」

(そそ、そう言えば!さっきから、りりり、リズって!!呼び捨てっ──!!)

「結婚して下さい」

「······························ぇ?」

ボンッと顔から湯気が出るくらい真っ赤になっていた私は、ライル様のかいしんのいちげきで、とうとう意識を手放した。


───────────────────
更新遅くてすみません。リアルが忙しすぎて、中々、執筆できず·····
ここまで読んでくれた皆様、ありがとうこざいました。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。 ご都合主義のハッピーエンドのSSです。 でも周りは全くハッピーじゃないです。 小説家になろう様でも投稿しています。

婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。

黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」 豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。 しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。

逆ハーレムエンド? 現実を見て下さいませ

朝霞 花純@電子書籍発売中
恋愛
エリザベート・ラガルド公爵令嬢は溜息を吐く。 理由はとある男爵令嬢による逆ハーレム。 逆ハーレムのメンバーは彼女の婚約者のアレックス王太子殿下とその側近一同だ。 エリザベートは男爵令嬢に注意する為に逆ハーレムの元へ向かう。

記憶を失くして転生しました…転生先は悪役令嬢?

ねこママ
恋愛
「いいかげんにしないかっ!」 バシッ!! わたくしは咄嗟に、フリード様の腕に抱き付くメリンダ様を引き離さなければと手を伸ばしてしまい…頬を叩かれてバランスを崩し倒れこみ、壁に頭を強く打ち付け意識を失いました。 目が覚めると知らない部屋、豪華な寝台に…近付いてくるのはメイド? 何故髪が緑なの? 最後の記憶は私に向かって来る車のライト…交通事故? ここは何処? 家族? 友人? 誰も思い出せない…… 前世を思い出したセレンディアだが、事故の衝撃で記憶を失くしていた…… 前世の自分を含む人物の記憶だけが消えているようです。 転生した先の記憶すら全く無く、頭に浮かぶものと違い過ぎる世界観に戸惑っていると……?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

悪役令嬢として断罪された聖女様は復讐する

青の雀
恋愛
公爵令嬢のマリアベルーナは、厳しい母の躾により、完ぺきな淑女として生まれ育つ。 両親は政略結婚で、父は母以外の女性を囲っていた。 母の死後1年も経たないうちに、その愛人を公爵家に入れ、同い年のリリアーヌが異母妹となった。 リリアーヌは、自分こそが公爵家の一人娘だと言わんばかりにわが物顔で振る舞いマリアベルーナに迷惑をかける。 マリアベルーナには、5歳の頃より婚約者がいて、第1王子のレオンハルト殿下も、次第にリリアーヌに魅了されてしまい、ついには婚約破棄されてしまう。 すべてを失ったマリアベルーナは悲しみのあまり、修道院へ自ら行く。 修道院で聖女様に覚醒して…… 大慌てになるレオンハルトと公爵家の人々は、なんとかマリアベルーナに戻ってきてもらおうとあの手この手を画策するが マリアベルーナを巡って、各国で戦争が起こるかもしれない 完ぺきな淑女の上に、完ぺきなボディライン、完ぺきなお妃教育を持った聖女様は、自由に羽ばたいていく 今回も短編です 誰と結ばれるかは、ご想像にお任せします♡

婚約破棄された悪役令嬢の心の声が面白かったので求婚してみた

夕景あき
恋愛
人の心の声が聞こえるカイルは、孤独の闇に閉じこもっていた。唯一の救いは、心の声まで真摯で温かい異母兄、第一王子の存在だけだった。 そんなカイルが、外交(婚約者探し)という名目で三国交流会へ向かうと、目の前で隣国の第二王子による公開婚約破棄が発生する。 婚約破棄された令嬢グレースは、表情一つ変えない高潔な令嬢。しかし、カイルがその心の声を聞き取ると、思いも寄らない内容が聞こえてきたのだった。

家出を決行した結果

恋愛
フィービーの婚約者ミゲルには大切な幼馴染がいる。病弱な幼馴染をいつも優先するミゲルや母が亡くなって以降溝が出来てしまった父と兄との関係にフィービーは疲れていた。 デートの約束をしてもいつも直前になって幼馴染を理由にキャンセルされ、幼馴染にしか感情を見せないミゲルを、フィービーを見ようとしない父や兄を捨てる決心をしたフィービーは侍女や執事の手を借りて家出を決行した。 自分を誰も知らない遠い場所へ行ったフィービーは、新しい人生の幕開けに期待に胸を躍らせた。 ※なろうさんにも公開しています。

処理中です...